ドル円 先週高値から下落、109円台は維持(1/23)

米中協議の進展への懸念や米住宅統計の悪化により休場明けのNYダウは前日比301.87ドル安と反落、ナスダックも2%安と大幅下落した。

ドル円 先週高値から下落、109円台は維持(1/23)

ドル円 先週高値から下落、109円台は維持

【概況】

1月3日午前の暴落一服で1月8日に109.08円まで戻し、16日までは概ね108円台での持ち合いが続いたが、17日に109.18円へ戻り高値を切り上げ、先週末19日未明には109.88円まで続伸した。日米株高が継続し、米中協議進展期待がやや高まったことで暴落に対する自律的な買い戻しが進んだためだが、110円台へ乗せる勢いには欠いて21日には109.45円へ小反落、22日はジリ安で推移し、夜間には米中協議決裂懸念や米中古住宅統計の悪化等で株安となったために売られて23日未明には109.13円まで下げた。NYダウが300ドルを超える下落となったがドル円は109円割れには至らずにいる。

【米中協議進展への懸念】

米中協議の進展への懸念や米住宅統計の悪化により休場明けのNYダウは前日比301.87ドル安と反落、ナスダックも2%安と大幅下落した。株安により米債券が買われて10年債利回りは2.737%へ低下した。
英紙フィナンシャル・タイムズ紙や米CNBCテレビ等の複数メディアが米中通商協議に関し、トランプ米政権が月末に予定される米中閣僚級協議に向けた準備会合を拒否したと報じた。米中は1月30日から31日にかけてワシントンで閣僚級協議を開催する予定とされているが、その事前準備のために次官級会合を持つ見通しとメディアは報じてきた。しかし米中間の溝が埋まらないために次官級の事前準備協議を米国側が拒否したと報じた。この件についてクドロー米国家経済会議(NEC)委員長はTVインタビューで「そもそも準備会合を開く予定はなかった」「閣僚級協議の開催を中止することは絶対にない」と述べて報道を否定している。
米中通商協議は3月1日を期限として交渉されてきたが、期限切れになれば米国が総額2000億ドル規模の中国製品に課す制裁関税を現行の10%から25%に引き上げる見込みだ。

米不動産業者協会(NAR)が発表した昨年12月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比6.4%減の499万戸となり、3か月振りにマイナスとなった。市場予想の525万戸を大幅に下回り、2015年11月以来の低水準となった。このことも株安要因だった。
中国国家統計局が21日に発表した10−12月期のGDPが前年比6.4%となり前期の6.5%から伸びが鈍化した。また国際通貨基金(IMF)も21日に2019年の世界全体の成長率予想を従来の3.7%から3.5%へ下方修正した。米国市場は21日が休場だったためにこれらも売り材料とされた。

【日銀金融政策決定会合】

日銀は22日から23日に金融政策決定会合を開催している。金融政策は手詰まりにより現状維持とみられるが、会合後に発表される経済・物価情勢の展望(展望リポート)では2019年度の物価見通しが下方修正されるのではないかとみられている。
市場への影響は限定的と思われるが、大規模緩和継続と物価見通しの下方修正はドル円にとってはやや円安ドル高要因になるかもしれない。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは1月17日夕安値108.68円を直近のサイクルボトムとして上昇していたが、19日未明高値の後は新たな高値更新へ進めずにいたために22日朝時点では109.25円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先するとした。23日未明に109.13円まで下げているので現状は19日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りと考える。今回のボトム形成期は17日夕安値を基準として22日夕から24日夕にかけての間と想定される。すでに17日夕安値から3日を経過しているのでボトムを付けての反騰注意期とし、109.70円を超えないうちは一段安余地ありとするが109.70円超えからは強気サイクル入りの可能性を優先して19日未明高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして23日深夜から28日朝にかけての間への上昇を想定する。

ドル円 先週高値から下落、109円台は維持

60分足の一目均衡表では23日未明への下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化が続いている。109.70円を超えてくれば両スパンそろっての好転となるので強気サイクル入りとするが、109.70円を超えないうちは一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

1月15日に先行スパンを突破した。遅行スパンも概ね好転を続けているが19日未明高値からの上げ渋りで実線と交錯している。先行スパンから転落しないうちは上昇継続性ありとし、一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開とする。先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は18日から19日未明への高値切り上げ時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せ、その後は下落期に入った。23日未明には30ポイントをいったん割り込んでいる。1月3日安値からのリバウンド基調を継続するなら30ポイント割れからの反発により上昇再開へ進む可能性ありとするが、まだ強気逆行は見られないのでもう一度30ポイント割れを試す可能性が残っている。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られればその後は上昇再開へ進みやすくなると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、23日未明安値109.13円を下値支持線とし、109.50円から109.70円を抵抗帯とみておく。
(2)109.50円以下での推移中は下向きと仮定し、109.13円割れからは17日夕安値108.68円試し、安値更新なら108.50円前後試しへ向かうとみる。108.50円以下は反発注意とするが109円以下での推移中は24日へ続落しやすいと注意する。
(3)109.50円超えを強気転換注意、109.70円超えからは強気サイクル入りと仮定してまず19日未明高値109.88円試しを想定する。110円から110円台序盤では戻り売り圧力も大きくなると思われるが、も1月3日からの戻り高値切り上げにより上昇が加速する可能性もあると注意する。また109.70円超えの後も109.50円以上を維持なら24日も高値を試しやすいとみる。(了)<9:15執筆>

【当面の主な予定】

1/23(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀「経済・物価情勢の展望レポート」
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
23:00 (米) 11月 住宅価格指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%))
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 -8、予想 -2)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感 (12月 -6.2、予想 -6.5)

1/24(木)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 (11月 3.70万人、予想 1.80万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 5.1%、予想 5.1%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 99.3)
17:30 (独) 1月 製造業PMI (12月 51.5、予想 51.4)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI (12月 51.8、予想 52.2)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI (12月 51.4、予想 51.3)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI (12月 51.2、予想 51.5)
21:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 173.7万人)
24:00 (米) 12月 景気先行指数 前月比 (11月 0.2%、予想 -0.1%)

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