<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、レンジ取引。1週間で6円も動いた前週から一転、週間を通した値幅も1.3円ほどにとどまっている。
先週末に発表された米雇用統計がかなりの好数字になったことに加え、週末に香港紙が「トランプ米大統領、ダボス会議で中国副主席と会談か」と報じたことなどが好感され、週明けはドル買い優勢でスタート。ドル/円相場は時間外でドル高値108.70円台を記録し、東京は108.45-50円で寄り付いている。
そののち、一時週間高値の109.07円を示現したもののドル買いは続かずに反落。しかし、下値も堅く107円後半で下げ止まると、レンジ取引に。108円台を中心とした揉み合いをたどるなか、週末NYは108円半ば、週初の寄り付きに近いレベルで取引を終え、越週した。
一方、週間を通して注目された材料は、3週間目に突入した「米政府機関の閉鎖」ならびに「米中貿易問題」について。
前者は、トランプ大統領から「数ヵ月でも数年でも政府機関を閉鎖する」、「壁建設へ非常事態宣言も検討」といった強気のコメントが聞かれ、引き続きドルの弱材料に。そののち実施されたトランプ氏は演説で、改めて壁の必要性を強調していた。なお、政府機関閉鎖の影響がそこここで観測されており、そのひとつとして「トランプ氏がダボス会議欠席」となったことが明らかにされている。
対して後者は、先の香港紙報道が観測されるなか、市場は7-8日に実施される「次官級の米中貿易協議」に注目。結果、次官級会合は一日順延され9日まで実施されたものの、一定の成果を得られた格好で、終了後にトランプ氏からは「中国との通商交渉で大きな成功」と勝利宣言も。また、週末にはムニューシン米財務長官から「中国の劉副首相が今月中に米国を訪問する計画がある」とのコメントが聞かれていた。
<< 今週の見通し >>
年明け早々5円以上も動いた相場だったが、先週は早くも落ち着いた動きとなり、週間を通した値幅はわずか1.3円にとどまった。ドル/円の日足チャートを見ると、3日に記録した長い下ヒゲを除けば、先週を含め過去1週間以上、107.50-109.10円といったレンジを形成している感もうかがえる。為替が落ち着きを見せる反面、日米の株価が依然として不安定であることは気掛かりだが、足もとはいましばらく次の方向性を探るレンジ取引の続く可能性を否定出来ないだろう。
株式市場を不安定にしている一因の「米政府機関の閉鎖問題」だが、先週末の11日で21日目に入り、とうとう過去最長記録を更新した。しかしながら、協議打開のメドは依然として経っておらず、また米上院の審議日程からすると、少なくとも14日まで閉鎖は続くことがほぼ確実となっている。こうした膠着状態を、いつどうやって乗り越えるのか、市場を取り巻く材料は幾つもあるが、引き続きもっとも注視すべき要因となりそうだ。
なお、それとは別に15日に議会採決が実施される見通しの英情勢も一応要注意。
テクニカルに見た場合、さすがにドルの下値リスクは弱まっているものの、上値も重くドルは上げ渋りの様相。そのため、過去1週間以上は107.50-109.10円といったレンジにとどまっている感を否めない。まずは、形成している上記レンジを上下どちらに抜けていくのか、その方向性に注目だ。
ちなみに、確率はほぼ五分だと思われるが、上方向に抜けたほうがチャート的にみて興味深い。110円をしっかり超えるようだと、昨年末から続きドル安トレンドが終わり、完全にニュートラルに戻ったと言えるだろう。
一方、材料的に見た場合、1月のNY連銀製造業景況指数や、同ミシガン大消費者信頼感指数といった米経済指標の発表が予定されているほか、米地区連銀総裁などFRB関係者の講演も相次ぐ。また、シティグループやゴールドマン・サックスなどを中心とした米大手金融による決算発表も実施される見込みで、そちらも要注意。
そのほかでは、引き続き米政府機関閉鎖の行方が気掛かりであるうえ、「否決濃厚」などと言われる15日の英・EU離脱合意案の議会採決に注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、107.50-109.50円。ドル高・円安については、先週記録したドル高値109.07円の攻防にまずは注視。超えれば先週から横ばいに推移する週足・一目均衡表の先行帯の雲が位置する109.65-75円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値の107.77円が最初のサポート。ただ、それを下回っても3日記録したドルの安値104円台はさすがに遠い。現実的には106円半ばから107円レベルが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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