三角持ち合い下放れ開始警戒(週報12月第2週)

12月7日に米労働省が発表した11月の雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比15.5万人増となり前月の23.7万人増から鈍化し、市場予想の20万人増を下回った。

三角持ち合い下放れ開始警戒(週報12月第2週)

三角持ち合い下放れ開始警戒

【三角持ち合い下放れ、104日移動平均割れ試し】

10月4日高値114.54円の後は11月12日高値114.20円、11月28日高値114.03円とほぼ1直線で右肩下がりとなり、その間の安値は10月26日111.37円、11月20日112.29円と切り上がり、レンジ縮小型の三角持ち合いを形成していた。12月6日安値で112.24円まで下落して11月20日安値を割り込んだためこの三角持ち合いからは下放れした。また長期スパンの8月21日安値と10月26日安値を結ぶ支持線も一時割り込んだが、6日の日足が下ヒゲ足だったために土俵で言えば徳俵に足が残った状況となっている。
今年3月26日底以降の上昇波動では、5月29日安値、8月21日安値、9月7日安値、10月26日安値がいずれも104日移動平均到達で下げ止まってきたが、12月6日安値も同線に到達したところでひとまず下げ渋り、7日は新たな安値更新には至っていない。

今年3月26日底以降の上昇波動では、5月29日安値、8月21日安値、9月7日安値、10月26日安値がいずれも104日移動平均到達で下げ止まってきたが、12月6日安値も同線に到達したところでひとまず下げ渋り、7日は新たな安値更新には至っていない。
これらの状況は10月4日からの三角持ち合い下放れからの下落再開を警戒させつつも、まだギリギリのところで踏みとどまっているところといえる。このため、12月10日以降へ新たな安値更新を回避して26日移動平均(現在113.29円)を超えてくれば三角持ち合いの徳俵から寄り返す状況入りとして逆に三角持ち合い上放れへ再挑戦する目が出てくると思われるが、12月6日安値を割り込む場合は三角持ち合い下放れ及び104日移動平均割れからの下落期入りの追認となり、3月26日からの上昇基調の終了による円高期への突入が警戒される状況に入ると考えられる。

【株安円高】

12月1日の米中首脳会談に対する成果期待で12月3日朝には113.82円までいったん戻したが、この期待感は長続きせず、3日の日中は日経平均が上昇していたにもかかわらず円高へ傾斜した。4日にはトランプ大統領が「私はタリフマン(関税男)だ」とつぶやいたり、中国大手IT企業ファーウェイ最高責任者がカナダで逮捕されたことにより米中関係が冷えるとの懸念へ変わり、また米国の長短金利が逆イールド現象を発生させたことによる先行きリセッション懸念も重石となって株安円高が進んだ。
12月4日のNYダウは799.36ドル安、5日は休場で6日は79.40ドル安だったが一時は780ドル安まで大幅下落した。7日は558.72ドル安と崩れて10月暴落でつけた10月29日安値割れに余裕がなくなってきている。
日経平均も4日に538.71円安、6日に417.71円安と大幅下落して10月26日安値割れに再び余裕がなくなってきている。

ドル円の3月26日底からの上昇は日経平均が2月の世界連鎖株安による下落で3月26日に底打ちして出直り始めたところと一致している。日経平均は10月2日にバブル崩壊後の高値を更新したが世界連鎖株安により急落し、ドル円も10月4日以降は新たな高値更新へ進めずにいる。日経平均が10月26日安値を割り込めば10月暴落の続きとして二段目の下落期に入り、ドル円も同調して崩れる可能性が高まると懸念される。

ドル円の3月26日底からの上昇は日経平均が2月の世界連鎖株安による下落で3月26日に底打ちして出直り始めたところと一致している。日経平均は10月2日にバブル崩壊後の高値を更新したが世界連鎖株安により急落し、ドル円も10月4日以降は新たな高値更新へ進めずにいる。日経平均が10月26日安値を割り込めば10月暴落の続きとして二段目の下落期に入り、ドル円も同調して崩れる可能性が高まると懸念される。

【米雇用統計反響】

12月7日に米労働省が発表した11月の雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比15.5万人増となり前月の23.7万人増から鈍化し、市場予想の20万人増を下回った。平均時給は前月比0.2%増で前月の0.1%から伸びたものの予想の0.3%には届かなかった。失業率は3.7%で49年ぶりの低水準を維持した。
雇用統計内容は総じて冴えないものでやや鈍化傾向も見られるが、悪いものではない。12月18−19日には米連銀のFOMCがあり、今年4回目の利上げ決定確率は雇用統計後にやや上昇しているので、利上げが決定されるだろうと思われる。しかし最近の米連銀当局者の発言スタンスを踏まえれば、12月の利上げを決定しても来年の利上げペースは鈍化してゆくだろうと推察される。いわゆる「中立金利」に近付いている、利上げ終点を意識させる段階ではドル安円高へ進みやすくなる。

12月FOMCではメンバーの2019年、2020年の利上げ回数予想、利上げ水準予想が注目されるので、その手前ではサプライズに備えたポジション調整的な動きも出てくるかもしれないが、当面はそれよりも米中関係の冷え込みや株安によるリスク回避度合いが主要テーマとなり、株安円高へ傾斜しやすい状況と認識する。

【米長期債利回り低下】

【米長期債利回り低下】

景気の先行き懸念を反映して米国長短金利の逆転現象が発生しており、今週は2年債と3年債の利回りが5年債利回りを上回る逆イールドとなった。
米雇用統計がさえなかったこともあり7日の米10年債利回りは2.852%へ低下して3か月振り低水準となった。9月時点では米連銀の利上げ基調も意識してやや過剰な長期債利回り上昇がみられ、それが株安のきっかけにもなったが、株安が米国債への逃避買いを誘い、また先行きの景気鈍化懸念も徐々に強まったことで長期債利回り低下傾向に入り、米連銀の利上げスタンスも鈍化してきたことで10年債利回りの3%割れからの続落を招いた。
米10年債利回り低下は日米長期金利差の縮小としてドル売り円買い圧力となる。また米長期債利回り低下は英独豪等に同様の利回り低下を誘発させており、クロス円全般でも金利差縮小による円高圧力がかかりやすくなっている。

以上を踏まえて週中のポイントを示す。
(1)当初、12月6日安値安値112.24円を支持線、12月6日朝高値113.24円から113.50円までを抵抗線とみておく。
(2)12月6日安値を割り込む場合、上記の三角持ち合い下放れの追認及び5月以降の下値支持線として機能してきた104日移動平均割れとなるため10月4日を当面の天井とした下落期入りと仮定し、まず10月26日安値111.37円試しへ向かうとみる。さらに10月26日安値割れからは下値目途を8月21日安値109.77円前後試しへ引き下げる。この段階では昨年11月6日天井から今年1月にかけて三角持ち合いを形成してから転落して3月底まで大幅下落した時の状況に近い展開へ進む可能性があるので、株安、米中関係悪化、米長期債利回り低下が進行する場合は厳しい円高になる可能性を懸念する。

(3)12月6日深夜安値割れ回避で6日朝高値113.24円を超える場合、113.50円前後までも戻りからは反落しやすいと考えるが、仮に113.50円超えから続伸の場合は11月28日深夜高値114.03円に迫る可能性が出てくる。この場合は三角持ち合いを徳俵で残し、今回も104日移動平均到達で底打ちして戻しに入る展開となりうるが、そのためには株安払拭、米長期債利回り上昇、米中関税改善へのポジティブ報道等が必要と思われる。(了)<8日11:00執筆>

【当面の主な予定】

12/10(月)
06:45 (NZ) 7-9月期製造業売上高 前期比 (前期1.8%)
08:50 (日) 7-9月期GDP、改定値 前期比 (前期 -0.3%、予想 -0.5%)
08:50 (日) 7-9月期GDP、改定値 年率換算 (前期 -1.2%、予想  -1.9%)
08:50 (日) 10月 国際収支・経常収支・季調前 (9月 1兆8216億円、予想1兆3842億円)
08:50 (日) 10月 国際収支・貿易収支 (9月 3233億円、予想 −2654億円)
08:50 (日) 10月 国際収支・経常収支・季調済 (9月 1兆3340億円、予想 1兆2899億円)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (10月 49.5、予想 49.5)
16:00 (ト) 7-9月期GDP 前年比 (前期 5.2%、予想 2.0%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 184億ユーロ、予想 170億ユーロ)
16:00 (独) 10月 経常収支 (9月 211億ユーロ、予想 180億ユーロ)

18:30 (英) 10月 商品貿易収支 (9月 -97.31億ポンド、予想 105.0億ポンド)
18:30 (英) 10月 鉱工業生産指数 前月比 (9月 0.0%、予想 0.1%)
18:30 (英) 10月 鉱工業生産指数 前年同月比 (9月 0.0%、予想 -0.2%)
18:30 (英) 10月 貿易収支 (9月 -0.27億ポンド、予想 12.00億ポンド)
12/11(火)
09:30 (豪) 11月 NAB企業景況感指数 (10月 12)
09:30 (豪) 7-9月期 住宅価格指数 前期比 (前期 -0.7%、予想 -1.6%)
09:30 (豪) 7-9月期 住宅価格指数 前年同期比 (前期 -0.6%、予想 -2.0%)
18:30 (英) 10月 失業率 ILO方式 (9月 4.1%、予想 4.1%)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感期待指数 (11月 -24.1、予想 -25.0)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 2.9%、予想 2.5%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比  (10月 0.5%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.6%、予想 2.5%)

12/12(水)
休 場 メキシコ
08:30 (豪) 12月 ウエストパック消費者信頼感指数 (11月 104.3)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 0.3%、予想 -0.1%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 2.9%、予想 2.4%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前月比 (9月 -18.3%、予想 10.2%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 -7.0%、予想 5.4%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 -1.1%、予想 0.9%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.9%、予想 0.8%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 2.5%、予想 2.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.1%、予想 2.2%)
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -1000億ドル、予想 -1650億ドル)

12/13(木)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
17:30 (ス) スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 24.00%)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 0.5%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.7万件)

12/14(金)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断 (前期 19、予想 18)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 8.6%、予想 8.8%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比  (10月 5.9%、予想 5.9%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産 確報値 前月比 (速報 2.9%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産 確報値 前年同月比 (速報 4.2%)
17:30 (独) 12月 製造業PMI (11月 51.8、予想 51.7)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI (11月 53.3、予想 53.5)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI (11月 51.8、予想 81.9)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI (11月 53.4、予想 53.4)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.8%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比  (10月 0.7%、予想 0.2%)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 0.1%、予想 0.3%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 78.4%、予想 78.6%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.3%、予想 0.5%)

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