<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、前週から一転してドル高・円安。10月10日以来となる113円台を回復し、週末のNYクローズでもレベルを維持したまま大引けている。
前週末にトランプ米大統領から「市場開放しないなら日本車に20%の関税を」との発言が聞かれたほか、実施されたドイツ・ヘッセン州選でも「メルケル与党が大敗見通し」と報じられるなか、東京市場がオープン。しかし、為替市場への影響はさほどみられず、ドル/円は111.80円台と、前週末のNYクローズと大差ないレベルで寄り付いた。
さらに、その寄り付きレベルを週間安値にドルは堅調推移。週の半ばには週間高値の113.38円を記録、そののち小緩むも底堅く、週末には再び113円台へ。好数字だった10月の米雇用統計が好感されていた面もあったという。週末NYは113.20円前後のドル高値圏で取引を終え、越週している。
なお、そうしたなか前週に続き、先週もポンドが荒っぽい値動き。前週に、対円では週初の高値147円半ばから142.70円台まで5円近くも値を下げたが、先週は逆に急反発。一時147円台を示現するなど、「行って来い」の様相をたどっていた。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易問題」と「英国情勢」について。
前者のうち、日米については前記したトランプ米大統領発言のほか、米通商代表部が「12月10日に対日貿易交渉で公聴会を開催」と発表し、思惑を呼んでいた。また米中は、「来月の米中首脳会談で貿易戦争を緩和できなければ、米国が12月初めまでに残るすべての中国からの輸入品に関税を課すと公表する準備を進めている」−−との報道が観測され、一時緊張感が高まるも、その後「米中首脳が電話会談、貿易摩擦などを協議」したことが明らかになるなど、週末にかけて問題解決に向けた軟着陸への期待感がジワリと高まっている。
対して後者は、EU離脱交渉について様々なニュースが報じられるなか、週末にかけて英紙タイムズが「メイ首相とEU、離脱交渉の金融サービス分野で合意」と報じたことが好感されると、ポンド急反発の原動力に。
<< 今週の見通し >>
先週の相場は、なかなか悩ましく難しい値動きだったが、終わってみればドルの大幅高。実際、週足は実体部だけで1円を大きく上回る陽線引けとなったほか、週末NYでも10月10日以来となる113円台を回復しての越週となっている。再三再四指摘してきたように、今年の相場の特徴はダマシが多く、「レンジをいったん抜けても、結局元のレンジに回帰する」−−ということが多いものの、今回はようやくレンジ放れをしたと考えて間違いないのかもしれない。予断は許さないが、それでもドルの続伸に要注意で、次のターゲットはフィボナッチを参考にした113.80円レベル。超えれば、名実ともに114円台回復も。
材料面では、目前に迫った米中間選挙ならびに、米中あるいは日米貿易問題が依然として懸念要因となりそう。また先々週には週間を通して1000ドル超の下げを記録したNYダウなど米株は復調傾向ながら、再び崩れるようだと為替市場においてはリスク回避の動きが強まっても不思議はないだろう。そのほか、トランプ米大統領からFRB議長への強い圧力がたびたび報じられるなか、7-8日に実施される米FOMCにも一応要注意。
テクニカルに見た場合、まだ一抹の不安は残るが、過去2週間以上続いてきたレンジ取引の上限を上抜けたと考えてよさそうだ。年末115円に向けたドルの続伸、あるいは下値固めが期待されている。
フィボナッチの観点で見た場合、10月高値114.55円を起点とした下げ幅に対する61.8%戻しにほぼ合致する先週高値113.38円を超えられていないことは若干気掛かり、しかし、上抜ければ76.4%戻しの113.80円レベル、そして114円レベルなどがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、10月のISM非製造業指数や同生産者物価指数といった米経済指標の発表が相次ぐほか、FOMCや米財務省による10年や30年債などの入札も予定されている。それらも要注意。
また、それらとは別に6日に実施される「米中間選挙」も気掛かり。日本時間でいえば、7日午前から午後にかけて開票速報が報じられると予想されるだけに、同日東京・アジア市場の動きは波乱含みであるのかもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、112.00-114.40円。ドル高・円安については、直近高値の113.38円が最初の抵抗。抜ければ113.80円や114円、そして年初来高値の114.55円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、週初112.60円レベルに位置し、週末にかけては113円前後まで水準を切り上げる日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限をめぐる攻防に注目。ザラ場だけでなく、NYクローズでも動静には要注意。(了)
オーダー/ポジション状況
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