ドル円調整安112.50円台は底固い 雇用統計待ち(11/2)

2日夜には米労働省雇用統計の発表も控えているためドル高が巻き返す可能性、株高によるリスクオン心理が優勢となってクロス円での円安が進む可能性も考えられる。

ドル円調整安112.50円台は底固い 雇用統計待ち(11/2)

【概況】

世界連鎖株安不安を背景として10月4日から10月26日夜まで円高ドル安基調で推移してきたが、26日深夜のNYダウ反発とその後の株高を背景に上昇、31日夜には113.38円まで戻して26日深夜安値111.37円からは2.01円の上昇となった。しかし丸3日間の大幅上昇だったことで31日深夜からは高値警戒感による修正安に入り、1日午前には112.79円まで下落した。
31日夜まではメジャー通貨の加重平均であるドル指数も大幅上昇で8月15日高値を突破し、ユーロドルも10月16日以降の安値を更新、ポンドも下落していたが、1日はユーロやポンドが反騰したためにドル高一服感が強まった。NYダウが3連騰するなど株高によるリスクオン心理は継続したため、本来ならドル円も上昇してよいところではあったがドルの反落感が勝って下落を継続、2日朝には112.54円まで続落した。ただ112.50円台では底固さも見られる。2日夜には米労働省雇用統計の発表も控えているためドル高が巻き返す可能性、株高によるリスクオン心理が優勢となってクロス円での円安が進む可能性も考えられる。

【ポンド、ユーロが上昇】

イングランド銀行(BOE、中銀)は1日の金融政策会合で政策金利を現行の0.75%に据え置いた。また量的緩和による国債買い入れ枠も4350億ポンドで据え置いた。これは市場の予想通りだが、声明では「将来の利上げは段階的かつ限定的」としつつも「景気が予想通りの軌道をたどれば金融政策の引き締めを継続するのが妥当」という従来の見解を維持したため先行きの引き締め感からポンドは上昇した。また英国のEU離脱問題をめぐって金融サービスに関しての暫定合意に達したとの一部報道もポンド高を助長した。EUのバルニエ首席交渉官はこの合意報道を否定しているが市場には離脱問題での楽観が回復したようなポンド高反応を継続した。

英紙フィナンシャル・タイムズ紙は英国の離脱問題で最大の障害とされるアイルランド国境管理問題でEU側が譲歩を検討していると報じ、ユーロ高材料とされた。
10月31日まではユーロ、ポンドともにドル全面高の中で下落していたが、これら材料をきっかけに4日ぶりに反騰した。結果、ドル指数は反落してドル安感が強まり、ドル円に対してもドル安圧力となったようだ。

【米中首脳電話会談】

米トランプ大統領は習近平国家主席と電話会談し、貿易問題や北朝鮮問題について協議、「(電話)会談は長い時間で極めて良いものだった」とツイートした。米中はアルゼンチンで月末から開催されるG20首脳会議に合わせて首脳会談を行う方向で調整しているとされるが、前日にはその会談が不調なら12月から中国への制裁関税を拡大し、中国からの輸入品ほぼすべてを対象とする姿勢だと報じられ、米中貿易戦争問題が再びネガティブに焦点化されることが懸念されたが、この日のツイートで市場の空気も楽観に変わったようだ。
中国メディアも米中首脳の電話会談を伝え、「習氏は中米の経済貿易協力の本質はウィンウィンだ。このところ中米双方には経済貿易分野で立場の違いがあり、両国は否定的な影響を受けた。中国はこれを望んでいない」と発言していると報じた。

ドル人民元は2017年1月天井を超えて2008年以来10年ぶりのドル高元安水準となっていたが、1日は0.7%強の反落(ドル安元高)となっている。またメジャー通貨でのドル安により新興国通貨等も上昇した。
これらも本来ならリスクオン心理の拡大としてドル高円安要因となってもよいところだが直前の連騰に対する高値警戒感や週末の米雇用統計を控えたポジション調整的な心理も加わったためにドル安円高に向かったというところだろうか。

11月1日夜の米経済指標では10月のISM製造業景況指数57.7となり前月の59.8から低下、市場予想の59.0を下回った。週間失業保険申請件数は21.4万件と低水準を維持し、前日発表されたADP民間雇用統計でも予想以上に良好な数字だったことから2日夜の米労働省雇用統計が強い内容になればドル高が巻き返す可能性もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月26日深夜安値を前回のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を29日夜から31日夜にかけての間と想定したが、31日夜高値から反落して113円を割り込んだために1日朝時点では31日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして安値形成期を11月1日の日中から2日深夜にかけての間とした。
11月2日朝へ続落し、112.50円割れを回避してやや戻しつつあること、前回サイクルボトムから4日を経過したことから2日朝安値で直近のサイクルボトムを付けた可能性がある。113円台回復に至らないうちは2日夜、3日未明にかけての一段安余地が残るが、113円台回復からは強気サイクル入りとして2日夜から6日夜にかけての間への上昇を想定する。
ただし米雇用統計もあるのでいったん強気サイクル入りした後に31日夜以降の安値を更新する場合は底割れによる弱気サイクル入りとして7日から9日にかけての間への下落へ進むとみる。

60分足の一目均衡表では31日深夜からの反落で遅行スパンが悪化し、2日未明への続落で先行スパンからも転落したが、2日朝の反発により遅行スパンは好転しやすい位置にある。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とみるが、先行スパン突破からは強気サイクル入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただしいったん先行スパンを突破した後に遅行スパン悪化となる場合は新たな弱気サイクル入り警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.50円を支持線、113.00円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円を上回るうちは上昇再開の可能性ありとし、113円超えからは強気サイクル入りと仮定して31日夜高値113.38円試しへの上昇を想定する。米雇用統計後の上昇で高値更新へ向かう場合は114円を目指す可能性ありとするが、31日高値前後まで上昇してからの反落で113円割れとなる場合はダブルトップ形成からの下落再開を警戒する。
(3)113円に到達できずに112.50円割れとなる場合は下げ再開として112.00円前後試しを想定する。雇用統計から下落なら3日未明、5日朝への続落警戒とする。またいったん113円超えへ上昇してからの反落で112.50円割れとなる場合は新たな弱気サイクル入りにより週明けへ続落しやすいと警戒し、26日深夜安値試しへ向かう可能性を考える。

【当面の主な予定】

11/2(金)
休場 メキシコ
17:55 (独) 10月 製造業PMI、改定値 (速報 52.3)
18:00 (欧) 10月 製造業PMI、改定値 (速報 52.1)
21:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -532億ドル、予想 -535億ドル)
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 13.4万人、予想 19.0万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 2.8%、予想 3.2%)
23:00 (米) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 2.3%、予想 0.5%)

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