【概況】
10月2日に日経平均が天井をつけ、NYダウが10月3日に史上最高値を更新してから下落に転じた。世界連鎖株安不安を背景に、ドル円は10月4日高値から下落に入って15日には111.62円の安値を付けた。株安不安が緩んでその後は戻しに入り、22日夜には112.88円を付けたが10月4日以降の下落に対する半値戻しとなる113円に届かず、23日には再び日経平均や上海株、さらにNYダウ先物の大幅下落で111.95円まで下げた。24日夜に112.74円まで戻したが24日のNYダウが608.01ドル安と大幅続落したために25日午前には111.81円まで下落した。
25日は日経平均が822円安と大幅下落したが上海総合株価指数が引けにかけての反発でプラス圏まで戻し、前日の急落に対する反動でダウも401.13ドル高と4日ぶりの反騰となったことでドル円も反発、26日未明には112.67円を付けたが24日夜高値超えには至らずにその後はまた反落気味となっている。
【ユーロ安によるドル高と株安不安の円高の綱引き】
ECB理事会後のドラギ総裁会見発言をきっかけにユーロが一段安した。ECBは25日の定例理事会でマイナス金利を含めた現状の金融緩和政策を維持することを決め、量的緩和についても月150億ユーロの資産購入を年末で打ち切る従来からの方針を再確認した。市場も変化なしとみていたので想定内だが、ドラギECB総裁が理事会後の会見で最近の経済指標は「予想よりも多少弱い」と述べたことがきっかけとなり発言後にユーロが売られた。米連銀のクラリダ副議長が副議長任命後初めての講演で「さらなる漸進的な利上げ」を支持する姿勢を示したことと比較するとECBの金融政策正常化への足取りの重さを印象付けたともいえる。
イタリア財政赤字問題や英国の離脱問題では楽観と悲観が繰り返されているがユーロドルは10月16日からの下落基調が続いている。株安からの逃避で米国債が買われて長期債利回りが低下すればドル円にとっては金利差面でのドル安円高要因となるが、一方でのユーロ安がその効果をつぶしているためドル高感が再燃し、ドル指数は9月後半からの上昇基調を維持している。このためドル円としてはユーロ安等によるドル高圧力と、株安不安によるリスク回避的円高圧力の綱引きとなり、株安不安が強まる中ではリスク回避感での円高圧力が勝るが10月15日以降は新たな安値更新にまでは至らず、113円に届かない程度で上値も重いという状況につかまっているようだ。
【米中貿易戦争問題、再び焦点化するか】
米中問題も再び焦点化する可能性がある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は25日に「トランプ政権は中国が知的財産権侵害などで具体的な改善策を提示するまで貿易協議再開を拒否している」と報じた。11月末にアルゼンチンでG20首脳会議が開催され、そこで米中首脳会談が実現して協議再開と妥協への道筋が見えるのではないかという期待感もあったのだが、そうした期待を後退させる印象を与えた。トランプ政権による米中貿易・関税戦争の仕掛けには保護主義的で乱暴な経済政策という見方がある一方で妥協なき覇権争いとしての戦略的な一貫性を強調する見方もあり、今後もさらにエスカレートして簡単な妥協が難しいのではないかとの懸念も徐々に強まっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月22日夜高値からの下落で23日夜に19日未明安値とほぼ同値となる111.95円まで下げた。その後に戻したものの反落したことで60分足レベルの三尊天井形成の可能性があるとし、23日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れによる弱気サイクル入りと考えた。25日午前安値から反騰して24日夜高値に迫って三尊天井感は薄れたため、19日未明安値から4日目となる25日午前安値を直近のサイクルボトムと改める。
現在の高値形成期は22日夜高値を基準として25日夜から29日夜にかけての間と想定する。すでに3日を経過しているので26日未明高値でサイクルトップを付けた可能性があるが、25日午前安値割れに至らないうちは高値更新へ進む可能性が残る。
112円割れからは下げ再開を警戒し、25日午前安値111.81円割れからは新たな弱気サイクル入りとして30日午前から11月1日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では25日深夜の上昇で遅行スパンが好転したがほぼ実線と重なっている。先行スパンからいったん上抜けたがその後の反落で先行スパン内に潜り込み始めている。いずれも決め手に欠く状況のため、26日未明高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、26本基準線割れからは弱気転換注意として25日午前安値試しとし、底割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.20円を支持線、26日未明高値112.67円を抵抗線とみておく。
(2)112.20円を上回るうちは26日未明高値超えから113円台序盤試しへ向かう可能性ありとみる。113円台序盤は反落警戒とするが112.50円を上回るうちは週明けへの続伸余地ありとみる。
(3)112.20円割れからは弱気転換注意として25日午前安値111.81円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして111円試しへ向かいやすいとみる。また25日午前安値を割り込んだ後も112円以下での推移が続くうちは一段安警戒が続くとみる。
【当面の主な予定】
10/26(金)
08:30 (日) 10月 東京都区部消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.0%、予想 1.0%)
10:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
21:30 (米) 7-9月期GDP前期比年率 速報 (前期 4.2%、予想
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報値 (速報 99.0、予想 99.0)
10/28(日)
欧州各国が冬時間入り(英との時差9時間、仏独伊とは8時間に拡大)
オーダー/ポジション状況
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