ドル円株安不安,為替条項を警戒し下落基調(10/16)

10/12は世界連鎖株安が一服しドル円も安値更新には至らず先週を終えたが、週明け日米通商協議において米国側が為替条項を盛り込む姿勢を示したことを悲観して円高が進んだ

ドル円株安不安,為替条項を警戒し下落基調(10/16)

【概況】

ドル円は10月8日の上海株安をきっかけとして113円を割り込み、10日から11日にかけてのNYダウ大幅下落をきっかけとして112円を割り込んだ。米長期債利回り低下、ドル安、リスク回避感による円の買い戻しが株安の背景となった。10月12日は世界連鎖株安が一服したためにドル円も新たな安値更新には至らずに先週を終えた。
週明けは日米通商協議において米国側が為替条項を盛り込む姿勢を示したことを悲観して円高が進み、平行して日経平均も前日比423.36円安(1.87%安)と大幅下落した。また上海総合株価指数も先行き不透明感で38.81ポイント安(1.49%安)と下落して年初来安値に迫り、NYダウも前日比89.44ドル安と反落、ナスダックも66.15ポイント安と下げて株安不安が継続する状況となった。

ニューヨーク連銀が発表した10月のニューヨーク州製造業景況指数は21.1で9月の19.0から上昇、市場予想の19.0も上回った。9月の米小売売上高は前月比0.1%増で前月と変わらずであったが市場予想の0.6%を下回った。これらに対する市場反応は限定的だった。

【株安不安拭えず】

NYダウは1月26日高値の後に今回と同様の急落に見舞われたが、その時も2月2日の665.75ドル安、2月5日の1175.21ドル安と2日続きの暴落後に一旦戻したが2月9日へさらに一段安した。その先は日経平均も2月6日まで急落した後にわずかな下げ渋りを入れてから2月14日へ安値を更新しており、今回も10日と11日の暴落だけでは済まない可能性も意識されていることと思う。
9月末の日米首脳会談や当初の閣僚級通商協議では為替問題に関する言及が見られなかったために日経平均もドル円も楽観的な市場心理により上昇基調を継続させていたのだが、内心の懸念として抱えていた為替条項という米国による円安抑制姿勢が示され始めたことで日米通商摩擦問題の深刻化への懸念が強まり始めている。これは1月天井の後に2月序盤でNYダウが下げ渋っても日経平均がさらに3月26日まで安値更新へ進んだ事も思い出させる。
ムニューシン米財務長官は13日に日本との通商協議で「為替条項」を協定に盛り込むよう求める意向を明らかにした。米国は北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でも為替条項を盛り込む姿勢を示している。

【104日移動平均で止まれるか?】

10月4日からの下落規模は7月19日高値及び5月23日高値からの下落規模に近い動きとして始まった。5月23日から5月29日への下落幅は3.27円、7月19日から8月21日への下落幅は3.38円だった。
今回は10月15日安値時点で2.92円の円高ドル安であり、まだ両高値からの下落幅を超えていない。両高値からの下落はいずれも104日移動平均到達で下げ止まっている。
今回も104日移動平均前後が下値支持線として機能するかどうか試される状況にある。仮に104日移動平均(現在111.24円)を割り込んでさらに続落する場合は5月及び7月高値からの下落時を上回り、上昇トレンドにおける調整安のレベルを超えるだろう。そのため前例として参考にすべきは昨年5月11日高値から6月14日への1か月で5.52円の円高ドル安となった局面や、昨年7月11日から9月8日まで凡そ2か月で7.17円の円高ドル安となった局面、あるいは今年1月から3月26日へ下落継続した局面等とされる可能性も考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日未明安値から3日目となる12日未明安値で直近のサイクルボトムをつけたが、15日に底割れしたために10月9日夕高値から3日目となる12日夕高値で直近のサイクルトップをつけて新たな弱気サイクル入りしたと思われる。このため次の安値形成期となる17日未明から19日未明にかけての間へ下落継続しやすい状況と思われる。新たな強気サイクル入りは12日夕高値超えからとし、高値更新へ進めない内は一段安警戒とみる。

60分足の一目均衡表では15日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落状況も継続している。新たな安値更新を回避して112円超えへ戻せば遅行スパンも好転してくるが、いったん好転してもその後の悪化からは下げ再開へ進みやすいとみる。112円前後には先行スパンがあるためその前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15日夕安値111.62円を支持線、112円から112.10円にかけて抵抗帯とみておく。
(2)112円を下回るか一時的に超えても維持できない内は111.62円割れからの一段安警戒とし、安値更新の場合は111.20円から111円前後試しへ向かうとみる。111円以下は反発注意だが、111.50円以下での推移中は17日朝にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)112.10円を超えてその後も112円台を維持し始める場合は強気転換注意として12日夕高値112.49円試しへ向かう可能性ありとするが、112.40円以上は反落注意とする。

【当面の主な予定】

10/16(火)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
10:30 (中) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 4.1%)
10:30 (中) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.3%)
17:30 (英) 8月 失業率・ILO方式 (7月 4.0%、予想 4.0%)
18:00 (欧) 8月 貿易収支 (7月 176億ユーロ、予想)
18:00 (独) 10月 ZEW景況感指数・期待 (9月 -10.6、予想 -10.8)
22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 78.1%、予想 78.2%)
23:00 (米) 10月 NAHB住宅市場指数 (9月 67、予想 67)

10/17(水)
休 場 (香) 重陽節
17:30 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.2%)
17:30 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.6%)
17:30 (英) 9月 小売物価指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.1%)
17:30 (英) 9月 小売物価指数 前年同月比 (8月 3.5%、予想 3.5%)
17:30 (英) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.1%、予想 2.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数 HICP改定値 前年同月比 (速報 2.1%、予想 2.1%)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算件数 (8月 128.2万件、予想 121.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数・年率換算件数 (8月 122.9万件、予想 127.5万件)
25:10 (米) ブレイナードFRB理事、講演
25:30 (独) バイトマン独連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 9月25、26日開催分

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