<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。それも週間を通して、おおむね緩やかな右肩下がりの展開をたどるなど、ドルの弱さが目に付いた。
前週末に「ポンペオ米国務長官が北朝鮮を訪問し、金朝鮮労働党委員長と会談した」などといった報道も観測されたが、為替市場の影響は限定的。ドル/円は、前週末のNYクローズと大差ない113.75円レベルで寄り付いている。
そののち、113.94円の週間高値を記録したが114円台には乗せられず反落に転じると、以降は一貫してドルが冴えない。底堅さのうかがえた112.80円レベルを下回ると、週間安値である111.83円まで1円近く続落した。「世界同時株安」の可能性も取り沙汰される、NYダウが2日連続で合計1200ドルも下げたことが大きく材料視されていた感は否めない。
結局、週末のNYは米株の反発もあり、ドル/円も112円台を回復。112.20円前後で取引を終え越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、「米中間の抗争深刻化」について。
ロイターが「米財務省高官、人民元下落を依然として懸念」と報じたことに続き、英紙FTは「ムニューシン米財務長官、人民元の大幅な下落を注視」と報道、11日からのインドネシアG20財務相・中銀総裁会議と相まって市場の警戒感が高まった。そんなG20は共同声明を発表せず、「G20は議論の場を提供できるが、貿易問題の衝突は当事者同士で解決しないといけない」(議長発言)といった見解にとどまり、明確な協調策は見いだせなかったようだ。混乱がさらに明確化しただけの感を否めない。
また、それと別にイタリアや英国に関する報道も相次ぎ、相場のかく乱要因に。例えば後者について、ダウ・ジョーンズは「英国とEUが15日までに、離脱条件で合意する可能性がある」と報じたほか、「メイ英首相、TPP参加の用意表明」とのニュースも観測されており、一時物議を醸していた。
<< 今週の見通し >>
10月3日の114.55円を高値に、111.83円まで下押しが入ったものの、その後ドルは小じっかり。重要なテクニカルサポートである112円前後は辛うじて維持している格好で、ドルの続落が食い止められている。ドル高の調整局面にあることは確かだが、目先ドルは底堅く推移するのか、それとも一段安をたどるのか、まずは112円前後あるいは先週安値の111.83円をめぐる攻防に注目してみたい。ちなみに、それらレベルで下げ止まり反発に転じれば113円半ばがターゲット。逆に下回るようだと111円レベルや、9月安値110.38円などが意識されかねない。
材料的は、一時鳴りを潜めていた米中そして日米を中心とした貿易戦争懸念が、再び浮上してきた。先週末にはロイターが「ライトハイザー米通商代表部代表が、有力上院議員らに、日本とEU、英国、フィリピンと通商交渉に入る意向を伝えていたことが、関係筋の話で分かった」と報じたことに続き、ムニューシン米財務長官から「貿易交渉で日本に為替条項要求」といった発言が聞かれている。為替市場への影響は気になるところだが、結局は米株の値動き次第か。前述した米貿易ファクターを市場がどれだけ真剣に取り上げ、そして懸念するのか、その見極めが重要になりそうだ。
テクニカルに見た場合、先週の週足はというと「陰の丸坊主」に近い足形で、ドルの基調の弱さをうかがわせる。実体部だけで1.5円を超えたことも、それを裏付けよう。
前述したように、重要なテクニカルサポートである112円前後では辛うじて下げ止まっているものの、チャートの足形からすればドルの続落に注意を払いたい。112円前後あるいは先週安値の111.83円を「しっかり」と下回るようだと、8月安値109.77円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しに当たる111.60円レベルや111円、9月安値110.38円などが意識されそうだ。
一方、材料的に見た場合、9月の小売売上高など米経済指標が発表されるほか、米地区連銀総裁などによる講演も少なくない。また、半期に一度とされる「米為替報告書」が週内に発表される見込みで、こちらも注意を払いたい。なお、「米為替報告書」については、米財務省のスタッフが「中国は為替操作をしていない」との認識を示したと報じられているが、これまでの言動でトランプ米大統領は、逆に「認定を検討している」ことが明らかだ。果たしてどちらに転ぶのか、予断は許さない。
また、これまでの引き継ぎ事項である「欧州ファクター」にも要注意だ。なかでも、2019年度予算案の欧州委員会への提出期限(15日)が迫ってきたイタリア情勢は、とくに気に掛かる。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.00-113.30円。ドル高・円安については、112円半ばが最初の抵抗で、超えれば113.30-50円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースで2度下げ止まった111.80円レベルの攻防にまずは注視。また、それとともにNYクローズで112円を維持できるかどうかも注視されている。ともあれ、割り込むようだと111.60円や111円前後などが意識されそうだ。
オーダー/ポジション状況
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