【概況】
日経平均が10月2日にバブル崩壊後の最高値を更新、10月3日にはNYダウが史上最高値を更新したが、それ以降はそろって急落し始め、10月10日は日経平均もダウもそろって大暴落、11日も大幅続落となった。
ドル円は10月4日に114.54円を付けて3月26日以降の高値を更新したが株暴落への警戒感から下落に転じた。10月7日は大型連休明けの上海株暴落で112.82円まで下げ、10日夜のNYダウ暴落で11日午前には111.97円まで安値を切り下げた。11日深夜に若干戻すもダウ大幅続落により12日未明には111.84円まで安値を更新した。
この間の下げ幅は2.70円であり、日足は6日連続の陰線となった。下落角度は7月19日高値からの下落時を超え、5月23日高値から5月29日まで3.27円の下落となった時以来となっている。5月及び7月からの急落はいずれも52日移動平均でいったん下げ止まったが、52日移動平均は11日時点で111.81円であり、12日未明の安値でほぼ到達した。5月と7月の下落は3月26日以降の中勢上昇トレンドのなかでの調整安であり、今回も同調の調整安として先行きにもう一段高へ進むのであれば下げ止まってもよい水準となる。しかし中勢上昇トレンドから転落しても下落ならば、52日移動平均前後では下げ止まれずにさらに下落が厳しくなる可能性も懸念される。その際は昨年5月及び7月からの下落時並みへ発展する可能性も考えておく必要が出てくると思われる。
【世界連鎖株暴落】
NYダウは10月10日に前日比831.83ドル安、一時は1000ドルを超える暴落幅となったが、11日も前日比545.91ドル安と大幅続落した。10月3日の史上最高値26951.81ドルからは7日目、下げ幅は2025.04ドル安である。
1月26日に当時の史上最高値26616.71ドルから2月9日安値23360.29ドルまで暴落しているが、その時は11日間の下落で2月2日に前日比665.75ドル安、2月5日には1175.21ドル安となり、2月6日には567.02ドル高といったん反騰したもののその後にもう一段安となり、11日間で3256.42ドル安の下げ幅となった。現状は1月26日からの暴落時に近い下落角度で始まっているので類似した動きになる可能性もあるが、1月高値と今回の高値をダブル天井とした下落としてとらえれば前回の暴落レベルを超える懸念もぬぐえない。
トランプ大統領が株安は米連銀の利上げのせいだと連日批判を繰り返しており、また米連銀の利上げ姿勢を揺るがしかねない下げ方となっていることから、さらに世界連鎖株安が継続する場合には米連銀の12月利上げが棚上げされる可能性はあるかもしれない、しかし1月末からの3000ドルを超える暴落発生さほど時間が経過していなかった3月に今年1回目の利上げが決定されていることを踏まえれば前回の暴落レベルを超えてさらに情勢が深刻化しなければ米トランプ政権からの独立性を主張する意味でも12月に利上げを決定する可能性は継続していると思われる。米連銀の利上げ姿勢が大きく後退しているようなプレゼンスがあれば株式市場も落ち着くだろうが、暴落していても利上げが継続するかもしれないという不安感が11日のNYダウ大幅続落の心理的背景でもある。
日経平均は10月2日に1月天井を突破したが、当日を上ヒゲとして反落開始となり、3日から9日へ4日間の続落、10日は36.65円高と下げ渋ったが11日は915.18円安の大暴落となった。NYダウが反騰すれば日経平均も戻すと思われるが、世界連鎖株安のストッパーとしてはこれまでも機能してこなかったので、反騰はNYダウ頼みと思われる。
1月暴落では2月14日までの下落で3179.19円安となり、いったん戻してからの一段安で3月26日安値まで3781.85円安まで下げ幅を拡大し、NYダウの暴落よりも下落規模及び期間が長引いた。ただ3月26日に底を付けてからはドル円の上昇と同調して大上昇に転じていった。今回は10月2日高値24448.07円から1989.05円安であり、1月暴落の途中レベルといえる。
NYダウも日経平均も暴落幅の3分の1、半値を超える反騰を見せられないうちは下げ渋り的な反発を入れてもさらに一段安する懸念を引きずる状況がもう少し続くと思われる。
上海株も11日には年初来安値を更新している。上海株安がさらに継続的になる場合には米中貿易戦争問題も重なって世界景気全般への後退懸念が強まると思われる。10日にはIMFが世界経済成長見通しを下方修正、11日にも新興国市場から11兆円規模の投資マネー流出が懸念され、その規模は10年前のリーマンショック時に匹敵する可能性があると警戒を呼び掛けている。史上最高値を更新したり、バブル崩壊後の高値を更新するなどの上昇は市場心理も「総強気」状態に陥り、青天井期待も出るが、そういう時は逆に強気のピークで天井となり、高値を買いついた投資家の投げ売りによりパニック的な暴落を発生しやすいものだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月3日午前安値を前回のサイクルボトム、10月4日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、10月3日安値から4日目となる9日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて下げ渋り持ち合いとなっていた。10日夜からの下落で持ち合いから下放れて一段安したため、11日朝時点では底割れにより新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる12日未明から16日未明にかけての間への下落を想定した。12日未明へ続落しているためまだ一段安余地が残ること、週末週明けで市場心理も変化しやすいが逆に言えば週末最終までは悲観ムードを引きずりやすいために12日夜にかけては安値試しが続きやすいと注意する。ただし前回サイクルボトムからは3日を経過したのでボトムを付けての反騰注意の時間帯に入っているので、11日夜高値112.53円を超えてくる場合はいったん強気サイクル入りとして12日午後から16日にかけての上昇期となる可能性が考えられる。
60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、両スパン悪化状態が続いている。12日未明への下落では下落速度がやや鈍化しているので新たな安値更新を回避すれば遅行スパンが好転してくるが、その場合は先行スパンが抵抗帯となり、再び遅行スパンが悪化するところからは下げ再開へ進みやすいとみる。強気回復には両スパンそろって好転する必要がある。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12日未明安値111.84円を支持線、11日夜高値112.53円を抵抗線とみておく。
(2)112.53円を超えないうちは一段安警戒とし、111.84円割れからは111円台序盤試しへ向かいやすいとみる。112円以下で終了の場合は週明けも安値試しを続けやすいとみる。
(3)112.53円超えからはいったん強気サイクル入りとして113円前後試しを想定する。113円前後は反落警戒とし、戻りは短命の可能性があるので112.25円割れからは下げ再開とみる。112.50円以上を維持して推移するうちは週明けも高値を試す可能性ありとする。
【当面の主な予定】
10/12(金)
休 場 (伯) 聖母の日
未 定 (ト) トルコで軟禁中の米国人牧師の審理
未 定 (中) 9月 貿易収支 米ドル (8月 278.9億ドル、予想 245.5億ドル)
未 定 (中) 9月 貿易収支 人民元 (8月 1797.5億元)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.3%)
15:00 (独) 9月 消費者物価指数 改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.6%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (9月 100.1、予想 100.6)
25:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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