本格的な調整局面到来、ドルは下値正念場に(10/11夕)

11日の東京市場は、112円挟みで揉み合い。一時111円台を記録し直近安値を更新するも、続落には至らず、むしろ底堅さが目に付いた。

本格的な調整局面到来、ドルは下値正念場に(10/11夕)

<< 東京市場の動き >>

11日の東京市場は、112円挟みで揉み合い。一時111円台を記録し直近安値を更新するも、続落には至らず、むしろ底堅さが目に付いた。

前日のNY時間だけで1円近く下落した流れを継ぎ、ドル/円相場は112.25円前後で寄り付いた。その後も、ドル安・円高傾向は変わらず、一時111円台へと突入したが大きく崩れるには至らなかった。トータルで見れば、111.95-112.35円といった、決して広くないレンジ取引をたどっている。
そうしたなか、日経平均株価は6日続落、しかも下げ幅はクローズベースで915円安。ただ、為替市場への影響は限られたものにとどまり、16時時点では寄り付きに近い112.25-30円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、株価や為替とは別に、仮想通貨も大荒れの様相。早朝6600ドル台で推移していたビットコインは、一時6200ドル台まで急落している。

一方、材料的に注視されていたものは、「トランプファクター」について。
前者は、前日に大統領自身から「利上げ続けるFRBは異常」などとした発言が聞かれたほか、米株安についても「長く待たれていた調整」と指摘、問題視してない考えを明らかにしていた。また、そののち米国発で「トランプ氏、安倍首相に米カジノ大手参入を要求」との報道なども観測されている。
そのほかでは、「メイ英首相、TPP参加の用意表明」、「英財務副大臣、来年3月までに5000の英金融職が国外移転の見通し」など、本日も英国に関して幾つかの報道がみられていたようだ。

<< 欧米市場の見通し >>

10月3日の114.55円を高値に調整局面入りしている感はうかがえたが、思いのほか底堅く、「価格調整」ではなく「時間調整」の様相が垣間見えていた。しかし、昨日の欧米時間にごく短期のサポートである112.80円レベルを割り込むと下げが加速し、本日東京ではついに111円台を記録している。予想していた「時間調整」ではなく、「価格調整」の公算が大きく、ドルの続落も否定出来ないが、東京安値に近い112円レベルは重要かつなかなか強いテクニカルポイントだ。112円前後を維持し、再びドル高・円安への期待を抱く強気派の声も聞かれていた。
材料的には、米貿易問題などと絡め、11日からのインドネシアG20財務相・中銀総裁会議を警戒する向きも多い。また、関連事項としてFT紙が報じた「ムニューチン米財務長官、人民元の大幅な下落を注視」との発言なども気掛かりだ。足もとのドル高調整は株安にともなう面が大きいが、米中間抗争の激化といった政治要因からも、ドルを徐々に買い進めにくくなっている感を否めない。

テクニカルに見た場合、足もとはドル高基調のなかの調整局面。ただ、112円前後というレベルは維持されており、相撲でいえば徳俵上で辛うじて下げ止まっていると言えるかも知れない。ザラ場はもちろん、NYクローズでも112円をめぐる攻防には注意を払いたい。
なお、112円レベルをしっかり割り込んだ場合の下値メドは、8月安値109.77円を起点としたフィボナッチの61.8%押しにあたる111.60円や、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.40-45円などとなりそうだ。

一方、材料的に見た場合、9月の消費者物価指数といった米経済指標が発表されるほか、米財務省から30年債の入札が実施される予定となっている。それらは一応要注意。
また、それらとは別に、継続案件である英国やイタリアといった欧州情勢にも警戒が必要であるほか、明日までインドネシアで実施される「G20財務相・中銀総裁会議」にも注意を要する。共同通信によると、後者のG20では、貿易不均衡や新興国からの資金流出などが議論され、後者と絡めてドル高や米利上げなども俎上にのぼる見込みだという。予断は許さないだろう。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.80-113.00円。ドル高・円安方向は、昨日までサポートとして寄与してきた112.80円レベルが今度は抵抗に。抜ければ113円台回復を否定出来ず、113.30円レベルなどがターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京で記録した111.95円レベルの攻防が注視されている。しっかりと割り込んだ場合には8月安値109.77円を起点としたフィボナッチの61.8%押しにあたる111.60円や、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.40-45円などが下値メドに。(了)

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