ドル円 10/4まで上昇基調、変化の動き(週報10月第2週)

高値警戒感から10月3日に159.66円安、4日に135.34円安、5日に191.90円安と続落した。これら株安がリスク選好による円安ドル高にとってはブレーキとなった。

ドル円 10/4まで上昇基調、変化の動き(週報10月第2週)

【概況】

8月21日安値109.77円からの上昇基調を継続して9月27日には7月19日高値113.15円を超えた。この段階では3月26日底からの上昇が5月21日までを一段目とし7月19日までを二段目として8月21日からは三段上げの三段目へと発展し、上値目途も昨年11月6日天井の114.72円や昨年7月11日高値114.49円、昨年5月11日高値114.36円などの114円台中後半まで切り上がった。
10月1日に114円に到達、4日には114.54円を付けてこの間の高値を更新して昨年11月6日高値にあと一歩と迫ったが、10月3日からの株安を圧迫要因として4日夜には113.63円まで下落。5日夜には米雇用統計がさほどの材料にならなかったものの、日米株の続落により113.56円まで安値を切り下げて週を終えた。

NYダウは10月3日に26951.81ドルを付けて1月天井を突破、史上最高値を更新したが、当日を上ヒゲとして下落、4日に200.91ドル安、5日には180.43ドル安と大幅続落した。米株高依存の日経平均は10月2日に24448.07円を付けて1月天井を突破していたが、高値警戒感から10月3日に159.66円安、4日に135.34円安、5日に191.90円安と続落した。これら株安がリスク選好による円安ドル高にとってはブレーキとなった。

10月5日夜に米労働省が発表した米雇用統計では9月の非農業部門雇用者数が13.4万人増となり市場予想の18.5万人増を下回った。10月3日のADP民間雇用報告で23.0万人増だったために予想を上回る可能性も意識されたが、結果は失望となった。ただ8月が当初の20.1万人増から27.0万人増へ上方修正されて3か月間の平均値は19万人増となったために雇用増の堅調さは継続として失望は一時的なものにとどまった。失業率は3.7%まで改善して1969年以来の低水準となり、平均時給の伸びも前月比で0.3%増、前年同月比で2.8%増と堅調だった。総じて今回の米雇用統計は先のFOMCで示された2020年へ向けた利上げの継続及び今年12月会合で4度目の利上げが決定されるであろう流れを変えるものではないと受け止められたが市場反応は限定的だった。

【国慶節明けの中国市場で株安元高に】

国慶節で丸1週間休場していた上海市場が再開した。上海総合株価指数は休場中のアジア株や香港株式市場の下落、日米株安や米中問題の先行き不安を背景に休場前比で3.72%安と大幅下落した。ドル人民元は6.9335元の高値を付けて8月15日の6.9348元に迫るドル高元安となった。8月16日に米中次官級協議再開報道をうけてドル高元安はいったんストップし、その後は中国人民銀行による人民元基準値算出方法の変更等による抑制姿勢でドル高元安が抑えられていたが、それでも8月後半からはドル高元安がじわじわと続いてきた。10月8日は株安を受けて歯止めが利かなくなって8月高値に迫るドル高元安となったようだ。

10月8日の為替市場ではユーロがイタリア問題への懸念もあって下落し、英ポンドも下げる等ドルストレートではドル高となった。その一方でドル高以上にクロス円で円高が進んだためにドル円は下落したという印象だ。上海市場での株安元安の影響が大きかったといえる。9日以降も上海市場が軟調推移し日米株が下げるようだとドル円にとっても大きな売り圧力となる。

10月4日高値114.54円から9日未明安値112.82円までは1.72円の円高ドル安であるが、9月7日以降の上昇トレンドのなかでは2日から3日間で1円強の上昇、その後に1日から1日半で0.50円規模の調整安を入れながらも段階的に高値を切り上げ底値も切り上げてきた。10月4日からの下落はこれまでの上昇トレンド内における調整レベルを超えている。また8月29日高値111.82円から9月7日安値110.38円まで1.44円の円高ドル安となったのが8月21日以降の上昇基調の中での調整安としてはこれまで最大だったが、今回は当時の下落規模も超えたことになる。

【1年サイクルの天井期】

112.50円前後まで下げたとしてもその後の反騰で下げ幅の半値以上を解消する上昇となれば8月21日からの三段上げの三段目としての上昇基調も継続してゆく可能性はあるだろう。そのためには日米株高が再開し、上海市場も落ち着いてリスクオン心理が回復することが必要だ。112.50円を割り込んでさらに続落という流れになると10月4日高値で戻り一巡、下げ再開に入った可能性が意識されると思われる。
概ね10か月から1年周期の天井・底打ちサイクルでドル円相場は推移してきた。このサイクルの天井は2015年11月18日、2016年12月15日、2017年11月6日につけてきたが、昨年11月天井から11か月を経過しており、このサイクルの天井を付けてもよい時間帯にいることに注意すべきだろう。このサイクルの大底は2016年6月24日、2017年4月17日、2018年3月26日であり、仮に現状でサイクルの天井を付けた場合には次の底形成期となる来年2月から3月にかけての間へ下落基調が継続しやすくなると考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月3日午前安値を前回のサイクルボトム、10月4日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。今回の安値形成期は8日から10日にかけての間と想定されるので、早ければ9日未明安値でボトムを付けて反騰入りする可能性もあるが、9日夜から10日朝にかけてはまだ一段安しやすい時間帯と思われる。113.50円を超えないうちはボトム形成への下落警戒とし、113.50円超えからはいったん強気サイクル入りとして9日の日中から11日にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性があると思われるため、いったん強気転換した後の底割れからは新たな弱気サイクル入りとなる点に注意する。

60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、その後も両スパン悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とみる。安値更新が止まれば遅行スパンは好転しやすくなるが遅行スパン好転の場合は先行スパンが抵抗となり、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開へ進みやすいと思われる。

60分足の相対力指数は9日未明の下落で20ポイント割れまで低下してかなりの売られ過ぎにあるが、4日夜安値からの安値切り下がりに対する指数のボトムアップによる強気逆行は見られないためまだ一段安余地ありと注意する。相場が安値を更新し、指数のボトムが9日未明時点より切り上がれば強気逆行による反騰注意と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9日未明安値112.82円を支持線、113.50円を抵抗線とみておく。
(2)113.50円超えへ進めないうちは一段安警戒とし、安値更新の場合は112円試しへ向かうとみる。112円前後は反騰注意とするが、113円以下での推移中は安値試しを続けやすいとみる。
(3)113.35円超えを強気転換注意、113.50円超えの場合はいったん短期的な強気サイクル入りとして113.75円前後への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性があるので113.75円以上は反落警戒とし、その後に4日以降の安値を割り込む場合は新たな下落期入りとして112円試しへ向かう可能性ありと考える。

【当面の主な予定】

10/9(火)
休 場 (韓) ハングルの日
08:50 (日) 8月 国際収支・経常収支 (7月 2兆0097億円、予想 1兆8896億円)
08:50 (日) 8月 国際収支・貿易収支 (7月 -10億円、予想 -2080億円)
09:30 (豪) 9月 NAB企業景況感指数 (8月 15 )
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (8月 48.7、予想 47.0)
15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 165億ユーロ、予想 162億ユーロ)
15:00 (独) 8月 経常収支 (7月 153億ユーロ、予想 162億ユーロ)
20:30 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

10/10(水)
朝鮮労働党創立記念日
休 場 (台) 建国記念日

08:50 (日) 8月 機械受注 前月比 (7月 11.0%、予想 -3.7%)
08:50 (日) 8月 機械受注 前年同月比 (7月 13.9%、予想 1.6%)
11:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演(バリ島)
12:35 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、ワルジヨ・インドネシア中銀総裁、記者会見
17:30 (英) 8月 貿易収支 (7月 -99.73億ポンド、予想
17:30 (英) 8月 鉱工業生産指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.1%)
17:30 (英) 8月 製造業生産指数 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.6%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.3%、予想 2.6%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 0.0%)
23:00 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.6%、予想 0.8%)
25:15 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

10/11(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・バリ島、12日まで
豊洲市場開場日
07:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前月比 (8月 0.0%、予想 0.2%)
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前年同月比 (8月 3.0%、予想 2.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 20.8万件)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.4%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.3%)
27:00 (米) 9月 月次財政収支 (8月 -2141億ドル)

10/12(金)
休 場 (伯) 聖母の日
未 定 (ト) トルコで軟禁中の米国人牧師の審理
未 定 (中) 9月 貿易収支 米ドル (8月 278.9億ドル、予想 245.5億ドル)
未 定 (中) 9月 貿易収支 人民元 (8月 1797.5億元)
08:50 (日) 9月 マネーストックM2 前年同月比 (8月 2.9%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 8月 住宅ローン件数 前月比 (7月 0.4%、予想 -1.0%)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.3%)
15:00 (独) 9月 消費者物価指数 改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.6%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (9月 100.1、予想 100.6)
25:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

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