ドル円見通し 7月高値を突破、ダブル天井破り(9/28)

9/27夜の上昇で7/19高値113.15円を突破した。このため3/26底からの上昇は5/21までを一段目、7/19までを二段目、8/21からの上昇が三段上げの三段目という状況に入った。

ドル円見通し 7月高値を突破、ダブル天井破り(9/28)

【概況】

9月7日安値110.38円からの上昇で9月26日には113円台に到達して7月19日高値113.15円に迫ってきた。この間は概ね2日から3日間の上昇で1円強の円安ドル高、その後に1日程度の調整安で0.50円前後の円高ドル安を入れてまた一段高するというパターンを繰り返してきた。
9月27日未明の米連銀FOMCで今年3度目の利上げが決定され、2020年までのメンバーによる利上げ予想回数(中央値)も6月会合時点と変わらず、今回初めて示された2021年については利上げ予想回数ゼロとなり利上げサイクルの終点も見えた。FOMC声明発表当初はサプライズ無しとしてイベント通過感からいったん下落したが下げ幅はわずかで、売り一巡後には113.13円まで上昇して9月7日以降の高値を更新して7月19日高値113.15円にあと一歩と迫った。しかし7月19日高値を超えられなかったために113円到達での高値警戒感がやや優勢となって下落に転じ、27日夕刻には112.55円まで下げた。

27日夕刻からイタリアの来年度予算がポピュリスト政党の主張に沿った財政赤字拡大方針となる見込みが高まったことへの懸念からユーロが急落、ポンド等も連鎖安となりドル高感がぶり返してドル円も上昇に転じた。ユーロは27日深夜から28日未明にかけてさらに続落したためドル円の上昇も加速して27日未明高値及び7月19日高値を突破、113.45円まで高値を切り上げた。

【FOMC、日米通商協議、イタリア財政】

FOMCについては概ね想定内であり、利上げサイクルの先行きがある程度見通せたことはドル高材料としては材料消化といえる側面もあるが、12月に今年4度目の利上げがなされることも確実視され、2019年も3回ないしは4回の利上げが粛々と進んでゆくことは米長期金利上昇の先行性によるドル高要因でもあるため、ドル売りを加速させるものにはならなかった。

日米首脳会談では二国間通商協議継続中は制裁的な日本車への関税強化は見送られることとなって市場もやや安堵しているが、その代わりに農産物や防衛関連での輸入拡大を迫られており、今後に不安を残すものとなった。ただ為替水準について公の圧力はかからなかったためドル円としてはドル全面高と同調して上昇することはまだ許容範囲のこととしてドル高円安へ進みやすい市場心理になったと思われる。

イタリア連立政権は来年度の予算案を巡り、財政赤字の対国内GDP比率を2.4%とすることで合意した。財政赤字比率を巡っては連立政権を構成する「五つ星運動」と「同盟」が2.4%近辺での積極的財政拡大を主張し、トリア経済財務相が2%以下とすることを主張して協議されていたが、連立主流派の主張が通った。五つ星運動は景気刺激を目的に向こう2〜3年にわたってEUの財政規律に縛られない拡張的な予算編成を行うことを主張してきたため、イタリアが財政改革を行わずに膨張的な予算編成を続けてEUと対立して混乱が高まることが懸念される。

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

9月27日夜の上昇で7月19日高値113.15円を突破した。このため3月26日底からの上昇は5月21日までを一段目、7月19日までを二段目とし、8月21日からの上昇が三段上げの三段目という状況に入った。三段目の上昇が長期にわたるかどうかは今後の展開次第だが、ダブル天井破りにより上値抵抗線は昨年11月6日高値114.72円や昨年7月高値111.49円、昨年5月高値114.38円等のある114円台前半まで切り上がってきた印象だ。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは9月18日午前安値から4日目の24日早朝安値ないしは24日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクルに入ったとし、高値形成期を26日の日中から28日にかけての間と想定してきた。27日未明高値からの反落で弱気転換目安とした112.70円を割り込み、9月7日以降の安値を結ぶ上昇トレンド支持選から転落したため27日朝時点では27日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定し、新たな安値形成期を27日朝から10月1日夜にかけての間とした。
27日夜に27日未明高値を上抜いたため、27日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして次の高値形成期となる10月2日から4日にかけての間への上昇を想定する。113円割れから続落の場合は弱気転換注意とするが、新たな弱気サイクル入りは27日夕安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では27日夜の上昇で先行スパンを突破、遅行スパンも好転した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、両スパン揃って悪化するところからは安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は28日未明への上昇で70ポイントを超えているので目先的な高値警戒感があるが、60ポイント台を支持線とし、さらに指数のピークを切り上げる可能性ありとみる。ただし、相場が高値を更新する中で指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて60ポイントを割り込む場合は弱気転換注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を113.00円、上値抵抗線を113.50円とみておく。
(2)113円を上回る内は高値試し優先とし、113.50円超えからは114円試しを想定する。114円到達ではいったん売られやすいとみるが、113円台を維持するうちは週明けに高値更新する可能性ありとみる。
(3)113円割れを切り返せなくなる場合は112.70円台試しとするが、そこでいったん買い戻しも入りやすいとみる。ただしさらに続落の場合は弱気転換注意として27日夕安値112.55円試しとし、底割れからは弱気転換として10月2日から4日にかけての間への大幅下落を警戒する。

【当面の予定】

9/28(金)
07:00 (加) ポロッツ・カナダ中銀総裁、講演
10:45 (中) 9月 財新製造業PMI (8月 50.6、予想 50.5)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -0.7%、予想 0.3%)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 5.2%、予想 5.2%)
17:30 (英) 4-6月期経常収支 (前期 -177億ポンド、予想 -194億ポンド)
17:30 (英) 4-6月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
17:30 (英) 4-6月期GDP、改定値 前年同期比 (速報 1.3%、予想 1.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数(HICP)速報値 前年同月比 (8月 2.0%、予想 2.1%)

21:30 (米) 8月 個人消費 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:20 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
22:45 (米) 9月 シカゴPMI (8月 63.6、予想 62.0)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 100.8、予想 100.5)
29:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

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