9/7から上昇基調の範囲だが、上値もやや重い(9/20)

米トランプ大統領は中国が対抗措置をとる場合には中国から輸入する残り全ての製品に25%の追加関税を課すと表明した。これまでも8月までに実施済の500億ドル規模

9/7から上昇基調の範囲だが、上値もやや重い(9/20)

【概況】

9月18日早朝に米国が中国製品2000億ドル規模に対する制裁関税を24日から発動することを表明したためにドル円は18日午前に111.65円までいったん下落したが、発表内容にサプライズ無しとし、また当初から25%の上乗せ税率を適用しなかったことから初期的なドル売り円買いが一巡してからは反騰に転じ、18日午後には112.27円を付けて9月14日深夜高値112.16円を上抜いた。
9月18日16時過ぎに中国が対抗措置を発表した直後には112円割れまで反落したが早々に切り返して112.30円台へ上昇した。

9月19日も米中問題に対する株式市場の楽観的な反応が続き、日経平均は18日の325円高で5月以降の高値を更新していたが、19日は251円高の続伸となり、13日からは4連騰となり、1月高値に迫る勢いとなった。
ドル円は昼の日銀金融政策決定会合及び午後の黒田総裁会見等も控えていたためにやや慎重な動きにとどまり、総裁会見後の17時台には112.44円まで戻り高値を切り上げたが、その後は伸び悩んだ。
19日夕刻には英国のEU離脱問題についてメイ英首相がEU側からの提案を受け入れられないとしたことでユーロやポンドが売られる等ややリスクオフ的な動きになったことでドル円の上昇も抑えられた。

19日夜に米商務省が発表した8月の住宅着工件数は季節調整後年換算で128.2万件となり前月比9.2%増となった。市場予想の123.5万件を超えたが、先行指標の住宅着工許可件数は5.7%減の122.9万件となり2か月振りの前月比マイナスで市場予想の131万件も下回った。強弱まちまちで市場反応は限定的だった。
NYダウは158.8ドル高と続伸して米中問題に対する楽観姿勢を継続した。また株高と来週のFOMCを控えて米長期債が売られて米10年債利回りは3.092%、30年債利回りが3.248%まで上昇した。米長期金利上昇は日米金利差拡大によりドル高円安要因となっている。

【株式市場では楽観的姿勢が続く】

米トランプ大統領は中国が対抗措置をとる場合には中国から輸入する残り全ての製品に25%の追加関税を課すと表明した。これまでも8月までに実施済の500億ドル規模、今回発表の2000億ドル規模の関税対象に加えて2670億ドル規模の拡大によりほぼすべての中国製品に関税をかける姿勢を示してきたが、税率については初めて言及となった。中国が今回の2000億ドル規模関税発動へ600億ドル規模の対抗措置を表明したことに対応する発言だったようだが、一方で大統領は「どこかの時点で中国と合意できるかもしれない」とも述べており、米中協議による進展へ含みを残している。

中国の李克強首相は19日の世界経済フォーラム夏季会議において米中問題に言及し、「問題があれば協議によって解決すべき」「中国が故意に元相場を動かしていると考える人がいるが、元安によって輸出を促進することは絶対にしない」と述べた。8月24日に中国人民銀行が人民元の基準値算出方式を変更することで元安を抑制する姿勢を示してからは人民元相場は落ち着いている。今回の関税拡大でも大きな動きを見せていない。上海株は年初来安値をいったん更新してから2連騰しており、中国市場も今のところは冷静な反応にとどまっている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は中国が9月下旬に予定されている米中閣僚級協議について応じるかどうかを再検討しているとし、劉鶴副首相の代わりに王受文商務次官を訪米させる案も検討されていると報じた。米財務長官による招請を蹴って決裂感を市場に印象付けるのか、次官級にレベルを落としても協議継続姿勢を示すのか注目される。

【日銀金融政策決定会合】

日銀は18日から19日午前までの金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定した。特段のサプライズはなく、市場の反応もあまり見られなかった。安倍首相が14日に金融緩和を正常化する出口政策の道筋を3年以内に付ける考えを示したが、黒田総裁も会見で「あくまでも2%の物価目標を実現すべく金融緩和を続ける。いつまでも続けたいということはない。2%達成後は当然出口の議論になる。政府と日銀の政策協定は依然として有効かつ必要だ」と述べた。

【60分足 サイクル、一目均衡表分析】

【60分足 サイクル、一目均衡表分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13日未明安値から3日目となる18日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクルに入ってきた。14日深夜高値を基準として今回の高値形成期は19日夜から21日夜にかけての間と想定されるので、早ければ19日夕高値でサイクルトップを付けた可能性もあるが、112円台を維持するうちは20日夜、21日にかけて一段高へ進む可能性が残る。20日未明安値112.15円割れを弱気転換注意とし、112円割れからはいったん弱気サイクル入りと仮定して21日午前から25日にかけての間への下落へ進む可能性が高まるとみる。

60分足の一目均衡表では18日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを突破したが、19日夕高値以降は横ばい推移にとどまっているため20日朝時点では遅行スパンが悪化している。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後の好転から上昇再開の可能性ありとみるが、先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は19日朝から19日夕への高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行型を示しているためやや下向き有利な姿と思われる。20日の日中に高値を更新してくる場合に19日朝の指数ピークを超えられないと弱気逆行感が強まると思われる。また40ポイント割れへ下降する場合は下げ再開が懸念される。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。

(1)当初、20日未明安値112.15円、次いで112.00円を下値支持線、19日夕高値112.44円を上値抵抗線とみておく。
(2)112円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、112.44円越えからは112.70円台試しを想定する。また先行きでは113円を目指す可能性も出てくるとみる。
(3)112.15円割れを弱気転換注意、112円割れからは弱気サイクル入りと仮定して18日午前安値111.65円試しを想定する。また112円以下での推移が続くうちは21日にかけても安値試しを継続しやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/20(木)
韓国大統領、北朝鮮訪問、平壌で南北首脳会談
自民党総裁選
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%、予想 6.50%)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期GDP 前期比 (前期 0.5%、予想 0.8%)
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期GDP 前年同期比 (前期 2.7%、予想 2.5%)
16:30 (ス) スイス国立銀行 3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
17:30 (英) 8月 小売売上高指数 前月比 (7月 0.7%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 20.4万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (8月 11.9、予想 16.0)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感 速報値 (8月 -1.9、予想 -2.0)
23:00 (米) 8月 景気先行指数 前月比 (7月 0.6%、予想 0.5%)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 [年率換算件数]  (7月 534万件、予想 538万件)
26:20 (欧) プラートECB専務理事、講演[NY]

9/21(金)
08:30 (日) 8月 全国消費者物価指数 前年同月比 (7月 0.9%、予想 1.1%)
08:30 (日) 8月 全国消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 0.8%、予想 0.9%)
13:30 (日) 7月 全産業活動指数 前月比 (6月 -0.8%、予想 0.1%)
16:30 (独) 9月 製造業PMI、速報値 (8月 55.9、予想 55.7)
16:30 (独) 9月 サービス業PMI、速報値 (8月 55.0、予想 55.0)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI、速報値 (8月 54.6、予想 54.5)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI、速報値 (8月 54.4、予想 54.4)

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