<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週間を通した値幅そのものは1.3円ほどで決して大きくはなかったが、「寄り付き安・大引け高」に近い展開で、ドルの強さが目に付いた。
前週末には、トランプ米大統領から「日米交渉、物別れなら日本側は一大事に」といった発言が改めて聞かれるなど、米貿易問題が改めてクローズアップされたものの、実勢相場への影響は限定的。ドル/円は、前週末のNYクローズと大差ない111円前後で寄り付き、そのレベルが週間を通してのドル最安値となった。
以降は、細かな上下動はあったものの、流れとしては緩やかな右肩上がり。週末にかけては112円台を回復、週末NYでも112.05円レベルと、終値ベースでは7月19日以来の高値圏で取引を終えている。
なお、先週はドル/円以外、ユーロ/円やポンド/円などのほかトルコリラ/円やランド/円なども週間を通して大きく値を上げており、さながら円は全面安の様相だった。
一方、週間を通して注目された材料は、「トランプファクター」と「北朝鮮情勢」。
前者については、前述した「日米交渉」に関するトランプ氏自身の発言や、「米司法省に『匿名寄稿者』の調査要求」との報道が観測されたことに続き、「中国との貿易問題、米国は強硬な姿勢を崩さない」をはじめ米中や日米、あるいはNAFTAに関するものなど貿易問題に関する発言も目に付いた。
対して後者は、前週末に「北朝鮮が建国70周年の軍事パレード実施、ICBMは登場せず」と米国に対し配慮の姿勢が伝えられるなか、「北委員長がトランプ大統領に書簡、再会談を打診する意思示す内容」と報じられたことに続き、米国が再会談に向けた調整に入ったと指摘されている。また、週末にかけては、北朝鮮と韓国による南北実務協議への関心が一時高まっていたときもあったようだ。
<< 今週の見通し >>
再三再四指摘していたように、今年の相場特徴のひとつが「ダマシ」であり、上抜けたかと思いきや「レンジを若干広げただけで、もとのレンジにプルバック」−−する展開などが少なくなかったが、ようやく呪縛から解き放たれた感もあり、さらなるドル高進行が期待されている。今年8月に記録した高値112.15円をわずかながら更新しており、次のテクニカルポイントは、7月高値113.17円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに当たる112.35-40円で、そのレベルも抜けると7月高値が名実ともに視界内へと捉えられそうだ。
しかし、材料的にはむしろ逆、政治要因としてはドル安・円高を予想させるようなものが短期的は少なくない。もっとも典型的なのは、週末にかけて実施される日米閣僚級による通商協議再開や、NY国連総会とあわせた日米首脳会談などとなろう。また、先週末にかけては米紙WSJが、「米大統領、17日にも対中関税発動を表明へ」と報じているなど、米中の貿易問題についても引き続き要注意だ。先週は米株が堅調に推移し、ドルの支援要因となったことから、米貿易問題を受けたNYダウの動きなどにも警戒を要したい。
テクニカルに見た場合,ザラ場ベースはともかく、NYクローズでは超えられなかった一目均衡表の先行帯の雲を先週末に掛けて、しっかりと上放れてきた。先週の当欄で、その一目の観点から、「そろそろ足もとの保ち合いも煮詰まっており、次のトレンドがついに示されることになるのかもしれない」−−と指摘したが、予想が実現した可能性がある。
そんなドルの次の上値メドは、7月高値113.17円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに当たる112.35-40円で、そのレベルも抜けると前記した7月高値や年初来高値の113.38円などがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、9月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数などの米経済指標の発表が予定されているほか、18-19日に実施される日銀決定会合を注視する声も少なくない。後者について若干補足をすれば、「国内での複合的な自然災害を背景に、改めて金融緩和策の長期化方針が示される」−−との読みもあり、その場合には為替市場への影響も当然ありそうだ。
また、今週は「南北朝鮮が首脳会談(20日?)」、「国連総会(18-20日)」ならびに日米閣僚級による通商協議再開や、日米首脳会談など注目の政治ファクターが目白押し。こちらも注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.90-113.00円。ドル高・円安については、8月高値と面合わせした格好ながら「しっかり」と超えられていない112.15-20円で、その少し上112.35-40円にも抵抗あり。ただ、それらを超えると113円台回復も否定できない。
対するドル安・円高方向は、一目や移動平均その他でサポートが集中している111円前後などはかなり底堅そう。調整などが先行しても、大崩れすることは予想しにくい。(了)
オーダー/ポジション状況
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