<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、引き続き揉み合い商状。週間を通して上下に振れる、やや荒っぽい値動きながら、結局レンジ内に帰結し抜け切れなかった。
前週末に、米ホワイトハウスが「トランプ氏、11月のASEAN・APEC会議欠席」−−を発表するなど幾つかの気になるニュースが伝えられたが、ドル/円相場への影響は限定的。前週末のNYクローズとほぼ同レベルの111.05-10円で寄り付いた。
そののち、週央にかけてドルはじり高に推移し、111.76円の週間高値を記録するも続かず、週末にかけては逆に下値を探る展開に。110.38円まで値を下げたのち、週末NYはドルがやや小戻した111.00-05円で大引け、越週となっている。
なお、それ以外の通貨ペアは、ユーロやポンド、豪ドル、ランド、トルコリラ−−etcが引き続き荒れ模様の値動きをたどったが、金融市場で話題となっていたのは通貨ではなく「仮想通貨」。たとえば、代表格であるビットコインは5日から6日かけて2度の急落に見舞われ、7300ドル台後半で推移していたものが、6300ドル台へと実に1000ドルもの急落をたどっていた。
一方、週間を通して注目された材料は、「トランプファクター」と「北朝鮮情勢」。
前者については、週明けから大統領自身の発言として「中間選挙前の政府機関閉鎖はない」、「中国との通商協議、まだ合意できない」、「米加NAFTA再交渉は数日中に結論」といった発言が報じられたほか、「トランプ政権、米国防長官の交代説が浮上(のち、大統領自身が直接否定)」との報道や米紙NYタイムズが「米政権高官、匿名でトランプ氏を批判」と報じ、話題となっていた。また、米紙WSJが「トランプ米大統領は貿易赤字の削減に向け、対日圧力の強化に意欲をみせている」などと報じ、週末にかけて物議を醸す。
対して後者は、朝鮮中央通信が「北委員長、ミサイル担当幹部死去で弔問」と報じ、2週間ぶりに金氏の行動が明らかになるなか、そののち「訪朝した韓国特使団が金北委員長と面会した」と報じられたうえで、会談の成果として「9月18日に南北首脳会談を開催へ」、「金委員長、核実験は永遠に不可能と語る」−−といった報道が観測されていた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円は依然として方向性が定まらない。再三再四指摘しているように、今年の相場の特徴のひとつは「レンジを抜けたと思いきや、再び回帰する」という展開で、一言でいえばいわゆる『ダマシ』が生じやすい。実際、先週も110.38円まで値を下げ、過去2週間程度のレンジを一時下抜けたものの、その後111円台まで押し戻され、結局形成レンジを広げただけで終わっている。ともかく、まずは過去2週間程度の形成レンジである110.38-111.83円をめぐる攻防に注目だ。小動きが続くことでエネルギーはかなり蓄積しているとみられることで、『ダマシ』ではなく、「しっかり」とレンジを抜けていくことが出来れば、大きく値が飛ぶ可能性もある。
材料的には、米貿易問題を中心とした「トランプファクター」が今週も波乱要因か。米大統領がSNSなどを使用し、世界各国に様々なケンカを吹っ掛けていることは周知のことだが、先週末にはついに日本に対して「貿易赤字削減を強くけん制」してきた。トランプ氏がもっとも重要視する11月の米中間選挙まで残り2ヵ月をきるなか、対外的な成果を強調するような傾向が続くと見る市場参加者も多い。続報などには要注意だ。
テクニカルに見た場合、前述したように2週間ほどレンジ取引をたどっており、これを一目均衡表でみると111円±50銭程度で推移してきた先行帯の雲の中で、ほぼ推移していたことにほかならない。
そんな一目の雲は、今週も週の半ばぐらいまでは従来のレンジをたどるが、以降は来週にかけての「雲の捻じれ」に向け、上限と下限が急接近を示す。それからすると、方向性はともかくとして、そろそろ足もとの保ち合いも煮詰まっており、次のトレンドがついに示されることになるのかもしれない。期待半分で注目しておきたいところだろう。
一方、材料的に見た場合、8月の消費者物価指数や同小売売上高など、週間を通して注目の米経済指標の発表が相次ぐうえ、米財務省による米債の入札や米地区連銀総裁などによる講演も目白押しだ。先週末に発表された米雇用統計が良好な内容となったことなどもあり、金利面においては今週も基本的にドルの支援要因となる可能性がある。
ただ、それに対してドル安要因として懸念されるのが、先でも指摘した「トランプファクター」。とくに米中そして日米の通商面での対立激化となるようだと、円高進行もやむなしかもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.90-111.90円。ドル高・円安については、日足・一目の雲の上限が位置する111円半ばが最初の抵抗。抜ければ、フィボナッチを参考にしたテクニカルポイントにもほぼ合致する目先高値の111.83円や8月高値112.15円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値の110.38円をめぐる攻防にまず注視。そのレベルを下回ると前回安値であり、移動平均の200日線も位置する109.70-80円が視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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