ドル円 8/29深夜高値に迫るが更新には至らず(9/6)

9月5日に米商務省が発表した7月の貿易統計(通関ベース)によると対中貿易赤字は前月比10%増の368億ドルで国別では引き続き最大となった。

ドル円 8/29深夜高値に迫るが更新には至らず(9/6)

【概況】

8月29日深夜高値111.82円からいったん下落に入って31日には110.68円まで下げたが、その後はドル高を背景に切り返した。5日夜には英国のEU離脱交渉でドイツが厳しい要求を撤回したとの報道やその否定報道等からポンドが乱高下し、ユーロもいったん連れ高となった局面ではドル円もリスクオン的な上昇となって111.75円まで高値を伸ばしたが、29日深夜高値には届かずに反落している。6日朝時点では111.50円を割り込んでいる。
9月5日からは米国とカナダのNAFTA再交渉協議が再開しているが、まだ合意に至るかどうか不明であり、市場も行方を見守っている。米国による中国への2000億ドル規模の関税強化問題では9月6日に意見公募期間が終了するため、その後にトランプ大統領が関税発動に踏み切るのではないかとの懸念も継続している。そうした問題を背景にリスクオン心理先行でドル高円安へと走るのは時期尚早としてドル円上昇にはブレーキがかかっている印象だ。

国内で災害が相次いでいることもドル円の上昇にブレーキをかけているかもしれない。関西の台風被害に続き、6日早朝には北海道で大規模地震が発生している。全道停電等もあり災害リスクによる国内投資家によるポジション縮小による円の買い戻しも出ているかもしれない。

【貿易戦争拡大懸念と新興国通貨安の継続】

9月5日に米商務省が発表した7月の貿易統計(通関ベース)によると対中貿易赤字は前月比10%増の368億ドルで国別では引き続き最大となった。対日赤字は2.9%増の52億ドルだった。赤字幅の順位としては中国、ドイツ(66億ドル)、メキシコ(55億ドル)、日本の順であり、米トランプ政権にとっては対中制裁へ動きやすい数字と思われる。
トランプ米大統領は5日のホワイトハウスでの発言で「中国との交渉は非常にうまく行っている。しかし我々は中国側が望む内容で合意するつもりはない」「中国との交渉は続けていく。習近平国家主席を非常に尊敬している」が「現段階では合意できない」と語ったようだ。

新興国通貨安も拡大しており、南ア・ランドは一時2.3%安と下げて 約2年ぶりの安値となった。メキシコ・ペソも大幅下落、インドルピーとインドネシアルピアは史上最安値を更新している。貿易戦争問題の先行き不透明感が米連銀の金融緩和縮小取り上げ継続と重なって投機マネーのドルへの還流を進めて新興国通貨安となっている。週末への動きで米加問題、米中問題等によりドル高が進む場合でもクロス円での円高が勝ってくるようだとドル円も下落しかねないところと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月31日安値でサイクルボトムをつけて強気サイクルに入った。今回の高値形成期は9月3日朝から5日深夜にかけての間と想定されたが、5日深夜高値から6日午前へ反落しているため、5日深夜高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入った印象だ。次のボトム形成期は6日の日中から7日夜にかけての間と想定される。既に31日安値から3日を経過しているので早ければ6日中にボトムをつけて上昇再開へ向かう可能性もあるが、111.50円以下での推移中は下向きとして6日夜にかけては安値を試しやすい時間帯とみる。111.50円超えから5日深夜高値へ迫る場合は強気転換注意とし、5日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして次の高値形成期となる10日夜から12日深夜にかけての間への上昇へ進みやすくなるとみる。

60分足の一目均衡表では6日午前への反落で遅行スパンが悪化してきた。先行スパンからはまだ転落していないが、転落への余裕が乏しくなっている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパン転落からは下落が加速しやすいと注意する。遅行スパン好転からは上昇再開の可能性ありとし、5日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4日から5日深夜への高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行となり、50ポイント割れへ低下している。30ポイント前後試しまで下降する可能性もあるとみるが、50ポイント台回復、維持からは上昇再開の可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.50円を上値抵抗、111.25円を下値支持線とみておく。
(2)111.50円以下での推移中は111.25円割れから111.00円前後試しへ下落継続しやすいとみる。通商摩擦問題等の報道で下落が加速する場合は6日夜から7日にかけて31日安値110.68円試しまで下値目処が切り下がる可能性もあるとみる。
(3)111.50円超えからは上昇再開の可能性ありとして5日深夜高値試しを想定する。当初は5日夜高値とのダブルトップ型を形成して反落しやすいとみるが、29日深夜高値も超える場合は112円台序盤まで上値目処を引き上げる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

9/6(木)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 18.73億豪ドル、予想 14.50億豪ドル)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 -4.0%、予想 1.8%)
20:30 (米) 8月 チャレンジャー人員削減数 前年比 (7月 -4.2%)
21:15 (米) 8月 ADP民間雇用者数 前月比 (7月 21.9万人、予想 予想 19.3万人)
21:30 (米) 4-6月期 四半期非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (前期 2.9%、予想 2.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.3万件)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 ISM非製造業景況指数 (7月 55.7、予想 56.8)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 0.7%、予想 -0.6%)

9/7(金)
未 定 (中) 8月貿易収支 (7月 280.5億ドル)
08:30 (日) 7月 全世帯家計調査・消費支出 前年同月比 (6月 -1.2%、予想 -0.8%)
09:00 (日) 7月 毎月勤労統計調査-現金給与総額  前年同月比 (6月 3.6%、予想 2.4%)
14:00 (日) 7月 景気先行指数(CI)・速報値 (6月 104.7、予想 103.5)
15:00 (独) 7月 貿易収支 (6月 218億ユーロ、予想 195億ユーロ)
15:00 (独) 7月 経常収支 (6月 262億ユーロ、予想 198億ユーロ)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.9%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP、確定値 前期比 (改定値 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP、確定値 前年同期比 (改訂値 2.2%、予想 2.2%)

21:30 (米) 8月 非農業部門雇用者数 前月比 (7月 15.7万人、予想 19.1万人)
21:30 (米) 8月 失業率 (7月 3.9%、予想 3.8%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前年同月比 (7月 2.7%、予想 2.7%)
21:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
22:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
25:45 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

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