ドル円111円前後でシッカリ 21日以降の上昇トレンド攻防?

27日夜、米国がメキシコとのNAFTA(北米自由協定)再交渉で合意したと報じられたことから米国の仕掛ける世界的な貿易戦争全面化へのリスクが後退したとして

ドル円111円前後でシッカリ 21日以降の上昇トレンド攻防?

【概況】

8月27日は英国市場が休場。米国の主要経済指標発表もなく日中は手掛かり難だったが、週末午後からのドル安を継続して11時台には110.93円まで下落した。111円割れは買い戻されたが22時台には再び110.94円まで下げたものの新たな安値更新を回避してしっかりしている。
8月24日は中国人民銀行が人民元基準値算出方式を変更したことが元安抑制へ動き始めたと受け止められてドル安人民元高となり、米中貿易戦争問題への中国側の妥協姿勢として人民元以外でもドル安感が強まった。
24日23時からのパウエル米連銀議長のジャクソンホール公演も内容はハト派だったとしてユーロ高ドル安等、メジャー通貨でのドル安が加速したためにドル円も24日深夜に下落した。
週明けもドル安の流れを継続したが、日中はユーロの上昇が緩んだことや人民元の反発も一服して小康状態だったためにドル安にはややブレーキがかかり、ドル円も111円前後での膠着状態となった。

27日夜、米国がメキシコとのNAFTA(北米自由協定)再交渉で合意したと報じられたことから米国の仕掛ける世界的な貿易戦争全面化へのリスクが後退したとしてNYダウは大幅上昇、ユーロが一段高するなどドル安感が再燃した。メキシコペソも上昇して新興国通貨安不安が後退した。
NAFTA再合意への動きは米国の仕掛ける貿易戦争リスクの後退としてはドル安だが、リスクオンによる株高はクロス円にとっては上昇要因となるため、ドル円としては株高へ同調して高値を試すか、ドル安を反映して安値を試すのかの板挟みとなっているところだが、株高が進めば戻しやすくなると思われる。

【高値切り上げ型の足場を固められるか】

米中貿易戦争問題の険悪化が23日の米中商務次官級協議や24日の人民銀行基準値算出方式変更等による元安抑制で一服している。上海株も反発しており、そこへNAFTA再交渉合意報道も加わって、全般的にはリスクオン心理が優勢となってきている。
7月19日高値113.17円から8月1日高値112.15円、8月15日高値111.42円と戻り高値が切り下がり、その後の安値も7月26日110.59円、8月13日110.10円、8月21日109.77円と切り下がる下降トレンドが形成されてきたが、8月24日への上昇で111.48円まで進んで15日高値をわずかに上抜いた。さらに8月24日高値を更新する流れへ進めば「安値切り上げ、その後の高値も切り上げる強気パターン」を形成してゆく可能性が高まる。
8月21日安値と22日安値を結んだ支持線は今のところ維持されているので、111円割れを切り返すうちは24日高値更新からもう一段高へ戻して行く可能性も維持されていると思われるが、ここで110.50円を割り込むような下げが発生すると強気パターン形成がとん挫しかねない。

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

【60分足 サイクル及び一目均衡表分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月21日安値でサイクルボトムを付けて上昇したが、24日昼高値でサイクルトップを付けて反落した。今回のサイクルにおける安値形成期は24日から28日の日中にかけての間と想定される。27日朝の戻り高値111.34円を上抜けないうちは28日の日中ないしは夜にかけて安値を試す可能性が残るが、すでにボトムを付けて反騰入りしてよい時間帯に入っているので、早ければ27日昼前安値110.93円をサイクルボトムとした上昇期に入ってくる可能性がある。このため27日朝の戻り高値111.34円越えからは新たな強気サイクル入りと仮定して次の高値形成期となる29日から31日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では27日昼前、夜の安値は先行スパン内に収まって転落を回避した。111.25円越えからは先行スパン突破へ進み、27日朝高値越えからは突破状態もより強まるので上昇再開として24日高値試し、さらに高値更新へ進む可能性が出てくると思われる。ただし、先行スパンを突破できないか、一時的に超えても転落へ向かう場合は24日高値からの下落継続ないしは27日安値割れによる新たな下落期入りとなる可能性も踏まえて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は27日昼前と夜の安値形成時では指数のボトムがやや切り上がっているため、55ポイント越えからは上向きとし、70ポイント台序盤を目指す上昇へ向かう可能性が高まるとみる。ただし40ポインと割れからは下げ再開と仮定して30ポイント割れへ向かう可能性を考える。

8月21日安値と22日安値を結ぶ支持線は111.00円前後にある。このラインを維持するうちは上昇継続性ありとみる。24日高値前後では当初、ダブルトップ形成による下落再開のリスクがあると思われるが、高値更新なら27日への下げ幅の倍返しで112円台を試す可能性が出てくると思われる。逆に次の111円割れからは支持線割れとなるため、急落型の下落に転じるリスクが高まると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、27日安値110.93円を支持線、27日朝高値111.34円を抵抗線とみておく。
(2)110.93円割れ回避のうちは上昇余地ありとし、111.25円越えから上向きとし、27日朝高値越えからは24日高値111.48円試しへ向かうとみる。111.50円前後でダブルトップ形成の可能性があるため、再び111.25円を割り込む場合はダブルトップからの下落再開注意とするが、高値更新なら112円台序盤を目指す上昇へ向かいやすくなるとみる。
(3)27日朝高値を超えられないか、24日高値とダブルトップを形成して27日安値割れへ反落する場合は下げ再開として110.50円前後への下落を想定する。さらに110.75円以下での推移が続く場合は29日、30日へ続落しやすくなるとみる。また貿易戦争問題等の報道次第では8月15日夜への下落時や20日夜からの下落時並みの下げ方にもなりえると注意する。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

8/28(火)
20:00 (欧) プラートECB理事、講演
22:00 (米) 6月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (5月 6.5%、予想 6.4%)
23:00 (米) 8月 リッチモンド連銀製造業指数 (7月 20、予想 18)
23:00 (米) 8月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (7月 127.4、予想 126.5)

8/29(水)
14:00 (日) 8月 消費者態度指数・一般世帯 (7月 43.5、予想 43.3)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 10.6、予想 10.6)
21:30 (米) 4-6月期 四半期GDP、改定値 前期比年率 (速報値 4.1%、予想 4.0%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 0.9%、予想 0.5%)

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