<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。週の初めには110円を割り込み、6月28日以来となる109円台を記録したものの、その後はドル買いが優勢となり逆行高、111台まで値を上げている。
前週末にそれほど大きな材料がなかったこともあり、先週末のNYクローズに近い110.55-60円で寄り付いたのちドルはジリジリと値を下げ、110円割れへ。週間安値である109.77円まで下落し、レンジの下限を割り込んだかと思われたが、結局「ダマシ」に。週末にかけては、むしろ逆行高の動きが顕著になると111円半ばまで上昇。そののち、やや小緩んだものの、週末NYは111.25-30円のドル高値圏で大引け、越週となった。
なお、そうしたなか、ユーロ相場が荒れ模様。対円では週初を安値に3円を超える上昇をたどっている。対して、2週続けての荒れ模様だったトルコリラは、同国金融市場が「犠牲祭」で休場になったことが影響してか、週間を通して静かな変動にとどまった。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」。
前者については、最大の関心事であった22-23日に実施された米中次官級協議をめぐり様々な思惑やニュースなどが飛び交うも、「閣僚級協議」ではなかったこともあり、大きな決定事項はなし。ただ、トランプ米大統領自身がインタビューで、「大きな進展を期待していない」「中国との話し合いに期限はない」と述べていたことから、失望のドル売りも限られている。
対して後者は、IAEAが報告書を発表し「北の『未把握の核活動』増加を懸念」したとの見解を示したほか、北分析サイトの38ノースも「ミサイル発射場の解体は停滞」と発表、北朝鮮情勢に暗雲が立ち込めるなか、週末にトランプ氏が「27日週に予定していたポンペオ国務長官の訪朝を中止するよう指示」と明らかにしたことが大いに注目を集めていた。
<< 今週の見通し >>
過去4週、週間を通した価格変動が1円から1.4円ほどにとどまっていたが、先週はおよそ1.7円の変動で、動意復活の兆しがうかがえる。とは言え、先でも取り上げたように先週もっとも動いた通貨はユーロで、またスイスやポンド、豪ドルやランドも、突如として浮上した材料などもあり、なかなか荒っぽい変動だった。そうした意味において、ドル/円は依然として「主役」にはなり切れていない、と言ってよいだろう。また、今週は先週「犠牲祭」によるマザーマーケットの休場もあり週間を通して小動きに終わったトルコリラに動意が戻ってくる可能性も取り沙汰されており、それを受けドル/円の注目度が再び低下する危険性もないではない。ドル/円はある意味での正念場を迎えそうな気がしている。
材料的には、今週も幾つかの意味を含め、「トランプ米大統領の一挙手一投足」に注目が集まりそう。11月に予定されている米中間選挙まで気が付けば2ヵ月強となるなか、米中を中心とした「貿易問題」への対応や、先週末に新展開をみせた「北朝鮮情勢」、「口止め料支払い問題」−−そのほか諸々、問題が山積している。大統領自身の発言や行動を中心に、関連ニュースの内容によっては、相場への影響は否定出来ないだろう。
テクニカルに見た場合、過去1ヵ月近くも続いていた110.10-112.15円という2円程度のレンジの下限を先週一時下回ったものの、週末のNYは111.25-30円で大引けており、今年の相場の特徴である「レンジを若干拡大させただけ」−−に終わった感を否めない。つまり、いっとき高まったドルの下値トライ機運は完全に殺がれた格好で、「ダマシ」だったと言ってよいだろう。むしろ、先週上抜けることが出来なかった111円半ばを超えれば112円台回復が見えてくる。その場合には、ドルの続伸に期待がかかりそうだ。
一方、材料的に見た場合、8月の消費者信頼感指数や4-6月期のGDP改定値など、重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、2年債など米短期債の入札も実施される予定で、それらはいずれも要注意。とくに、ここ最近発表される米経済指標が全体的に冴えないものが多いことで、今週発表の指標内容によっては失望のドル売りを誘うことになりかねないかもしれない。
なお、前述した「貿易問題」などのほか、「トルコ」や「南アフリカ」など多方面にわたり小競り合いも観測されている「トランプファクター」は、やはり気掛かり。会見などが予定されていなくてもSNS発信、自分で話題を提供することも少なくないだけに予断は許さない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.00円。ドル高・円安については、先週高値でもある111円半ばが最初の抵抗。抜ければ、フィボナッチを参考にしたポイントである111.85円や前回高値112.15円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、110円後半に弱いサポートが位置しており、割り込むようだと日足・一目均衡表の雲の下限が横ばいで推移する110.65円レベルの攻防が注視されそうだ。そのレベルを下回ると、週足・一目の雲の上限や移動平均の52週間が位置する110.20-30円を目指す展開も。(了)
オーダー/ポジション状況
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