ドル円15日夜の急落にブレーキ米中協議に期待?(8/17)

17日未明には111.12円まで高値を切り上げたが111円台を維持しきれずに17日朝を迎えている。

ドル円15日夜の急落にブレーキ米中協議に期待?(8/17)

【概況】

8月15日に111.42円まで戻した後に再びリスク回避感が強まって15日深夜安値110.43円までほぼ1円規模の急落となった。16日午前も軟調推移で開始していたが中国商務省次官が訪米するとの報道をきっかけに米中貿易協議進展期待となって株式市場が反発、ドル円もやや戻した。17日未明には111.12円まで高値を切り上げたが111円台を維持しきれずに17日朝を迎えている。

米フィラデルフィア連銀の8月製造業景況指数は11.9となり前月の25.7から低下、市場予想の22.0も下回った。

米商務省が発表した7月の住宅着工件数は、季節調整後年換算で116.8万件となり、前月比0.9%増加したが、市場予想の126万件を下回った。住宅着工許可件数は131.1万件で1.5%増加となり市場予想の131.0万件とほぼ一致した。これらはややドル安要因となったが反応は限定的だった。

ドル高に関して要人発言もあった。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は「ドルの安定は信頼の証しである」と発言してドル高容認姿勢を示した、またトランプ米大統領も「米経済は堅調、過去にめったにないほど資金が我々の大切なドルに流入している」とツイートしたことで、ドル高容認姿勢と市場は受け止めた。

トルコリラは3日連続で反騰、リラ暴落が一服している。しかしムニューシン米財務長官が「トルコ当局が拘束している米国人牧師ブランソン氏を解放しなければ、同国に追加制裁を科す」と発言する等緊張は続いているため、先行き不透明感は継続している。

南アランドは下落、ルーブルとアルゼンチンペソは安値圏に止まり、インドルピーは安値を更新、人民元は前日の安値からは戻したがまだ安値圏に止まっている。これら新興国通貨安は一服しているものの、もう一段階の新興国通貨安が進む場合には通貨危機的なレベルへと発展しかねない不安を抱えた状況と言える

米FRBはパウエル議長がワイオミング州ジャクソンホールで8月24日(日本時間24日23時)から開かれる経済金融シンポジウムに出席すると発表した。講演テーマは「変革する経済における金融政策」で利上げ姿勢や貿易戦争問題、新興国通貨安に対する言及があるかどうか注目される。

【米中通商問題で事務次官級協議 8月23日から】

中国商務省は王受文次官等の代表団が8月下旬に貿易協議のため米国を訪問すると発表した。米国からの提案に応えるものでマルパス米財務次官(国際問題担当)と協議する模様。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版は事務レベル協議が8月22日から23日にかけて開催される模様と報じた。

米中貿易協議は6月初旬に劉副首相とロス商務長官による閣僚級協議が行われ、妥協的合意形成へ動いたもののトランプ大統領の一声でこれはつぶされた。その後に500億ドル規模の中国製品への制裁関税が決定され、既に340億ドル規模の製品への関税が発動されており、今回の次官級協議が開催される最中の8月23日からは残り160億ドル規模への関税が予定通りなら発動される見込みだ。

中国側も500億ドル規模の米国製品への対抗関税を発動するとしており、これに対抗して米国側はさらに追加で2000億ドル規模の中国製品への制裁関税率引き上げを計画し、9月に実施する見込みとなっている。

6月初旬の閣僚級会議でまとまらなかったものが次官級レベルの協議で進展するのかどうか懐疑的な見方もされているが、直前までは悲観一色だったところでの報道だったために市場もやや過剰反応したと思われる。

特に株式市場ではNYダウが396ドル高と反騰して楽観的なところを見せた。一方、為替市場は比較的冷静な動きで、ユーロ等が戻したものの勢いはまだ鈍い。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13日午後安値を前回のサイクルボトムとして上昇したが、15日夜の急落により16日午前時点では15日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。

また安値から0.50円以上の反騰となりさらに続伸する場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性があるとした。

17日未明へ安値から0.68円幅で戻し、その後も15日深夜安値からの安値切り上げが見られる。

111.12円を超えない内は110.70円割れから下げ再開の可能性を優先するが、111.12円を超える場合は15日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定して、次のトップ形成期となる20日から22日にかけての間への上昇を想定する。その場合は15日高値111.42円前後からの反落注意とするが、高値更新の場合は8月1日高値112.15円を目指す可能性が出てくると考える。

また強気サイクル入りした後は直前高値から0.50円以上の反落となるところからは下げ再開注意、15日深夜安値割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落期入りを想定する。

60分足の一目均衡表では17日早朝への上昇で先行スパンから上抜けてきている。

遅行スパンも好転している。

111.11円超えからは遅行スパン好転の高値試し優先とし、110.70円割れからは両スパン揃っての悪化が見込まれるため安値試し優先へと切り替える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.70円を支持線、111.12円を上値抵抗線とみておく。
(2)111.12円を下回る内は110.70円割れから下げ再開として15日深夜安値110.43円試し、さらに13日安値110.10円試しへ下落再開となる可能性が残る。
(3)111.12円超えからは強気サイクル入りと仮定して15日高値111.42円試しを想定する。
当初はダブルトップ形成からの反落警戒とし、直前高値から0.50円以上さげるところからは下値追い再開とみるが、15日高値を超える場合は111.70円前後への上昇を想定する。また111.50円以上を維持し始める場合は8月1日高値112.15円試しまで上値目処を引き下げる。

【当面の主な予定】

8/17(金)
17:00 (欧) 6月 経常収支 (5月 224億ユーロ )
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数(HICP、改定値) 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.1%)
23:00 (米) 7月 景気先行指数 前月比 (6月 0.5%、予想 0.4%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (7月 97.9、予想 98.0)

8月23-24日 米中事務次官級協議 8月24日 ジャクソンホールシンポジウムでのパウエル議長講演

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