【概況】
7月31日の日銀金融政策発表から円安となり、8月1日には112.15円まで戻したが、この戻りが一巡した後はジリ安の展開で推移してきた。先週後半はトルコリラの暴落による新興国通貨安からリスク回避的な円高感が強まったために8月10日深夜には110.51円まで下げて7月26日安値を割り込んだ。
週明け13日は早朝からトルコリラが大幅続落となり、日経平均も400円以上の大幅安となったために昼過ぎには110.10円まで急落した。13日夜は110円割れをひとまず回避した事での突っ込み警戒感から110.93円まで戻し、上げ幅は0.83円幅となったが111円には届かずにいる。
【新興国通貨安】
トルコリラの下落はエルドアン大統領が再選されてから中銀への政治介入を強めたこと等から発生していたが、米トランプ政権が米国人拘束問題で態度を硬化させ、トルコへの鉄鋼・アルミ関税を大幅に引き上げるとしたことが暴落を加速させた。10日には1日で一時23%を超える暴落となり、週明けもさらに大幅続落したが、14日朝時点でもまだ落ち着いていない。
トルコリラ暴落をきっかけとして新興国通貨全般が売られている。南アランド、インドルピー、ロシアルーブル、アルゼンチンペソが急落しており、新興国通貨に対するドル全面高感が強まっている。
ユーロドルもトルコリラ暴落の余波で10日に1.1500ドルの支持線を割り込んで持ち合い下放れで急落した。13日もさらに続落し、深夜へはやや戻したものの今年1月から4月にかけての高値圏持ち合いから下放れして大幅下落した時と同様に2か月半の持合いから転落したばかりのため先行きの一段安も警戒される状況となっている。
NYダウも新興国通貨安を警戒して4日続落しており、まだパニック的ではないものの米国株式市場への影響も警戒すべき状況になりつつある。日経平均も4日続落だが、10日の300.31円安、13日の440.65円安と下落度合はNYダウ以上となっており、脆弱性が懸念されるところだ。
注目しておきたいのはドル人民元。8月3日に6.8926元の高値をつけた後は新たな高値更新に至っていないが、6.80元前後を支持線として高止まりし、10日、13日と連騰して6.8881元へ上昇、3日高値へ迫っている。新興国通貨安が人民元にも波及し始めており、ドル人民元が高値更新となれば益々新興国通貨安が深刻化しかねない。その際はドル全面高の一方でリスク回避的なクロス円での円高、ドル円でも円高となる可能性が警戒される。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月26日安値、7月31日安値、8月3日深夜安値、9日昼安値と概ね3日周期で安値をつけてきた。高値は8月1日、6日夜、9日夜とこれも3日毎につけてきた。10日夜からの下落で9日昼安値を割り込んだため、現状は底割れによる弱気サイクル入りとして14日から16日にかけての間への下落期と考えられる。ただし、13日午後安値からの反騰が大きかったためにボトム形成が短縮されて戻しに入った可能性もある。戻り高値が8月1日以降はほぼ1直線で切り下がっており、13日深夜高値もこの抵抗線に抑えられているので、強気サイクル入りには13日深夜高値を上抜く必要がある。
13日夜高値110.93円を超える場合は13日午後安値110.10円をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への上昇を想定する。13日夜高値を超えられない内は14日夜から16日にかけての間への一段安余地ありとし、110.50円割れから続落し始める場合は下げ再開として13日安値割れを目指すとみる。
60分足の一目均衡表では13日夜への反発では先行スパンを上抜けずにいるが、110.65円以上を維持して推移すれば先行スパンを上抜ける。110.50円割れから続落なら先行スパン転落状況の維持ないしは再開となる。このため14日午後へ110.65円以上での推移に入れば13日夜高値試し高値更新からは遅行スパン好転中の高値試し優先の流れへ進むとみる。110.50円割れから続落の場合は下げ再開の可能性を優先し、遅行スパン悪化からは安値試し優先としてゆく。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.50円を下値支持線、13日夜高値110.93円を上値抵抗線とみておく。
(2)110.50円以上を維持し、14日午後以降も110.65円を上回る場合は13日夜高値試しとみる。13日夜高値超えの場合は9日夜高値111.18円試しとするが、9日夜高値を超えられずに110.65円割れへ失速する場合は下げ再開とみる。
(3)9日夜高値超えからは111.50円前後試しを想定するが、111.50円以上は反落警戒とみる。
(4)111.50円割れからは下げ再開と仮定して13日安値110.10円試しを想定する。さらに底割れからは110.50円前後への一段安を想定する。(了)<9:55執筆>
【当面の主な予定】
8/14(火)
11:00 (中) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 9.0%、予想 9.1%)
11:00 (中) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 6.0%、予想 6.3%)
15:00 (独) 4-6月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (独) 4-6月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 2.3%、予想 2.1%)
15:00 (独) 7月 消費者物価指数(CPI、改定値) 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
17:30 (英) 6月 失業率(ILO方式) (5月 4.2%、予想 4.2%)
18:00 (欧) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%、予想 -0.4%)
18:00 (欧) 4-6月期 四半期GDP、改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4-6月期 四半期GDP、改定値 前年同期比 (速報 2.1%、予想 2.1%)
18:00 (独) 8月 ZEW景況指数 (7月 -24.7、予想 -21.2)
21:30 (米) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 -0.4%、予想 0.1%)
21:30 (米) 7月 輸出物価指数 前月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
8/15(水)
17:30 (英) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 0.0%、予想 0.0%)
17:30 (英) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.4%、予想 2.5%)
17:30 (英) 7月 小売物価指数 前月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
17:30 (英) 7月 小売物価指数 前年同月比 (6月 3.4%、予 3.4%)
17:30 (英) 7月 卸売物価コア指数 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.1%)
21:30 (米) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.5%、予想 0.1%)
21:30 (米) 7月 小売売上高(除自動車) 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (7月 22.6、予想 20.0)
21:30 (米) 4-6月期 四半期非農業部門労働生産性・速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 2.4%)
21:30 (米) 4-6月期 四半期単位労働コスト・速報値 前期比年率 (前期 2.9%、予想 0.2%)
22:15 (米) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 0.6%、予想 0.3%)
22:15 (米) 7月 設備稼働率 (6月 78.0%、予想 78.2%)
23:00 (米) 8月 NAHB住宅市場指数 (7月 68、予想 67)
オーダー/ポジション状況
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