<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、レンジ取引。1週間を通した値幅は1円に届かない、いわゆる「時間調整」の様相で、明確な方向性はうかがえなかった。
前週末にG20財務相・中銀総裁会議が開催され、米国の貿易問題が話題になると、「貿易摩擦激化で世界経済のリスク増大」との声明が発表されたものの、為替市場への具体的な影響となると限定的。ドル/円は前週末比と、それほど変わらない111.35円レベルでの寄り付きとなった。
その後も折につけ、米貿易問題などを材料に上下に振れるもトレンド決定までには至らず。週間を通して111円を挟んだ上下50ポイント程度のボックス圏を逸脱できないまま、結局、週末のNYは111円前後と、ちょうどレンジのど真ん中で取引を終え、越週としている。
一方、週間を通して注目された材料は、大きく3つ。継続案件である「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」、そして新たに加わった「日銀の動静」について。
米貿易問題については、25日に実施された米欧首脳会談で「貿易障壁縮小への取り組みで一致」、米欧については情勢が一服した感があるものの、それが逆に米中あるいは日米などの貿易問題を浮き彫りにした面も否めない。対して、北朝鮮情勢については、ポンペオ米国務長官から「北朝鮮が核物質の生産を続けている」といった発言が聞かれる一方で、「朝鮮戦争の休戦協定締結65年を迎えた27日、米兵の遺骨55柱を米軍に引き渡し」とのニュースが伝えられるなど、好悪入り乱れていた。
なお、日銀の動静については、ロイターが「今回の金融政策決定会合で、鈍い物価動向を踏まえ、物価2%目標の実現に向けた金融緩和策の持続可能性を高める方策を議論する検討に入った」と報じ、物議を醸すなど今週30-31日に実施される日銀会合が俄かに注視され始めた感もある。
<< 今週の見通し >>
大局的に見た場合、リスクはドル高方向に引き続きバイアスがかかるものの、足もとは調整局面となっている。それも、価格ではなく時間調整の色合いが極めて濃い状況だ。実際、先週は1週間を通したレンジが110.55-111.55円といたところで、約1円に留まっている。今週も、まずは先週記録したレンジ、111円±50銭を上下どちらに抜けていくのか、その方向性を注視したい。上方向であれば112円レベル、あるいは112.25円といったところが次の抵抗として予想される反面、下抜ければ移動平均の200日線など長期線が位置する110.10-20円がターゲットに。
材料的には、引き続き「米貿易問題」が注目され、なかでも名実ともに8月入りすることで、これまで棚上げされていた「日米新通商協議」を中心とした両国間の貿易問題がクローズアップされても不思議はない。また、先で指摘した「日銀情勢」への関心が急速に高まっているなか、30-31日の日銀決定会合ならびに総裁会見には要注意だ。先週末に掛けての動きで、織り込まれた部分もあるが、ともかく発表までの相場は思惑などから荒っぽい変動をたどる可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、週足の一目均衡表において、前々週にわずか10ポイント程度と、極めて薄い間隙を突き、先行帯の雲を一気に上抜けてきた、つまり、ドル高派にとっては大きな追い風だったわけだが、それが「ダマシ」だった可能性が早くも取り沙汰されているようだ。
何故なら、わずかながら先週末のNYクローズにおいて、先行帯の雲(111.00-40円)を下回ってきたことが大きく、ドルの続落を懸念する声も少なくない。ちなみに、そんな週足ベースの一目・先行帯の雲は今週110.95-111.40円に位置する。先週は下抜けたかどうか微妙だっただけに、今週は「しっかり割り込める」か否かに注意を払いたい。
一方、材料的に見た場合、7月のダラス連銀製造業活動指数や同消費者信頼感指数など、重要な米経済指標、それも最新である足もと7月分のデータが幾つか発表される予定となっている。先週末に発表された4-6月の米GDP速報値は、事前予想にわずかにとどかなかったとはいえ、なかなかの好数字で米経済回復基調が示されただけに、今週も堅調な指標内容を期待する声が多いようだ。
そのほか、発表される米企業決算なども引き続き注視されるほか、30-31日に予定されている日銀に続く、31-1日のFOMC、日米中銀の行動には注意を払いたい。後者であるFRBについても、「今回は利上げ見送りでも先行きの利上げ継続方針が示唆される可能性がある」−−などいった指摘が聞かれる反面、先週聞かれたトランプ大統領によるFRB政策への「口先介入」から利上げの示唆には動きにくいとの予想も指摘されていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.00円。ドル高・円安については、先週高値の111.55円レベルが最初の抵抗で、上抜ければ112円前後、112.60円レベル、113円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値である110.55-60円の攻防にまずは注視。しっかり下回ると、移動平均の200日線あるいは52週線が位置する110.10-20円、あるいは日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する109円後半から110円が意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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