ドル円見通し 5月9日夜に156円へ迫ってから反落、5月3日夜以降の戻り一巡感(24/5/10)

米新規失業保険申請件数が大幅に悪化したことをきっかけとしたドル安により下落に転じて10日午前には155.20円台へ下げた。

ドル円見通し 5月9日夜に156円へ迫ってから反落、5月3日夜以降の戻り一巡感(24/5/10)

ドル円見通し 5月9日夜に156円へ迫ってから反落、5月3日夜以降の戻り一巡感

〇ドル円、5/9午前155.16へ下げるも夕刻155.94へ一段高、その後も155.94を付けたが156円に届かず
〇米新規失業保険申請件数の大幅悪化をきっかけとしたドル安で下落に転じ、5/10午前155.20台へ下げる
〇新規失業保険申請件数が大幅増、利下げ開始判断に寄与するとの思惑から長期債利回り低下・ドル全面安
〇米長期債利回りは総じて低下、NYダウは大幅上昇して7連騰、ナスダックも反発
〇5/9夕高値155.94を超えないうちは一段安余地あり、155円割れからは154円台前半への下落を想定する
〇155.94を上抜くところからは新たな上昇期入りとみて、157円を目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は5月3日夜安値151.85円からのリバウンドを継続して5月8日夜に155.66円へ上昇し、9日午前に155.16円まで反落したところから夕刻高値155.94円へ一段高となり、その後も155.94円を繰り返し付けたものの156円には届かず、米新規失業保険申請件数が大幅に悪化したことをきっかけとしたドル安により下落に転じて10日午前には155.20円台へ下げた。
4月29日高値160.16円から5月3日夜安値までの下げ幅8.31円に対する半値戻しラインの156.00円に迫ったところからの失速だが、5月3日夜の米雇用統計を通過した後のドル高に一巡感がみられることと三度目の市場介入への警戒感により戻り一巡でいったん仕切り直しに入っている印象だ。
今夜はECB理事会議事要旨、5月米ミシガン大消費者信頼感指数の発表があるが、ミシガン大調査の期待インフレ率にも注目が集まる。

【米新規失業保険申請件数が大幅増】

5月9日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は5月4日までの週間で前週比2万2000件増の23万1000件となり2週連続で悪化した。昨年11月の22.8万件を超えて2023年8月の23.4万件以来の高水準であり、4週平均も前週比4750件増の21.5万件となり3週ぶりに悪化した。失業保険受給者総数は4月27日までの週間で178万5000人となり前週から1万7000人増加した。
労働市場の引き締まり感が後退したことはFRBの利下げ開始判断に寄与するものと市場は受け止めて発表後は米長期債利回りが低下、ユーロ、ポンド、豪ドル等が揃って反騰してドル全面安となり、ドル円も156円未達から155円台前半へ失速するきっかけとなった。

米FRB高官や地区連銀総裁らによる早期利下げ期待へのけん制的な発言は続いている。
5月9日にサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は物価圧力は緩和し続けているとしながらも今後数か月のインフレの動向は相当な不確実性があるとし、年内に利下げ開始については「様子見モード」だと述べ、「インフレが根強く一段の低下へ進展が見られないうちは労働市場低迷の兆候が確認されない限り金利の調整に着手するのは適切ではない」とした。
5月7日にミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が年内の利下げ回数がゼロになる可能性もあると指摘し、5月8日にはボストン連銀のコリンズ総裁が「物価安定には当初の想定よりも時間がかかる」として早期利下げへの慎重姿勢を示している。来週の米4月CPI等が顕著に低下すれば9月利下げ期待度も高まると思われるがCPIが高止まりを続ける場合には年内の利下げが見送られる懸念も増すところだ。

【米長期債利回りは総じて低下、ダウは7連騰】

5月9日の米長期債利回りは総じて低下した。米新規失業保険申請件数が大幅に悪化したこと、30年債の四半期入札が堅調だったことで債券買い・利回り低下反応を招いた印象だ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%低下の4.46%で終了した。5月1日から5営業日連続低下して7日には一時4.42%をつけ、8日は大幅低下一服で前日比0.04%上昇としたが、9日は一時4.52%まで上昇したところから前日の上昇幅を解消する低下となり、直近のピークである4月25日に付けた4.74%を起点とした低下傾向が継続している印象となった。
30年債はこの日の四半期入札(250億ドル)を堅調に消化したことで前日比0.03%低下の4.61%となり、2年債利回りも0.02%低下の4.82%となった。

一方でNYダウは前日比331.37ドル高と大幅上昇して5月1日から7連騰とし、ナスダック総合指数も前日比43.51ポイント高と反発した。NYダウは3月21日に史上最高値39889.05ドルをつけ4月17日安値37611.56ドルまで大幅下落したため、第1四半期の上昇一巡で第2四半期は下落期入りという様相となったがその後は下げ渋り、5月入りから上昇を再開している。利下げ開始への楽観と米景気が堅調さを保っていることによる先高期待が回復している印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は5月3日夜安値151.85円からのリバウンドを継続して9日夕高値155.94円へ上昇したが4月29日からの大幅下落に対する半値戻しラインの156円手前で抵抗感を見せて10日朝には155.20円台へ失速しているため、5月9日夕高値で当面のピークを付けていったん仕切り直しの下落期に入っている印象だ。
5月9日夕高値を上抜き返せないうちは10日夜への下落を想定し、週明けも続落する場合は5月9日午前安値を基準として14日午前から16日午前にかけての間への下落を想定する。5月9日夕高値を上抜くところからは新たな上昇期入りとみて14日夕から16日夜にかけての間への上昇を想定するが、市場介入への警戒感も強まると注意する。

60分足の一目均衡表では5月10日朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込み始めているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパン下限が下値支持線となりやすいとみるが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。ただし、先行スパン下限に迫っても転落を回避して先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月8日夜から9日夕への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられ10日午前序盤に30ポイント台へ低下したため50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、155.00円を下値支持線、5月9日夕高値155.94円を上値抵抗線とする。
(2)5月9日夕高値を超えないうちは一段安余地ありとし、155円割れからは154円台前半への下落を想定する。154円前後は買われやすいとみるが、売りの連鎖反応で急落する場合は153円台後半へ下値目途を引き下げる。
(3)155.94円を上抜くところからは新たな上昇期入りとみて157円を目指す上昇を想定するが、156円中盤からは市場介入への警戒度も高まると注意する。

【当面の予定】

5/10(金)
休場 インドネシア、ロシア
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー現状 (3月 49.8、予想 50.3)
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー先行き (3月 51.2、予想 51.6)
15:00 (英) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -0.3%、予想 0.4%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 -0.2%、予想 0.0%)
15:00 (英) 3月 月次GDP 前月比 (2月 0.1%、予想 0.1%)
15:00 (英) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 1.1%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 1.4%、予想 0.3%)
15:00 (英) 3月 貿易収支・物品 (2月 -142.12億ポンド、予想 -144.00億ポンド)
15:00 (英) 3月 貿易収支 (2月 -22.91億ポンド、予想 -21.00億ポンド)

20:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨
22:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (4月 77.2、予想 76.0)
25:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
26:30 (米) バーFRB副議長、スピーチ
27:00 (米) 4月 月次財政収支 (3月 -2365億ドル、予想 2500億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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