上昇後に反落し、フィボナッチ半値戻しの達成ならず。イニシャルクレームの悪化が重石
〇ドル円、日銀の主な意見受け東京時間に一時155.16まで下落後、米国時間にかけ高値155.96まで上昇
〇その後、米新規失業保険申請件数の悪化受け米長期金利が低下、ドル円は155円半ばまで値を崩す
〇ユーロドル、米金利低下受け1.078台に上昇しての取引
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上側で推移、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの長期化期待、介入限界論の台頭等がドル円をサポート
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.75ー156.25
海外時間のレビュー
9日(木)のドル円相場は上下しつつも方向感を見出せず。(1)日銀金融政策決定会合における主な意見(4/25ー4/26分)で「長期国債買い入れ削減」の可能性が示されたことや、(2)上記1を背景とした金融政策正常化期待(日銀による追加利上げ観測再燃)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値155.16まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)本邦3月毎月勤労統計(結果+0.6%、予想+1.4%)の市場予想を下回る結果(物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続マイナス)や、(4)日米金利差に着目したドル買い・円売り(米金利上昇に伴うドル買い圧力)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値155.96まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)心理的節目155.00を背にした戻り売り圧力や、(6)米新規失業保険申請件数(結果23.1万件、予想21.2万件)の大幅悪化、(7)上記6を背景とした米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(米金利低下→米ドル売り)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/10午前6時00分現在)では、155.46前後まで値を崩す動きとなっております。尚、昨日は神田財務官による「為替介入について、いつでもやる用意がある」との発言や、鈴木財務相による「円安にはプラスマイナスあるが、マイナス面に懸念を持っている」との発言、植田日銀総裁による「急速で一方的な円安は日本経済にマイナスで望ましくない」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
9日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買いが重石となる中、欧州勢参入後に、安値1.0724まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)米新規失業保険申請件数の大幅悪化や、(3)上記2を背景とした米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0785まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/10午前6時00分現在)では、1.0781前後で推移しております。尚、昨日はデギンドスECB副総裁より将来的にインフレが高止まりする可能性についての言及がありましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は前週末金曜日に記録した安値151.87をボトムに切り返すと、昨日は一時155.96まで上昇しました(僅か4営業日で4円超の大幅反発)。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、フィボナッチ38.2%戻し(4/29高値160.24と5/3安値151.87の38.2%戻し155.06)を達成したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの長期化期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方からドル円ロングに安心感)や、(2)政府・日銀による介入限界論(介入原資に限界があるため、通貨安を抑え込むことは困難)、(3)米政府によるドル高容認スタンス(イエレン米財務長官はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する可能性が高いことから、日本の為替介入に対して否定的な立ち位置)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています(通貨オプション市場でも160円アッパーにリバースノックアウト条件を付したドルコール円プットの取引が増加)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値と、米当局者発言(ボウマンFRB理事講演、シカゴ連銀グールズビー総裁講演、バーFRB副議長講演)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:154.75ー156.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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