ドル円週初安値を割り込み19日から下落二段目(7/26)

25日午後からのジリ安が続き、26日未明には110.663円まで下げて23日安値を割り込んだ。いったん111円台を回復しかけたものの26日午前は111円割れの状況で推移している。

ドル円週初安値を割り込み19日から下落二段目(7/26)

【概況】

7月20日未明、20日夜と続いたトランプ大統領による米連銀利上げ批判、ドル高ユーロ安、人民元安等への牽制ツイートからドル円は大幅下落となり、23日午前安値で110.75円まで下落、7月19日高値113.17円からの下げ幅は2.42円幅となった。その後は急落一服となり模様眺めで111円台前半を中心とした持合いとなっていたが、25日午後からのジリ安が続き、26日未明には110.663円まで下げて23日安値を割り込んだ。いったん111円台を回復しかけたものの26日午前は111円割れの状況で推移している。

7月23日安値を割り込んだことにより、7月19日高値からの下落は二段目の下げに入った印象だ。安値から2円以上の下げとなるのは5月21日高値から5月29日安値まで3.27円幅となった時以来であり、5月29日から7月19日への上昇途中の小調整安のレベルを超えている。7月23日安値時点では52日移動平均手前で止まり、また3月26日安値、5月29日安値、6月25日安値をほぼ1直線で結ぶ上昇トレンドの支持線ギリギリのところであったが、さらに安値を更新したことにより52日移動平均及び3月26日からの支持線を割り込む懸念が強まり始めたと思われる。

【米欧首脳会談で貿易戦争全面化回避、しかし米中、米日問題はまだこれから】

7月25日には米欧首脳会談があり、トランプ大統領とユンケル欧州委員長が通商摩擦問題について協議した。26日未明の会見ではトランプ米大統領が「EUはまもなく米国産大豆の大量購入を始める」 「貿易障壁をなくすため緊密な対話開始で合意した」「鉄鋼・アルミ輸入制限と報復関税の解決へ協議する」等と表明、ユンケル欧州委員長も「工業製品関税ゼロと米国産LNG・大豆購入拡大で一致した」と表明した。これによりひとまず米EU間の貿易戦争全面化は回避された。米国株式市場はこれを好感して上昇、NYダウは前日終値比172.16ドル高、ナスダック総合指数も6日ぶりに史上最高値を更新した。

ドル円にとってもリスク回避感後退で下支えになってもよい話だが反応は鈍かった。米国がしかける貿易戦争の本丸は中国であり、米中問題は一向に解決せずにいる。ドル人民元も24日に1年振り高値を更新するところまで上昇し、24日夜、25日と下げているものの上昇基調は変わらない。またEU問題がひとまず片付けば中国の次に問題視されてくるのは日本であり、日米通商協議の行方も気になる。トランプ大統領の発言姿勢等を踏まえれば、日本・安倍政権への名指し批判、強烈な要求が出てくる可能性も懸念される。そうしたことを踏まえれば米欧間でひとまず貿易戦争全面化突入が回避されたといってもドル円市場としては何ら安心できないということになるのだろう。

7月26日夜にはECB理事会とドラギ総裁会見、27日に米GDP速報、31日昼頃に日銀金融政策決定会合の結果発表、8月2日未明にはFOMC声明と重要イベントが続く。特に先週の時事通信社報道で日銀が長期金利を抑え込むことに対して幅を持たせある程度の上昇は容認するのではないかとの観測は20日からの円高要因にもなっているので、今回の日銀金融政策決定会合及び黒田総裁会見は重要になる。

【サイクル分析】

【サイクル分析】

(USD/JPY 1時間足)

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月18日高値113.13円と19日高値113.17円をダブルトップとして下落期に入ったが、23日午前への大幅下落から戻したため、24日朝時点ではひとまず23日午前安値でサイクルボトムを付けたとし、新たな底割れ回避のうちは24日の日中から26日にかけての間へ上昇する可能性があるとしたが、戻りは限定的である。25日午前時点では24日深夜安値110.96円を割り込む場合は下げ再開の可能性が高まり、23日午前安値110.75円割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる26日午前から30日午前にかけての間への下落期入りが想定できる。

26日未明への下落で23日午前安値を割り込んだため新たな弱気サイクルに入ったと考える。既に前回ボトムから26日午前で3日目に入っているので早ければ26日の日中でボトムをつけて戻しにかかる可能性もあるが、111.25円超えへ戻せない内はボトム形成の下落継続として26日夜、27日にかけては一段安しやすいとみる。111.25円を上回る状況が続き始める場合は強気転換注意とし、23日高値111.54円超えからは新たな強気サイクル入りとして27日未明から31日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では23日午前安値からの反発で遅行スパンが一旦好転したがその後の反落で悪化し、26日午前時点も悪化が続いている。20日未明に先行スパンから転落し、24日から25日の日中にかけてはその下限が抵抗となって安値更新へ進んだ。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは強気転換注意として23日高値試しを想定し、23日高値を超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は26日未明への下落で30ポイントまで下げ、その後は40ポイント前後で推移している。まだ底打ち感を示す姿には至っていないため50ポイント以下での推移中は下向きとし、50ポイント超えからは上昇再開の可能性優先と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、26日未明安値110.663円を支持線、111.00円から111.25円を抵抗帯とみておく。
(2)111円以下での推移中は下向きとし、26日未明安値割れからの一段安では110.50円から110.25円にかけてのゾーンを試すとみる。また111円以下での推移が続くうちは27日にかけても安値を試しやすいとみる。110.50円以下で明朝を迎える場合はさらに110円割れを試す流れへ向かいやすいとみる。
(3)111.25円を上回る状況を維持し始める場合は先行スパンを上抜けてくるので23日高値111.54円試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして112円手前を目指す上昇を想定するが、111.50円以上を維持できずに深夜以降に反落している場合は早々に下げ再開に入る可能性に注意する。

【当面の主な予定】

7/26(木)
BRICS首脳会議(南ア・ヨハネスブルク、27日迄)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 10.7、予想 10.7)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 据え置き)
21:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 -0.6%、予想 3.0%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 -0.3%、予想 0.5%)

7/27(金)
朝鮮戦争休戦協定調印 65年周年
08:30 (日) 7月 東京都区部消費者物価コア指数 前年比 (6月 0.7%、予想 0.7%)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期生産者物価指数 前期比 (前期 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期生産者物価指数 前年比 (前期 1.7%)
21:30 (米) 4-6月期 四半期GDP、速報値 前期比年率 (前期 2.0%、予想 4.2%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者態度指数・確報 (速報値 97.1、予想 、97.1)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る