トランプ発言・日銀姿勢変更懸念の円高一服(7/24)

23日朝には110.75円まで大幅続落した。この間の下げ幅は2.42円幅。

トランプ発言・日銀姿勢変更懸念の円高一服(7/24)

【概況】

ドル全面高と米国株高を背景とした上昇により7月19日には113.17円の高値を付けていたが、20日未明のトランプ大統領による米連銀批判ツイートで112.05円まで急落、さらに20日夜には同大統領による米連銀の利上げによるドル高批判、ユーロ安や人民元安批判のツイートが相次いだことで112円割れへ一段安、週明け序盤もこの流れを継続して23日朝には110.75円まで大幅続落した。この間の下げ幅は2.42円幅。
貿易戦争問題が徐々に深刻化する中でトランプ大統領が直接的に利上げとドル高、人民元安等の通貨安問題に言及したことは異例であり、市場もショック状態となった。さらに20日には時事通信社報道で日銀が長期金利の抑制に関する姿勢をある程度緩めるのではないかとの見方が強まったことも円高のきっかけとなった。
23日は新たな動きは見られず、週末の急激な円高が一服、ユーロ等も反落したことで111円台半ばまで戻しているが、突っ込み警戒感からおよそ3分の1を戻しているところだ。

【人民元動向、月末の日米金融政策会合】

ドル/人民元は米中貿易戦争全面化を警戒して6月15日からドル高人民元安を開始、7月3日に6.7元を超えたところでは中国人民銀行総裁らの牽制発言で6.6元まで下げたが、下落は短期にとどまり7月19日には高値を更新、さらに7月20日には6.8元を超えて1年ぶりの高値水準となっている。7月20日には中国国有銀行系のドル売り元買いがあり、中国当局が人民元安抑制に動いたのではないかと思われるが、23日は基準値引き下げで下落開始したものの日中、夜へと上昇に転じて7月20日高値に迫っている
これまではドル高人民元安はドル円にとってもドル高円安要因であったが、トランプ大統領の人民元安やユーロ安への批判ツイートにより、米国による人民元安批判から円安批判へも向かいかねないため、今後の人民元安は必ずしもドル円の上昇には寄与しなくなるのではないかと思われる。

7月23日の米10年債利回りは2.96%へ上昇して6月14日以来の高水準となった。先週末のトランプ大統領による米連銀の利上げ姿勢批判にもかかわらず米長期債利回りは7月16日から上昇基調を継続し、市場は年内あと2回の利上げの可能性は引き続き高いとみている。トランプ政権による米連銀批判が強まれば米連銀による忖度という可能性もないとは言えないが、日本以上には独立性が高いため、簡単には姿勢を変更することはないだろう。
市場は9月会合と12月会合での利上げを見込んでおり、9月についてはほぼ確実視している。12月についても5割以上の確率となっている。7月31日から8月1日に次回のFOMCがある(議長会見無し)が、そこは現状維持とし、声明文で6月会合以降の年4回利上げペースを再確認する内容になるかどうか注目されるが、市場も徐々にFOMCを意識し始め、米長期債利回りも上昇継続しやすくなると思われる。

米長期債利回り上昇は基本的には日米金利差拡大によりドル高円安要因になるが、一方では日銀が長期金利抑制姿勢をある程度緩める、緩めざるを得なくなるのではないかとの観測が強まってきているので、これまで程には米長期金利上昇による円安ドル高反応を採り難くなってきている。日銀金融政策決定会合は7月30日から31日に開催される。FOMCもこれに続くため、月末は日米金融政策を意識した動きに入るということになるだろう。

【サイクル分析】

【サイクル分析】

(USD/JPY 1時間足)

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月18日高値113.13円と19日高値113.17円をダブルトップとして下落期に入ったが、23日午前への大幅下落からやや戻しているため、ひとまず23日午前安値でサイクルボトムを付けたと思われる。このため、新たな底割れ回避のうちは24日の日中から26日にかけての間へ上昇する可能性があるが、戻りは限定的と思われる。ダブルトップの18日高値からは3日を経過しているので24日未明高値ですでに戻り一巡している可能性もある。111円を再び割り込む場合は下げ再開注意とし、23日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして26日午前から30日午前にかけての間への下落期入りを想定する。

60分足の一目均衡表では23日午前安値からの反発で遅行スパンが好転しつつあるが、先行スパン下限が抵抗となっている。24日未明高値111.54円を超えてくれば先行スパンへもぐり込み始めるので先行スパン上限を試す可能性があるが、先行パンへ潜り込めないか、潜り込んでから再び転落する場合は下げ再開を疑い、23日午前安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。
60分足の相対力指数は24日未明に50ポイント越えまで戻したが勢いが鈍いため、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.00円を支持線、111.54円を抵抗線とみておく。
(2)111円台維持のうちは111.54円越えから111.75円から111.95円にかけてのゾーンを試す上昇余地ありとするが、そこは戻り売りにつかまりやすいとし、その後の111.20円割れからは下げ再開とみる。
(3)111円割れからは下げ再開を疑い、23日午前安値110.75円割れからは110円試しへの下落へ向かうとみる。110.25円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、111.20円以下での推移中は一段安警戒を優先的に考える。

【当面の主な予定】

7/24(火)
14:00 (日) 5月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 106.9)
16:30 (独) 7月 製造業PMI、速報値 (6月 55.9、予想 55.5)
16:30 (独) 7月 サービス業PMI、速報値 (6月 54.5、予想 54.5)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI、速報値 (6月 54.9、予想 54.6)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI、速報値 (6月 55.2、予想 55.0)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.75%、予想 18.75%へ引き上げ)
22:00 (米) 5月 住宅価格指数  前月比 (4月 0.1%、予想 0.4%)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 20、予想 18.0)
26:00 (英) ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演

7/25(水)
EU財務相理事会
07:45 (NZ) 6月 貿易収支 (5月 2.94億NZドル、予想 2.00億NZドル)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期消費者物価 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 四半期消費者物価 前年比 (前期 1.9%、予想 2.2%)
17:00 (独) 7月 IFO景況指数 (6月 101.8、予想 101.5)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (5月 68.9万件、予想 67.0万件)

7/26   ECB理事会
7/30-7-31 日銀金融政策決定会合、 7/31-8/1 米連銀FOMC

オーダー/ポジション状況

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