ドル円 半年ぶり113円台乗せ、上昇継続(7/18)

ドル全面高を背景として7月11日夜に111.50円を突破、5月21日高値111.39円を超えて3月26日以降の上昇が二段上げ型へと発展した。

ドル円 半年ぶり113円台乗せ、上昇継続(7/18)

【概況】

ドル全面高を背景として7月11日夜に111.50円を突破、5月21日高値111.39円を超えて3月26日以降の上昇が二段上げ型へと発展した。7月13日には112.80円まで続伸したが、その後はドル高一服により調整的な動きとなり、週明けの16日早朝にはオセアニア市場時間で112.18円まで下落、16日から17日夕刻までは112.22円の安値をつけ持ち合いが続いていた。
17日夕刻からドル全面高が再開した。23時からのパウエル米連銀議長による議会証言から米連銀の利上げ姿勢継続感が再認識されてドル高が進みやすいとして議長証言効果を先取りする形でユーロ、ポンド、円が売られ始めた。17日夜の米経済指標もおおむね良好となり、議長証言も特にサプライズはなかったものの利上げ姿勢継続を再確認するものだったためにドル高は継続、深夜には7月13日高値を突破、18日早朝には半年ぶりとなる113円台に乗せてきている。

【米連銀議長の議会証言、利上げ姿勢継続】

米FRBが発表した6月の米鉱工業生産は前月比0.6%増となり市場予想の0.6%と一致、前月の-0.1%(-0.5%へ下方修正)を大幅に上回った。設備稼働率は78%で市場予想の78.3%をわずかに下回ったものの前月の77.9%(77.7%へ下方修正)を上回った。7月のNAHB住宅市場指数は68となり市場予想及び前月と一致した。
23時からの上院銀行委員会議会証言においてパウエル米連銀議長は「当面漸進的な利上げ継続が最善策」「最新の経済データは第2四半期の米経済成長がかなり強いことを示唆している」などと述べた。保護主義的な通商摩擦への懸念も示したが6月のFOMCで示された年間4度の利上げ姿勢を維持するものと市場は受け止めた。

米債券市場では10年債利回りが2.860%へ上昇、2年債利回りも2.615%となり2008年8月以来の高水準へ上昇した。米長期債利回り上昇は日米長期金利差拡大としてドル高円安を助長している。NYダウは前日比55.53ドル高と上昇、ナスダック総合指数は49.40ポイント高となり2日ぶりに史上最高値を更新した。
金融市場全般は米中貿易戦争問題を意識しつつも、米国市場への深刻な打撃には至らないとかなり楽観的であり、米国株買い人気が強まっている。また米長期金利が緩やかに上昇する程度なら減税と財政支出拡大による好景気は継続するとの期待が通商摩擦による警戒感を上回っている印象だ。米国株高とドル高が同調して進んでいる状況にあり、本邦もドル高円安基調の継続、株式市場の持ち直しが同調している。

【5月21日高値超えからのN字型二段上昇継続】

5月21日高値と5月29日安値を起点として日足は三角持合い型を形成していたがこれを上放れ、3月26日からの上昇は5月21日までを一段目とし、5月29日安値からは二段目に入った。
既に3月26日高値からの上昇も3か月を超えているが、昨年11月6日から今年3月26日への4か月半の下落に対する揺れ返し的な上昇に入っている印象のため、7月第4週から7月末にかけてはドル全面高を背景としてドル円も高値試しが続く可能性が考えられる。
上値目途としては5月29日への下げ幅の倍返しとしてV=114.65円、一段目の上昇と同値幅となるN=114.86円等が計算値として意識されるが、昨年11月6日高値114.72円、昨年7月11日高値114.49円、昨年5月11日高値114.36円等が並ぶ114円台へ向かっている印象だ。ただ、昨年は三度、114円台で抵抗にあって崩れているので、今回も114円台では大きな売り圧力がかかってくるのではないかと思われる。

【サイクル分析】

【サイクル分析】

(USD/JPY 1時間足)

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、7月13日夕刻高値112.80円直近のサイクルトップを付けて調整安に入っていたが、112円台序盤を支持線とした緩やかな三角持ち合い程度に止まり、17日夜からの上昇で13日高値を超えたことにより新たな強気サイクルに入ったと思われる。今回の高値形成期は13日高値を基準として18日夕から20日夕にかけての間と想定されるので、18日夕、夜にかけては高値試しが続きやすいとみる。112.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、112.50円割れを弱気転換注意、17日安値112.22円割れからは弱気サイクル入りと考える。

60分足の一目均衡表では17日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは先行スパン試しを想定するが、先行スパンから転落しないうちはその後の遅行スパン好転から上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は17日に40ポイントまで下げたが17日夜の上昇で60ポイント越え、さらに70ポイント越えへと上昇した。18日午前時点では指数の弱気逆行は見られていないので、80ポイント越えへ上昇する可能性ありとみる。また60ポイントを上回るうちは上昇継続性ありとみるが、いったん70ポイントを割り込んだ後の上昇で相場が高値を更新しても指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を112.75円、次いで112.50円、上値抵抗線を113.50円と想定しておく。
(2)112.75円を上回るうちは113.50円前後を目指す上昇を想定する。113.50円以上は目先的な反落注意圏とみるが、深夜から明朝にかけても112.75円を上回るうちは上昇継続余地ありとする。
(3)112.75円割れからは112.50円前後試しとみるが、そこは押し目買いから上昇再開しやすいとみる。ただし18日深夜以降に0.50円以上の反落となる場合や112.50円を割り込む下落発生の場合は調整安入りとして週末、週明けにかけての下落継続の可能性と112円前後試しを想定する。

【当面の主な予定】

7/18(水)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.4%、予想 0.2%)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前年比 (5月 2.4%、予想 2.6%)
17:30 (英) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 2.1%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数(HICP、改定値 前年比 (5月 2.0%、予想 2.0%)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 年率換算 (5月 135万件、予想 132.0万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 年率換算 (5月 130.1万件、予想 133.0万件)
23:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、発言 米下院金融サービス委員会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

7/19(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.50%、予想 現状維持)
08:50 (日) 6月 貿易統計(通関) (5月 -5783億円、予想 5312億円)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 1.20万人、予想 1.65万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 5.4%、予想 5.4%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前月比 (5月 1.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 22.1万件)
21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 19.9、予想 22.0)
23:00 (米) 6月 景気先行指数  前月比 (5月 0.2%、予想 0.5%)

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