依然としてレンジ取引続く、脱却なるか注視(7月第2週)

先週のドル/円相場は、小幅にドル安・円高。ザラ場ベースでは5月22日以来となる一時111円台を回復するなど、

依然としてレンジ取引続く、脱却なるか注視(7月第2週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、小幅にドル安・円高。ザラ場ベースでは5月22日以来となる一時111円台を回復するなど、ドルは直近の戻り高値をわずかながら更新する局面も観測されたが勢いは続かなかった。

前日に実施された「メキシコ大統領選」に対する警戒感などもあり、110.55円レベルと、前週末のNYクローズよりもやや円高レベルで寄り付いた。実際、大統領選は、そののち「対米強硬の左派政権誕生」となったものの、1週間を通して注目材料の多かったこともあり、参加者の関心が次に移行、市場へのインパクトは限られたものにとどまっている。
そうしたなかドルは111円台を回復、週間高値である111.14円を記録したが続かず、緩やかな右肩下がりに。週末にかけては材料が多く、逆に焦点ボケになってしまった感があるなか、110.27-79円という狭いレンジでの一進一退に終始している。注目の米雇用統計が発表されたものの影響は軽微、結局NYは110円半ばで取引を終えると、越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易戦争懸念」について。
週の半ばに「日本やEU、中国など40超の国・地域が、世界貿易機関(WTO)会合で、米国が導入を検討する自動車・部品輸入追加関税に強い懸念を表明した」と報じられるなか、週末6日には「米が対中追加関税を発動」と発表。すると、中国は即座に「対米報復関税の実施」を明言するなど、いよいよ本格的な世界貿易戦争に突入した感も否めない。
また、折につけ「北朝鮮情勢」も話題に。トランプ米大統領からは「北委員長の核放棄を信じる」との旨の発言が聞かれた反面、CNNは米国防情報局の話として「北委員長に完全非核化の意図なし」、朝鮮日報は「北の核施設・ミサイル実験場、米朝首脳会談後も稼働中」と報じ、一部で物議を醸していた。

<< 今週の見通し >>

どちらが妥協するのか「チキンレース」の様相を呈していた米中貿易問題をめぐる動きだったが、結果からすると、ともに一歩も手を引くことなく、全面戦争への道に踏み出した感が強い。また、米国を取り巻く貿易問題は対中がメインではあるが、それだけではなく対欧州や日本、韓国、カナダやメキシコなど多方面にわたり、それぞれ小競り合いが続いている。かなり手垢がついた、というか長期化している問題だけに、以前よりは反応が鈍くなりつつあるものの、それでも引き続きドルの上値抑制要因として寄与しそうだ。
なお、先週の「週報」でもレポートしたように、6月相場の月間変動幅は2.21円にとどまり、これは今年最小変動幅であるだけでなく、2014年7月以来、4年ぶりの膠着相場−−という不名誉な記録を残している。それが名実ともに7月相場入り、先月の反動が期待されたが、先週は1週間を通して価格変動はわずか1円にもとどかなかった。完全な期待外れと言ってよい。いち参加者としても、「今週こそは!」の思いはあるが、果たしてその願いは届くのだろうか?

テクニカルに見た場合、今年5月以降、すでに1ヵ月以上もおおむね109-111円といった2円程度のレンジ取引だ。先週は、一時その上限抜けが期待され、実際に111円台を回復したものの続かなかった。結局、不発に終わっている。今週も、まずはこれまでの形成レンジを放れることが出来るかどうかを注視したい。
ちなみに、上方向に放れた場合は5月高値111.39円が次の抵抗となりそうで、かなり近い111.40-50円には週足・一目均衡表の先行帯の雲が位置している。改めて指摘するまでもなく、現在雲はかなり薄く、上抜けしやすい環境となっていることから、強気派には一気のレンジブレークを期待する声も少なくないようだ。対する下方向は、110.15-20円の攻防を注視。同レベルは、日足ベースで見た移動平均の200日線だけでなく、週足の長期的なポイントにあたる移動平均の52週線も位置している。そのため、週末のNYクローズで維持できるかどうかも要注意だ。

一方、材料的に見た場合、6月の消費者物価指数や7月のミシガン大消費者信頼感指数速報値など、重要な米経済指標の発表が予定されている。先週発表された米経済指標が、週末の米雇用統計を中心にやや悪い内容が目立ったことで、「今週も」などと警戒する声も聞かれていた。実際に、失望とも言える内容悪化が続けば、ドルの上値を強く抑制する要因となりかねないだろう。また、そうしたなか相次ぎ実施される米地区連銀総裁などによる講演にも要注意か。
そのほか、米中を中心とした貿易戦争懸念が本格的に指摘されるなか、10-16日の日程で欧州を歴訪するトランプ米大統領の行動に一応要注意。一部関係者からは「欧州とはあいだの自動車輸入関税をめぐる対立は、NATO国防費増額により、相殺される」−−などといった読みも聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.40-111.40円。ドル高・円安については、先週高値111.13円が最初の抵抗。抜ければ5月高値111.39円や、週足・一目均衡表の先行帯の雲が位置する111.40-50円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線など複数のテクニカルポイントが位置する110.20円レベルが最初のサポート。ただ、それ以外でも110円挟み、109円後半などのテクニカルポイントは多く、かなり底堅いイメージだ。(了)

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