<< 東京市場の動き >>
5日の東京市場は、ドルが小じっかり。110.20円レベルに位置する移動平均の200日線をサポートに、110.70円近くまで一時値を上げた。
ドル/円相場は、110.45円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。前日のNYが休場となったこともあり、積極的な動意に乏しかった。そののち、仲値余剰観測などもあり、一時的に値を崩すと日中安値である110.25-30円へ。しかし、ドルは下げ渋ると夕方にかけては110.70円近くまで一気に値を上げている。16時時点では110.60-65円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米貿易戦争懸念」と「北朝鮮情勢」。
前者については、中国が方針転換し「先行報復はしない」と明言したことに加え、独誌が「米、ドイツ車メーカーに関税警告中止を提案」と報じ、緊張感を若干緩和させていた。対して後者は「北朝鮮船、東シナ海でまた“瀬取り”実施」の可能性が取り沙汰されるなか、北朝鮮の労働新聞が「日本は在日同胞の人権を踏みにじっている」と対日批判を強めていたことが確認されている。
そのほか、トランプ氏がOPECを非難、ツイッターに「いますぐ価格を引き下げろ」と投稿、地方で講演した政井日銀委員の発言として「持続可能な形で強力な緩和を息長く続けることが適当」「2%物価目標の達成には時間がかかりそう」などと報じられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
本日の東京時間は、米貿易戦争懸念が若干緩和したとの見方からドルが小反発に転じたが、明日にXデーを控えており予断は許さない。このままドルが続伸するのかどうか、疑念を抱く向きも少なくないようだ。ちなみに、本日の東京高値である110.70円レベルは、3日高値111.14円を起点とした目先下げ幅の半値戻しにほぼ合致する。抜ければ、フィボナッチ61.8%戻しの110.80円レベルなどがターゲットに。
一方、材料面をカレンダーで見た場合、本日と明日に注目要因が集中している状況だ。たとえば、先で指摘した「米貿易戦争」に関する要因でいえば、6日に「米中がそれぞれ追加関税を発動する予定」であるほか、ロイターは「EU、鉄鋼輸入制限5日に採決の可能性」と報じていた。さらに、「米雇用統計の発表(6日)」や、「英独仏中露とイランが核合意存続をめぐり外相会合を開催(6日)」、「ドイツ与党が難民施設設置めぐり再協議(5日)」−−といった注目度の高いイベントが相次ぐだけに、それらを受けた荒っぽい価格返答には十分に注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、昨日そして本日と2度110.30円を割り込むもドルは底堅い。110.20円前後に位置する移動平均の200日線がサポートになっている感を否めない。このあとも、引き続きサポートとして意識されそうだが、底堅いが故にしっかり割り込むようだと、逆に今度は強い抵抗になりかねないかもしれない。攻防には引き続き要注意。
対してドルの抵抗は、3日高値111.14円を起点とした目先下げ幅の半値戻しでもある本日東京の高値110.70円レベル。抜ければ、フィボナッチ61.8%戻しの110.80円レベルや3日高値などがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、6月のADP雇用統計や同ISM非製造業総合指数といった、重要な米経済指標や、6月12-13日に実施されたFOMC議事録要旨の発表が予定されている。ちなみに、明日発表の6月米雇用統計の先行指標でもあるADPについては、予想値がプラス19万人程度と前月(同17.8万人)よりも改善との見方が優勢だ。
なお、本日は最終日となるEU首脳会議開催のほか、先で指摘したように「EU、鉄鋼輸入制限を採決の可能性」や「ドイツ与党が難民施設設置めぐり再協議」−−など欧州に関する注目材料が少なくない。為替市場もドルや円より、ユーロ主導の展開に要注意かもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.20-111.20円。ドル高・円安方向は、本日東京高値である110.70円レベルが最初の抵抗で、抜ければ110.80円や111.14円、5月高値111.39円などがターゲット。
対するドル安・円高方向は、引き続き移動平均の200日線をめぐる攻防にまずは注視。ただ、一目均衡表の先行帯の雲の上限をはじめ109円後半から110円にかけてのサポートも多く、かなり底堅いイメージだ。
【ドル/円 日足】2018/07/05
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