【概況】
6月26日安値109.36円から連日の上昇となって7月3日には111.13円をつけたが、4日の米独立記念日休場、5月から6日への重要イベントが連続する前のポジション調整で3日夜から反落、4日午前には110.27円まで下げた。4日夜は米国祝日の影響でさほど動かず、110.40円台中心の横這いに止まっている
【米国の対中国制裁関税開始前】
米中貿易戦争は3月から徐々に始まり、4月には米国の対中国大規模関税導入姿勢が示された。6月15日には1300項目、500億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課すと発表され、中国政府も659項目の米国製品500億ドル相当に同様の関税を課す報復措置を講じると応戦した。トランプ大統領はさらに6月18日、「もし中国が米国に追加関税を進めると主張するなら、2000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を実施する」とし、当初発表した500億ドル相当の中国製品への25%の追加関税第一弾として、7月6日から340億ドル相当の製品800項目以上に追加関税を発動するとしてきた。第一弾の実施が迫っている。
中国側は4日に米国の関税導入に先行した対抗措置は取らないと表明している。果たして対中国関税第一弾が予定通りに開始するのか、あるいは延期等の変化があるのか、6日は米雇用統計の発表もあるので市場心理も相当に神経質な状況に追い込まれると思う。
【人民元動向とドル円】
ドル円は6月26日から7月3日まで丸1週間の上昇となってきたが、この間は米中貿易戦争リスクを反映した人民元の大幅下落、上海株も大幅下落と同調してきた。
7月3日にドル/人民元は6.7元を超えて昨年8月以来の高値水準(元安)となった。今年3月安値からは7.6%のドル高元安だったが、中国人民銀行総裁らによる人民元安抑制への動きから3日には反落、4日もさらに続落したのだが、6.6005元からは反発(元安)となっている。上海総合株価指数は3日に2年振り安値へと下落、4日は新たな安値更新には至らなったものの終値ベースでは続落している。
米国の仕掛ける貿易戦争の影響が対象エリアとなるEUや中国、新興国へより深刻となるとして、メジャー通貨対象のドル指数だけではなく、人民元等の新興国通貨に対するドル高を発生させてきた。このドル全面高がドル円の上昇を支えてきたともいえるが、一方では株安拡大等によるリスク回避感からの円高圧力も高まっている。このため、5月29日から上昇再開して5月21日高値111.39円に迫っているものの高値更新にまでは至らず、週末の重要イベントを見定めようという状況になっているのだろうと思われる。
週末への一連のイベントを強気(ドル高円安)で通過してゆけば7月3日高値超え、さらに5月21日高値超えへと上昇する可能性があるが、逆に弱気反応(ドル安円高)で通過してゆけば3月26日からの上昇基調は終了、円高再開へ進んで行くきっかけになるのだろうと思われる。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月26日安値を前々回のサイクルボトムとして上昇してきたが、29日への続伸により6月28日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして7月2日から4日夜にかけての間への上昇を想定してきた。7月3日午前高値から0.50円以上の反落となり、2日午前安値を割り込んだために4日朝時点では3日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、今回の安値形成期を7月4日の日中から5日夜にかけての間とした。4日午前安値の後は下げ渋り、5日午前には110.60円台へ戻しているため、4日午前安値を直近のサイクルボトムと仮定する。今回の高値形成期を7月5日から10日にかけての間と想定するが、4日午前安値割れからは底割れによる新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる9日から11日にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月3日深夜の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンも悪化したが、5日午前の上昇で遅行スパンが好転し始めている。先行スパンが分厚い抵抗となっているが、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパンが再び悪化するところからは弱気転換注意として安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4日午前の下落時に20ポイント台前半へ下降したが、その後の反発で50ポイントを超えてきている。40ポイント以上での推移中は高値試し優先とするが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線を7月4日午前安値110.27円、上値抵抗線を110.70円とみておく。
(2)110.70円超えからは110.80円台への上昇を想定するが、110.90円手前での反落注意とする。
110.90円超えからは7月3日高値111.13円試しを想定するが、111円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
ただし米中貿易戦争問題等での要人発言から上昇する場合は高値更新により5月21日高値111.39円を試す可能性ありとする。
(3)110.50円割れから続落の場合は4日午前安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして当初110.00円試し、さらに109.75円前後試しへの下落を想定する。
【当面の主な予定】
7/5(木)
15:00 (独) 5月製造業受注 前月比 (4月 -2.5%、予想 1.0%)
19:00 (英) カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、講演
19:30 (欧) メルシュ欧州中銀(ECB)専務理事、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
21:15 (米) 6月ADP全国雇用者増加数 (5月 +17.8万人、予想 +19.0万人)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件)
23:00 (米) 6月ISM非製造業景況指数 (5月 58.6、予想 58.0)
27:00 (米) FOMC議事録(6月12・13日分)
7/6(金)
15:00 (独) 5月鉱工業生産 前月比 (4月 -1.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月非農業部門雇用者増加数 (5月 +22.3万人、予想 +19.8万人)
21:30 (米) 6月失業率 (5月 3.8%、予想 3.8%)
21:30 (米) 6月平均時給 前月比 (5月 +0.3%、予想 +0.3%)
21:30 (米) 5月貿易収支 (4月 -462億ドル、予想 -454億ドル)
オーダー/ポジション状況
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