ドル円見通し 「高値安値切り下げ型」へ(6/22)

米フィラデルフィア連銀の6月景況指数は19.9に低下、市場予想の29.0及び前月の34.4を下回った。

ドル円見通し 「高値安値切り下げ型」へ(6/22)

【概況】

6月19日朝、米トランプ政権が中国に対する知的財産権侵害を口実とした制裁関税を大幅に追加するとした報道から貿易戦争全面化への懸念が高まり、リスク回避による円の買い戻してドル円が19日午後安値109.55円まで急落した。この過程で6月14日安値109.90円を割り込み、5月30日底以降継続してきた高値更新後の安値も切り上げる強気パターンが崩れた。
20日はドル全面高が進み、ドル指数が19日に続いて11か月ぶりの高値水準へと上昇したことでドル円もリスク回避の円買いよりもドル全面高の影響が勝ったために上昇、21日午後には110.75円を付けて6月15日高値110.90円に迫った。
しかし高値更新には至らず、夜間は英中銀の金融政策発表後に英ポンドが反騰、ユーロの連鎖上昇等からドル指数も反落、一方では貿易戦争全面化への懸念を背景にNYダウが8日続落したため、ドル円もリスク回避型円高感が再燃して110円割れまで失速した。

米フィラデルフィア連銀の6月景況指数は19.9に低下、市場予想の29.0及び前月の34.4を下回った。
米コンファレンスボードの5月景気先行指数は前月比0.2%上昇で、市場予想の0.4%上昇を下回った。
週間の米失業保険申請件数は21.8万件で市場予想の22万件を下回り、前週から3000件減少した。

英中銀は金融政策発表において政策金利を予想通り据え置き、量的緩和の資産購入規模も現状維持としたが、利上げ賛成が9人中3人(前回は2人)となったことで発表後にポンドは上昇した。

イタリアでは極右政党の同盟が下院予算委員長、上院財務政策委員長のポストを得たが、任命された2名の委員長はいずれもユーロ離脱派の急先鋒だったため、ユーロ離脱勢力拡大による先行き不透明感から同国株式指数と同国債が大きく売られた。これは21日夜のポンド高、ユーロ高には直接的に影響していないものの、イタリア政情不安の再燃として先行きはユーロ安要因となってくる可能性がある。

NYダウは前日比196ドル安で8日続落となった。6月11日の戻り高値からは4%下落している。4月2日以降は高値切り上げ、その後の安値も切り上げてジリ高推移してきたが、5月29日安値24247ドルを割り込むようだと上昇パターンが崩れるため下落が加速しやすくなり、世界連鎖株安への懸念が強まる点に注意がいる。NYダウの下落と逆行して20日に史上最高値を更新していたナスダック指数もこの日は68.57ポイント安と反落している。

【高値切り下がり、その後の安値更新へ進むか】

6月21日高値110.75円では6月15日高値110.90円を超えられずに失速した。6月19日安値で6月14日安値を割り込んでいるため、このまま19日安値を割り込む場合は「戻り高値切り下げ、その後に一段安する弱気パターン」を継続してゆく可能性がある。
3月26日からの上昇は、概ね5か月から6か月周期のサイクルによる中勢のリバウンドであり、昨年11月6日天井から6か月目の5月21日高値で戻り一巡、下落期に入った可能性がある。しかし5月30日から戻してきたことにより、5月21日高値を超える可能性も出てきたところであった。6月19日安値割れ回避のうちは次の上昇で111円に迫れば、19日安値を中心として60分足レベルでの逆三尊底ないしはダブル底形成の可能性が残る。その後の高値を更新すれば概ね5か月から6か月周期のサイクルにおける高値形成の延長戦入りとなるわけだが、19日安値を割り込む場合は5月21日高値を天井とし、6月15日高値を中勢下落における最初のリバウンドによる戻り天井として二段階目の下落へと向かう可能性が高まると思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では21日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転の場合は先行スパン突破試しとするが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に一段安しやすいとみる。

60分足の相対力指数は21日の上昇時に70ポイントを超えたがその後の反落で30ポイント台まで急落している。このため50ポイント台回復、維持へと戻せないうちは一段安警戒として20ポイント台前半への下落を想定する。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月19日午後安値をサイクルボトムとして上昇したが、15日高値から4日目となる21日午後高値で直近のサイクルトップを付けて下落期に入ったと思われる。今回の安値形成期は22日午後から26日午後にかけての間と想定されるので、早ければ22日午後からの上昇再開という可能性もあるが、110.40円以下での推移中は22日夜、週明けへの一段安余地ありとみる。110.40円越えからは強気転換注意とし、21日午後高値越えからは新たな強気サイクル入りとして26日かから28日にかけての間への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.25円から110.40円までを戻り抵抗とし、110.25円以下での推移中は安値試し優先とみる。
(2)19日安値109.55円試しを想定するが、割り込む場合は109.25円前後、さらに22日夜へ続落の場合は109円前後試しまで下値目途を引き下げる。
(3)110.40円越えの場合は21日高値110.75円試しへ向かう可能性ありとするが、その手前からの反落注意とする。(了)<9:15執筆>

【当面の主な予定】

6/22(金)
108:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 前年比 (4月 0.6%、予想 0.6%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価コア指数 前年比 (4月 0.7%、予想 0.7%)
16:30 (独) 6月 製造業PMI、速報 (5月 56.9、予想 56.2)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI、速報 (5月 52.1、予想 52.3)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI、速報 (5月 55.5、予想 55.0)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI、速報 (5月 53.8、53.7)

トルコ大統領選挙、総選挙

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