ドル円 リスクは上向き貿易戦争懸念に注意(6月第3週)

先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週足は実体部だけで1円を超える、なかなかしっかりとした陽線引けだった。

ドル円 リスクは上向き貿易戦争懸念に注意(6月第3週)

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先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週足は実体部だけで1円を超える、なかなかしっかりとした陽線引けだった。ザラ場ベースでも、一時110.90円を記録、直近の戻り高値を塗り替えている。

前週末に行われたG7サミットで、米貿易問題をめぐる欧米諸国間の亀裂が鮮明化したことを嫌気、ドル/円市場は前週末よりもやや円高の109.25円前後で寄り付いた。
しかし、米貿易戦争懸念の影響は限定的で、結局は週初の寄り付きレベルが1週間を通した安値となり、以降はドル高・円安の展開に。週の半ばにかけて110.80円台まで上昇、そこからは一度値を崩したもののドルの下値は109.90円レベルまで。週末にかけて再び上値を試すと、110.90円の週間高値を記録した。そののち、やや小緩むも底堅く、110.65円前後で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注目された材料は、「北朝鮮情勢」と「日米欧の金融政策」について。
前者は、12日に実施された史上初の米朝首脳会談がハイライト。トランプ氏と金委員長の2人だけで40分ほどの会談を実施、そののち閣僚や側近を加えた拡大会談が行われている。また、終了後には「朝鮮半島の完全非核化を約束」という内容を含めた包括合意文書に署名したと報じられていた。なお、会談に関する評価は関係各国や要人などで様々だが、関連事項として、トランプ氏が今後の「在韓米軍撤退を示唆」するコメントを発したため、改めて日韓を中心に物議を醸す結果に。
対して後者は、米FRBがFOMCにおいて「年内利上げ回数の増加見通し」とやや強気に傾斜した反面、日欧などは利上げに慎重な姿勢を崩さなかったため、金利差拡大思惑が台頭、ドル高基調に大きく寄与していた面は否めない。

<< 今週の見通し >>

「週末のNYクローズだけをみると、3週続けてすべて109円半ば」−−という、やや方向性の欠いた値動きを続けてきたが、前述したように先週末のNYクローズは110.65円前後。4週目にして、ようやく方向性が示された感がある。テクニカルにも、「しっかり」と超えることができなかった移動平均の200日線(110.20-25円)を上抜けるなど、111円レベルを突破すれば前回高値の111.39円が視界内に捉えられそうだ。
そうしたなか、マーケットを取り巻く環境に目を向けると、拡大傾向のうかがえる日米あるいは米欧の金利差は、今週もドルの支援要因に。ただ、米国が中国向け輸入品への関税増強を具体化させる一方、中国が報復関税の姿勢を示すなど、米中の通商摩擦懸念は逆にドルの上昇を抑制する要因になりかねない。また、週末24日に実施されるトルコ大統領選ならびに国会総選挙も波乱含みだ。大統領選については、現職のエルドアン氏が有利ながら、上位2人による決選投票に持ちこされる見通しとされるなど、予断は許さない。

テクニカルに見た場合、週間のザラ場ベース、同NYクローズともにここ数週間のレンジを上抜けた格好で、リスクはドル高方向にバイアス。先週超えてきた移動平均の200日線をサポートに、ドルは底堅く推移するのと同時に、111円を超えて5月高値の111.39円をトライする展開を見込む声も少なくない。なお、5月高値を超えた場合のターゲットは、週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限に当たる111.90円レベルで、同上限は112.95円レベルとなる。
対するサポートは、まず移動平均の200日線であり、割り込んでも109円台後半には一目均衡表や移動平均など複数のチャートでテクニカルサポートが多く位置しているため底堅そうだ。

一方、材料的に見た場合、5月の住宅着工件数や6月の総合PMIといった米経済指標の発表が予定されているものの、正直注目度はそれほど高くない。よほどの数字にならない限り、影響は限定的か。
ただ、地区連銀総裁など米中銀関係者を中心に、日英欧の中銀総裁の講演なども相次ぐうえ、豪英の中銀による金融政策委員会が実施される予定となっている。こちらの内容は要注意だ。また、先週末にかけて再燃の兆しがうかがえる米中貿易戦争懸念についての続報なども、マーケットの波乱要因となりかねないかも知れない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.30-111.70円。ドル高・円安については、先週の戻り高値も近い111円が最初の抵抗で、抜ければ5月高値111.39円がターゲット。そのレベルも超えた場合には、週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限に当たる111.90円レベルを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、110.20-25円に位置する移動平均の200日線の攻防にまずは注意を払いたい。割り込めば、25日線(109.95円レベル)、一目均衡表の基準線(109.75円レベル)などが複数のテクニカルポイントが位置する109円後半になりそうだ。(了)

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