ドル円 FOMC通過 次テーマ探しで下値不安が台頭(6/14)

6月14日未明、FOMCが今年二回目の利上げを決定、また年間の利上げ予想回数の中央値をこれまでの3回から4回へ引き上げた。

ドル円 FOMC通過 次テーマ探しで下値不安が台頭(6/14)

【概況・ドル円のFOMC反応】

6月14日未明、FOMCが今年二回目の利上げを決定、また年間の利上げ予想回数の中央値をこれまでの3回から4回へ引き上げた。6月12日の米朝首脳会談による融和ムード拡大で上昇、さらにFOMCでの利上げを意識して上昇基調を継続してきたが、FOMC政策発表当初に110.84円まで高値を切り上げたものの、その後は当面の買い材料一巡として110円台序盤まで反落した。
昨年12月12-13日のFOMCにおいて年3回目の利上げが決定され、2018年は3回の利上げ姿勢が示されたが、ドル円は発表前の12月12日に戻り高値をつけて反落し、発表直後に続落、いったん戻したが12月15日へ一段安している。直前でドル高基調が止まっていた中で12月FOMC内容を上昇再開のきっかけにはできずに下落したという印象だ。その後は12月21日まで戻したのだが、そこもまた戻り売りにつかまって下落再開となり、1月からは3月末安値へ向けての暴落期に入った。

今回のFOMC利上げ、年4回ペースへの利上げ加速姿勢も、ある程度想定されてきた内容であり、2019年、2020年への利上げ継続で落ち着くという先行き見通しもあるため、これを以てドル高円安が一挙に加速すべきものという受け止め方はされなかった。ひとまずFOMC関連材料についてはイベント通過とし、次のテーマへの反応へと市場の関心も移ってゆくのだろう。

【FOMC二度目の利上げ決定、年4回ペースへ】

(1)政策金利引き上げ  従来 1.50-1.75%、今後 1.75-2.00%
(2)2018年の利上げ回数について
  5回1人(前回1人)、4回7人(同6人)、3回5人(同6人)、2回2人(同0人)、1回0人(同2人)
(3)FF金利中央値について
  2018年 2.375%(前回2.125%)、2019年 3.125%(同2.875%)、2020年 3.375%(同3.375%)、長期 2.875%(同2.845%)
(3)経済活動についての表現
  (今回)経済活動は力強いペースで拡大することを示している。
  (前回)経済活動は緩やかなペースで拡大することを示している。

(4)インフレ指標についての表現、
  (今回)削除
  (前回)市場ベースのインフレ期待の指標は、依然低い。

(5)経済見通しについての表現
 (今回)さらなる利上げを行うことにより、経済活動の拡大と労働市場の力強さを維持すると予想する。
 (前回)金融政策スタンスを徐々に調整し続けることにより、経済活動は中長期的に緩やかなペースで拡大し、労働市場は強さを継続するとの予想を維持する。

【貿易戦争問題】

トランプ大統領が13日に放映されたFOXニュースのインタビューにおいて「我々が貿易で非常に強力に対応するため、中国は若干動揺するかもしれない」と述べ、米中貿易戦争問題が再びクローズアップされ始めた。この報道がドル円の上昇を抑えた印象もある。
米朝首脳会談実現は秋の中間選挙や二期目へのトランプ政権延命にとっては重要なイベントであり、朝鮮半島非核化について段階的進展となり、一挙的な解決とはならないようだが、当面は融和ムードで継続的に進むとすれば、次は懸案の米国第一主義的な通商問題の解決であり、その最大のターゲットが中国となる。米朝首脳会談までは中国側の協力等も必要だっただろうが、ひとまず会談実現で次のステップへ進み始めたため、通商問題が全面化してくる可能性がある。米中対立、さらに米国の対日圧力拡大という流れが見え始めれば、ドル円にとってはリスク回避及び円高圧力の再開という状況に陥りやすくなるのではないかと注意する。

【貿易戦争問題】

60分足の一目均衡表では14日未明高値からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込んでいる。このためいったん調整入りとして遅行スパン悪化中は安値試しを優先、先行スパンから転落なら下げが加速する可能性に注意する。遅行スパン好転からは上昇再開の可能性ありとして14日未明高値試しとし、高値更新後は遅行スパン好転中高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月12日高値から13日への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行となった。14日未明の一時的な高値更新でも指数は戻しきれずに反落しているため、いったん調整安入りとして30ポイント割れを試す可能性ありとみる。また多少戻してから安値を更新する際に強気逆行型が見られれば上昇再開の可能性ありとするが、強気逆行が見られない内は安値試しが続きやすいとみる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、6月8日安値でサイクルボトムをつけて上昇期に入ったため、今回の高値形成期を6月7日早朝高値基準として12日朝から14日朝にかけての間と想定したが、14日未明高値から0.50円以上の反落となっているので14日未明高値を直近のサイクルトップとした下落期入りと考える。次のボトム形成期は8日夜安値を基準として13日夜から15日夜にかけての間と想定されるので、早ければ14日中に安値をつけて反騰入りする可能性もあるが、110.50円超えへ切り返せない内は14日夜、15日にかけて安値試しが続く可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円を支持線、110.50円を抵抗線とみておく。
(2)110.50円を下回る内は安値試し優先とし、110.00円割れからは109.50円前後試しへ向かうとみる。また110円以下での推移中は14日夜、15日にかけては安値試しを継続しやすいとみる。
(3)110.50円を超えた状況を維持し始める場合は上昇再開の可能性ありとして14日未明高値110.84円試しとする。高値更新できない内は毛抜き天井型形成からの反落警戒とし、14日未明高値以降の安値更新となる場合は下げ再開を想定する。ただし14日未明高値超えからは新たな強気サイクル入りとして111円台前半試しへ向かうとみる。
※ 5月30日未明安値、31日深夜安値、6月8日夜安値はほぼ1直線で上昇トレンドの支持線を形成している。現在この支持線は109.70円前後で上昇中だが、このラインを割り込んでくる場合は5月21日高値からの下落継続、6月14日高値から二段目の下落期に入る可能性が高まると考える。(了)<9:20執筆>

【当面の主な予定】

6/14(木)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 2.26万人、予想 1.90万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 5.6%、予想 5.6%)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年比 (4月 9.4%、予想 9.6%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年比 (4月 7.0%、予想 7.0%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
17:30 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 1.6%、予想 0.5%)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 据え置き)
21:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.2万件)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 除自動車 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 0.0%、予想 0.3%)

6/15(金)
シンガポール休場(ハリ・ラヤ・プアサ ラマダン終了日)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 据え置き)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:00 (欧) 4月 貿易収支 (3月 269億ユーロ )
18:00 (欧) 5月 消費者物価指数 HICP、改定値 前年比 (速報 1.9%、予想 1.9%)
21:30 (米) 6月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (5月 20.1、予想 18.5)
22:15 (米) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.7%、予想 0.2%)
22:15 (米) 5月 設備稼働率 (4月 78.0%、予想 78.1%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (5月 98.0、予想 98.5)
29:00 (米) 4月 対米証券投資

オーダー/ポジション状況

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