<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、2週続けての「行って来い」。ただ、前週が一時ドル安に振れたのち戻した展開だったのに対し、先週は逆、一時ドル高が進行したものの週末にかけて失速している。
前週末にかけて実施されたG7財務相・中銀総裁会議で「米の輸入制限に懸念と失望」といった議長総括が示されるなど、貿易戦争再燃懸念も取り沙汰されたことで、ドル/円相場は、前週末のNYクローズより若干円高の109.40-45円で寄り付いた。
しかし、影響は一時的で、週の半ばにかけては逆にドル買いが先行。110円を超え、週間高値である110.27円まで上昇する局面も観測されている。ただ、ドルは高値を付けたのち失速、週末にかけては急速に調整が入る展開となり、週間安値である109.20円まで1円以上も値を下げた。結局、そのまま109円半ば、週初の寄り付きレベルに近い水準で取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易戦争懸念」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、先で指摘したG7財務相・中銀総裁会議の議長総括のほか、週半ば7日に予定されていた日米首脳会談や、週末G7サミットを控え、各国要人からのけん制発言などが相次いだ。たとえば、トランプ米大統領が自身のツィッターに「貿易戦争に負けるわけにはいかない」と書き込んでいた反面、マクロン仏大統領からは「G7サミットで米国抜きの合意もありうる」との発言が聞かれていた。また、そうしたなか、欧州に続きカナダやメキシコが「米輸入制限」について世界貿易機関(WTO)に提訴している。対して後者は、12日に実施される首脳会談に向けた、米朝の事前協議に関する報道などが数多く、目に付いた。
<< 今週の見通し >>
先週、ドルは一時110.27円まで上昇、108-110円といったボックス相場の上限を上抜けたように思われたが、そののちの展開を見るとレンジを幾分広げただけで終わった感がある。少なくとも、ドルの上値トライは仕切り直しとなったことは間違いない。テクニカルには、先で指摘したように、110.27円まで上昇したことで、移動平均の200日線(110.15-20円)を一時上抜けたものの、週末クローズでは以下のレベルまで押し戻されている。今週もまずは、同レベルをめぐる攻防が注視されそうだ。
そうしたなか、材料面に目を向ければ、今週注目要因が目白押し。実際に幾つか例を挙げると、先週末に実施されたG7サミットにおいて「米貿易戦争問題」は解決せず先送りされた感があるほか、12日の米朝首脳会談、13-15日の日米欧の中央銀行による政策金利発表、14日のロシア・ワールドカップ開幕−−に要注意か。そのほか、引き継ぎ事案の欧州政治情勢などについても注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、週間を通してそれなりの値動きはあったものの、週末のNYクローズだけをみると、直近は3週続けてすべて109円半ば。それほど大差ないレベルで大引けるなど、明確な方向性はやや乏しい状況だ。108-110円を中心としたボックス圏をどちらに放れていけるのか、その方向性が注視されている。
ちなみに、上方向であれば111.39円の前回高値が視界内に捉えられる反面、下抜けした場合にはフィボナッチの観点から107.15-20円がターゲットとなりそうだ。
一方、材料的に見た場合、5月の消費者物価指数や同小売売上高といった米経済指標の発表が予定されているほか、10年債や30年債など米債の入札も実施される見込みだ。それらも当然要注意。
ただ、今週はそれらよりも、前述した12日の米朝首脳会談、13-15日の日米欧の中央銀行による政策金利発表、14日のロシア・ワールドカップ開幕−−などに注意が必要かもしれない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、移動平均の200日線も近い先週高値の110.27円が最初の抵抗で、抜ければ高値111.39円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに当たる110.60-65円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、一目均衡表の転換線も近い先週安値109.20円をめぐる攻防にまずは注意を払いたい。割り込めば5月安値の108.12円も薄らと視界内に入ってくるほか、週末にかけて108.80円台までレベルを切り上げてくる一目均衡表の先行帯の雲の上限を維持できるかどうかにも一応要注意だ。(了)
オーダー/ポジション状況
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