ドル円 リバウンド、3分の2戻しに迫る(18/6/7)

6日夜には米貿易収支の発表があり、全体では2か月連続で前月比マイナスとなる462憶ドルの赤字で特にサプライズはなかったが、対日赤字は63憶ドルで

ドル円  リバウンド、3分の2戻しに迫る(18/6/7)

【概況】30日未明からのリバウンド、3分の2戻しに迫る

ドル円は110円を突破、5月21日高値から5月30日への下落幅3.27円幅に対する半値戻しラインの109.745円を突破して3分の2戻しラインの110.29円に迫る110.26円まで上昇している。
5月21日からの下落はリスク回避感を優先させた下落であり、ユーロ安を中心としたドルストレートでのドル高とクロス円での円高が並行したものであり、米中通商摩擦問題、米朝首脳会談問題、ECBの金融政策正常化(引き締め)姿勢の鈍化懸念、イタリア政局不安等が背景であったが、これらのリスク回避テーマによる下落がひとまず一巡してリバウンドに入った。リスクオフ心理ではドル圏でのドル買い戻し、クロス円市場での円買い戻しによりドル高と円高が併存し、ドル円では円高が勝る構図となりやすい。現在はその逆流としてユーロが上昇、クロス円も上昇となり、今度は円安が勝ってドル円の上昇となっている。

6日はECBのプラート専任理事がインフレ目標実現への自信を示し、来週14日の理事会で債券買い入れ政策を年内に終了させるかどうか議論すると述べた。ワイトマン独連銀総裁やオランダ中銀総裁も同様の発言を行ったことでユーロが対ドルで一段高となっている。またリスク選好性が強まる中でハイテク株中心の米ナスダック総合指数が終値ベースで3日連続の史上最高値更新となり、NYダウも3月12日以来の高値水準へと連騰した。
6月7日から8日のG7、6月12日の米朝首脳会談、6月12−13日の米FOMC、14日のECB理事会と重要イベントが続くため、それらに対する反応次第では5月末からのリバウンドが継続して本流化する可能性がある一方、材料出尽くしによる反落やそれらイベントを弱気で通過して下落再開へ向かうきっかけとなる可能性もあるところだ。

【米国の対日赤字問題再認識されるか】

6日夜には米貿易収支の発表があり、全体では2か月連続で前月比マイナスとなる462憶ドルの赤字で特にサプライズはなかったが、対日赤字は63憶ドルで前月から1.6%縮小したものの国別では2位へ浮上した。1位は中国であり、4月の対中貿易赤字は280憶ドルで前月比8.1%増加となった。
G7では米国の鉄鋼・アルミ関税強化等の保護主義政策への批判と対抗がテーマとなっている。中国に対しては中国側の輸入拡大政策を歓迎し、協議による妥協を図る姿勢も見られているが、トランプ政権の保護主義は一貫しており、中国側の反発姿勢が報道されるような状況が再発すると市場も再びリスク回避的な動きへ転じる可能性がある。またリスク回避感後退でリバウンドしているドル円も、米国側からの対日圧力が水面下でどの程度進んでいるのかの概要が見えづらい中で110円を突破しているため、対日圧力を意識させる報道が出始める場合にはドル高円安への急ブレーキとなりかねない点には注意がいる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では6月1日の上昇で先行スパンを突破したが、その後も先行スパン突破状況を維持している。26本基準線を割り込むところは押し目買いされ、その後の一段高へつながっている。このため先行スパンを上回るうちは高値試し優先とするが、先行スパンから転落する下落発生の場合は5月末からの上昇が一巡して下落再開となるか、大きな調整安に入る可能性を警戒すべきと思う。

60分足の相対力指数は1日夜高値と5日午前高値との間では指数ピークが切り下がる弱気逆行となったが、6日夜から7日未明への高値更新に際しても指数のピークが切り下がっており、連続的な弱気逆行となっている。指数のピークが切り下がる状況を破る上昇となれば逆行破りとしてかえって強気な姿となるが、逆行が続くうちは上昇力の低下として反落入りへの警戒感も続くと思われる。

概ね3日から5日周期のサイクルでは高値更新後の安値を切り上げて一段高する上昇が継続しているため、現状は4日夜安値ないしは5日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルとして上昇していると思われる。このため5日深夜安値109.47円割れに至らないうちは上昇継続余地ありとし、7日夜、8日あるいは週明けへと続伸する可能性ありとするが、30日未明からの上昇も1週を超えているため6日夜安値109.89円割れを弱気転換注意とし、5日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして8日夜から12日夜にかけての間への下落へ進む可能性が高まると考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を6日夜安値109.89円、次いで5日深夜安値109.47円、上値抵抗線を7日未明らかね110.26円とみておく。
(2)109.89円を上回るか、一時的に割り込んでも早々に切り返すうちは上昇余地ありとし、高値更新からは110.50円台を目指すとみる。110.50円到達では反落警戒とみるが、110円台を維持して推移するうちはさらに110.75円前後まで上値目途が切り上がる可能性ありとみる。
(3)109.89円割れを弱気転換注意とし、5日夜安値109.47円割れからは弱気サイクル入りとして8日夜から週明けへの下落と109円前後試しとみる。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

6/7(木)
日米首脳会談(於;ワシントン)
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 15.27億豪ドル、予想 10.00億豪ドル)
14:00 (日) 4月 景気先行指数(CI) 速報値 (3月 104.4、予想 105.)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 -0.9%、予想 0.8%)
17:00 (独) メルケル独首相、ショルツ独財務相、講演
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前年比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利  (現行 8.00%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 22.5万件)
28:00 (米) 4月 消費者信用残 前月比 (3月 116億ドル、予想 140億ドル)

6/8(金)
G7首脳会談(カナダ、〜9日)
未 定 (中) 5月 貿易収支(米ドル) (4月 287.8億ドル、予想 324.5億ドル)
08:50 (日) 4月 国際収支・経常収支 (3月 3兆1223億円、予想 2兆1478億円)
08:50 (日) 4月 国際収支・貿易収支 (3月 1兆1907億円、予想 7464億円)
08:50 (日) 1-3月期 四半期GDP、改定値 前期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
08:50 (日) 1-3月期 四半期GDP、改定値 年率換算 (速報 -0.6%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 252億ユーロ、予想 201億ユーロ)
15:00 (独) 4月 経常収支 (3月 291億ユーロ、予想 197億ユーロ)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 1.0%、予想 0.3%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 0.3%、予想 0.0%)

6/9(土)
10:30 (中) 5月消費者物価指数 前年比 (4月 +1.8%、予想 +1.9%)
10:30 (中) 5月生産者物価指数 前年比 (4月 +3.4%、予想 +3.9%)

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