ドル円見通し 30日未明からのリバウンド続く(6/6)

米サプライ管理協会(ISM)が5日夜に発表した5月の米非製造景況指数は58.6となり、前月の56.8から上昇、市場予想の57.5を上回り、米経済指標の良好さを示した。

ドル円見通し 30日未明からのリバウンド続く(6/6)

【概況】

5月21日高値111.39円から下落に転じ、24日深夜に108.95円へ大幅下落したが、その後は下げ一服。31日深夜安値は108.39円までで底上げとなり、1日の上昇で109円台を回復して戻り高値切り上げに入った。1日夜の米雇用統計が強かったことで109.73円へ上昇、週明け4日も109.85円まで戻り高値を切り上げた。5日午前、午後の二度、110円乗せを試したが突破しきれずに5日深夜には109.47円まで押されたが、4日深夜安値割れには至らずここも底上げから切り返しに入っている。

イタリア政局ではポピュリスト政党による連立政権が発足、コンテ首相が5日の所信表明演説で、「五つ星運動」の公約である最低所得保障や連立を組む右派政党「同盟」の公約である不法移民の流入阻止が優先課題になると表明、大衆迎合主義的な政策を推し進めるとした後でユーロが下落する場面も見られた。

米サプライ管理協会(ISM)が5日夜に発表した5月の米非製造景況指数は58.6となり、前月の56.8から上昇、市場予想の57.5を上回り、米経済指標の良好さを示した。6月1日の米雇用統計が強い内容だったことも踏まえ、米連銀の利上げペース加速の可能性に寄与するものとなった。
米10年債利回りは前日からやや低下して2.93%で落ち着いているが、30日からの上昇基調が継続しており、長期金利差によるドル円上昇要因となっている。
NYダウは13.71ドル安と小幅下落したが、ハイテク中心のナスダック総合指数は31.40ポイント高の7637.86で終了、終値ベースで2日連続史上最高値を更新、5日はザラバ高値としても最高値を更新しており、米連銀の利上げ圧力が高まりつつある中でも米国株式市場は特にナスダックで堅調さを維持しているという印象を強め

【半値戻し実現、110円が目先の壁、週末から来週のイベントも気になる】

5月21日からの下落場面では米中貿易摩擦、米朝首脳会談中止報道、イタリア政局不安等のリスク回避材料が相次いだため、ユーロ等に対してドル高が進む一方でリスク回避の円買い戻しでクロス円はドル円も含めて下落してきた。このリスク回避的な流れがひとまず一服し、株価も落ち着き、ドル円も徐々に戻りを試す状況に入っている。
テクニカル的に言えば52日移動平均まで突っ込んで支えられ、26日移動平均を上抜き返すところまで戻している状況であり、値幅的には5月21日からの3.27円幅に対しての半値戻し109.745円を若干越え、110円に乗せれば3分の2戻し110.29円及び心理的な節目となりやすい110.50円まで上値目途が切り上がる可能性も出てくるところと思われる。
ただし、6月8日、9日とG7、6月12日に米朝首脳会談、6月12−13日に米FOMCと重要イベントを控えていること、イタリア政局の混乱はまだ継続的であること、6月1日から発動された米国によるEUやカナダ等への鉄鋼・アルミ関税強化適用とそれに対する反撃の問題等、楽観を決め込むのも時期尚早という印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では1日の上昇で先行スパンを突破した。5日夜の下落では先行スパン上部を試したがぶつかったところをバネに切り返して先行スパン突破状態を維持している。先行スパンは109.77円から109.50円にかけてのゾーンに広がっているが、1日深夜以降に相場は上昇しているものの上昇角度が鈍いために、6日夜間からは109.70円前後に収れんして細くなるので、転落しやすい状況に入る。高値更新が継続しているうちは一時的に遅行スパンが実線と接触しても切り返し、先行スパンまで押しても切り返す強気パターンを維持できると思われるが、109.70円割れの状況が続くと先行スパンからの転落となり、下落再開感が強まると注意する。

60分足の相対力指数は1日夜高値と5日午前高値との間では指数ピークが切り下がる弱気逆行となり、5日深夜への下落へつながったが、その後は50ポイント台を回復しているので上昇再開を示唆している。ただし、5日の高値を超えた段階で指数のピークが5日時点より下がれば連続の弱気逆行となるため、その後に反動安入りしやすくなると注意する。

概ね3日から5日周期のサイクルでは30日未明安値からの上昇基調が継続しているので、31日深夜安値を前回のサイクルボトムとした上昇の継続である可能性と、31日深夜安値から3日目となる5日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りへ進む可能性が考えられる。いずれの場合も5日夜安値109.47円割れ回避のうちは高値更新余地ありとし、6日夜へ続伸の場合は7日からさらに週末へ上昇を継続してゆく可能性があると考える。ただし、5日深夜安値割れからは弱気サイクル入りと仮定して6日夜から7日深夜にかけての間への下落入りを想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、下値支持線を109.70円、次いで109.47円、上値抵抗線を110円とみておく。
(2)109.70円を上回るか、一時的に割り込んでも早々に切り返すうちは上昇余地ありとし、110円突破からは110.29円から110.50円手前にかけてのゾーンを試す上昇を想定する。ただし110.25円以上は反落注意、110.50円前後は反落警戒とし、その後の109.70円割れからは下げ再開とみる。
(3)109.70円割れを弱気転換注意とし、5日夜安値109.47円割れからは弱気サイクル入りと仮定して109.00円前後試しへ向かうとみる。また109.50円以下での推移が続くうちは7日の日中も安値を試しやすいとみる。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

6/6(水)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期GDP 前期比 (前期 0.4%、予想 0.8%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期GDP 前年比 (前期 2.4%、予想 2.7%)
21:30 (米) 4月 貿易収支 (3月 -490億ドル、予想 -492億ドル)
21:30 (米) 1-3月期 四半期非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 0.7%、予想 0.6%)

6/7(木)
日米首脳会談(於;ワシントン)
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 15.27億豪ドル、予想 10.00億豪ドル)
14:00 (日) 4月 景気先行指数(CI) 速報値 (3月 104.4、予想 105.)
15:00 (独) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 -0.9%、予想 0.8%)
17:00 (独) メルケル独首相、ショルツ独財務相、講演
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、確定値 前年比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利  (現行 8.00%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 22.5万件)
28:00 (米) 4月 消費者信用残 前月比 (3月 116億ドル、予想 140億ドル)

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