<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、おおむね揉み合い。109円半ばを挟んだ狭いレンジ取引で、終日を通した値動きも40ポイントには届かなかった。
ドル/円は、109.35-40円で寄り付いたのち、しばらく揉み合い。109.35-55円といった狭いレンジ取引をたどっていたが、仲値前後に突然ドルは30ポイント以上も急落。日中安値である109.20円レベルへと値を下げた。
しかし、ドルの下値は堅く持ち直すと、その後は再び揉み合いに。109.30-40円台を中心とした一進一退となり、16時時点でも109.35-40円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、本日もまず「北朝鮮情勢」。前日にトランプ米大統領から「米朝首脳会談は6月12日にシンガポールで実施」との発表があったなか、時事通信「北朝鮮、非核化見返りに体制保証を最優先」、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ「北朝鮮は予告なしにミサイル実験をしない、と国際機関に確約」、毎日新聞「米朝首脳会談、習中国国家主席の現地入りも」−−といった幾つかの報道が観測されていた。
そのほか、衆院の財務金融委に出席した黒田日銀総裁から「成長戦略はまだやるべきことが残っている」「財政の持続性を高めることは相当程度実現している」との発言が聞かれていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日もザラ場ベースで110円台を回復。ただ、110円台には定着できず、そののち本日の東京時間には109.20円前後まで軟落するなど、ドルは今回もレンジの上抜けを失敗した格好だ。リスクという点ではドル高方向にバイアスがかかるものの、ポジションの偏りなどを考えるとドルの上値も重そう。ザックリ言って、しばらくは108-110円程度のボックス相場が続く可能性を否定できないのかも知れない。
材料的にも、融和観測が根強い北朝鮮情勢は引き続きドルの買い要因となりそうだが、ほかの多くは怪しい雰囲気を醸している。一例を挙げると、「米中貿易問題」や「米のイラン核合意離脱」に関する動きのほか、良好だった「米経済指標の内容に変調の兆し」などが挙げられよう。また、ここ最近は落ち着きを見せていた米政権からの要人辞任ドミノについても、NYタイムズが「ニールセン米国土安全保障長官が辞意を周囲に漏らした」と報じており、続報なども気に掛かる。
テクニカルに見た場合、昨日110円ブレークを再び試すも抜け切れず。2日に続く今回のセカンドトライも失敗に終わった格好だ。それも時間足よりも短いティックチャートを見ると、前回そして今回とも110円以上のレベルを付けていた時間はホンの数分といったところに過ぎず、逆に上値の重さを再確認したと言えるかもしれない。
しっかり抜ければ、移動平均の200日線が位置する110.15-20円などがターゲットとなるものの、足もとは109円台でドルは上げ渋り。むしろ、いま一段の調整が入る展開も注意を払いたい。
一方、材料的に見た場合、4月の輸出入物価指数や5月のミシガン大学消費者信頼感指数速報など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。
なお、原油高や貿易戦争懸念などが影響してか、ここ最近発表される米経済指標はやや冴えないものが多くなってきた。たとえば、昨日発表された4月の米消費者物価指数は予想を下回る内容で、ドル売り要因のひとつになっていたことは記憶に新しい。本日も指標の内容如何では、同様の展開をたどらないとも限らないだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.80-109.80円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の109.60円レベルの攻防にまず注視。抜ければ、今月だけで2度トライして抜け切れていない110円前後が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値でもある109.20円レベルが最初の下値メド。割りこむと、8日安値の108.80-85円、4日安値の108.65円レベルなどがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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