ドル円 半値戻しを実現ダブルトップ気配(5月第3週)

市場心理を決定付けてゆく材料、テーマとしては(1)米連銀の利上げ姿勢と英中銀、ECBの正常化への積極姿勢鈍化の対比と欧米経済指標動向。

ドル円 半値戻しを実現ダブルトップ気配(5月第3週)

【概況】

ドル高基調を背景として5月2日深夜に110.03円をつけ、5月3日未明のFOMC、4日夜の米雇用統計と重要イベントで4日夜には108.64円まで下げたが、その後は米国のイラン核合意からの離脱等の中東情勢不安も出たものの持ち直して5月10日夕刻には110.00円を再び付けた。しかし110円突破からさらに一段高へは進めず、10日夜の米消費者物価指数の伸びが市場予想を下回ったことから反落、11日夜には109.15円まで下げた。

110円突破へ進めずに反落したため、5月2日深夜高値と10日夕高値によりダブルトップ形成の可能性がでてきた。ダブルトップ完成のためには両高値の中間点の谷間となる5月4日安値108.64円を割り込む必要がある。割り込まないうちは「抵抗線フラット、支持線やや切り上がり」型の持合いか、4日安値前後まで下げても切り返せば「高値圏でのボックス型持合い」に止まり、その後の高値更新からダブルトップ破り=持合い上放れによる一段高へ進む可能性が残る。ダブルトップ候補のレンジ中央値は109.32円であり、11日夜の下落では割り込んだが、週末最終時点ではやや上回っているので、まだダブルトップからの下落入りとなる可能性と、持合いに止まる可能性は併存している。109.50円を上回る状況が続く場合は持ち合い上放れへ進む可能性が高まり、109円割れの場合はダブルトップからの下落期入りへ進む可能性が高まるだろうと思われる。

【概ね5か月から6か月周期のサイクルと中勢の弱気転換目安】

【概ね5か月から6か月周期のサイクルと中勢の弱気転換目安】

概ね10か月から1年周期の底打ちサイクルでは、2017年9月8日安値を前回の底とし、2017年11月6日高値で戻り天井を付けて下落期に入ったという見立てをしてきた。このサイクルの半分の周期となる5か月から6か月周期のサイクルにおいて、昨年9月底から6か月半となる今年3月26日で底を付けて戻しに入った。26日移動平均または一目均衡表の26日基準線を超えて続伸するところが中勢レベルの上昇期入りの目安であり、今回もそれらを超えて続伸し始めた段階からは昨年11月高値からの下落に対する3分の1戻しの107.99円から半値戻しレベルの上昇が想定された。また高値形成期は5か月から6か月サイクルにより今年4月から5月前半までの間と想定された。

5月2日高値で110.00円を付けて半値戻しの109.675円を若干超えた。その後も108円台後半までで下げ渋っていたため、高値更新の場合は昨年11月27日安値110.84円、3分の2戻しの111.375円等まで上値目途が切り上がる可能性も出てきたが、そろそろピークを付けて下落に転じてもおかしくない時間帯、水準には到達している。

日足の相対力指数は5月2日高値形成時には70ポイントに到達したが、5月10日夕高値形成時では65ポイントまでに止まり、小規模な弱気逆行型を示していることは、5月2日と10日の両高値でダブルトップを形成した可能性を示唆するが、相場が高値を更新して70ポイントを超えてくれば弱気逆行破りにより上昇がさらに延長される可能性へ変わる。

中勢の弱気転換目安としては26日基準線(現在108.31円)を割り込むところと考えられる。このため、5月4日夜安値108.64円割れから続落し始める場合はダブルトップ型完成となるためそのまま26日基準線割れへ進んで弱気転換となる可能性がある。逆に言えば26日基準線割れ回避で切り返すか、割り込んでも翌日から反騰して直近の下げ幅の半値戻し以上へ切り返せば、弱気転換目安の「徳俵」に足が残って上昇再開へ進む可能性が再浮上すると考えられる。

【足許のテーマ】

市場心理を決定付けてゆく材料、テーマとしては(1)米連銀の利上げ姿勢と英中銀、ECBの正常化への積極姿勢鈍化の対比と欧米経済指標動向。(2)米財政赤字拡大リスクを背景とした米長期債下落=長期債利回り上昇による金利面からのドル押し上げ圧力の行方。また米金利上昇による投機マネーのスタンス変化と新興国通貨への影響。(3)イラン核合意離脱問題と米国による制裁再開の影響、シリア情勢やイスラエルとイランの軍事衝突リスク等の中東情勢不安及び原油相場高騰。(4)今のところは歴史的融和ムードとなっている米朝首脳会談の行方。(5)米中通商摩擦問題及びその日米貿易不均衡是正問題への飛び火懸念等が挙げられる。

これらのテーマはいずれも流動的であり、4月中旬までは欧州の金融政策引き締め化への期待感からユーロ、ポンドが上昇していたものの逆流している。米長期金利上昇も3月まではドル円トレンドの決定要因とならなかったが最近は意識されている。シリア、イラン問題、米中貿易問題もまだ深刻化への警戒感が薄いため、一時的な報道反応に止まっている。北朝鮮問題もまだどんでん返しのリスクは残る。常に継続的な反応かどうかを臨機応変に見定める必要があるが、相場が下げ始めるとリスク関連報道にはやや過剰に弱気反応しやすくなる点に注意する。

以上を踏まえ、中勢のポイントを示す。
(1) 5月4日安値108.64円割れ回避か、一時的に割り込んでも早々に切り返すうちは高値圏持合いの継続とし、109.50円を上回り始める場合は110円突破試し、110円突破からはダブルトップライン超えによる一段高開始とし、昨年11月27日安値110.84円、さらに昨年11月からの下落幅に対する3分の2戻しとなる111.357円を目指す上昇を想定する。ただし、概ね5か月から6か月周期の天井サイクルを踏まえ、5月第3週中に高値を出し切って下落に転じる可能性に注意する。
(2)5月4日安値108.64円割れから続落の場合はダブルトップ形成による弱気転換の可能性を優先し、さらに26日基準線(108.31円)割れからは中勢レベルの下落期入りと考える。その場合はまず先行スパンのある107.50円前後試しとし、先行スパン転落からは3月26日安値104.63円試しへ向かうとみる。また概ね5か月から6か月周期のサイクルによる安値形成期として8月から9月にかけての間への下落の長期化も想定する。(了)<13日21:00執筆>

【当面の主な予定】

5/14(月)
08:50 (日) 4月 国内企業物価指数 前月比 (3月 -0.1%、予想 0.1%)
08:50 (日) 4月 国内企業物価指数 前年比 (3月 2.1%、予想 2.0%)
15:45 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
22:40 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

5/15(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
11:00 (中) 4月 小売売上高 前年比 (3月 10.1%、予想 10.0%)
11:00 (中) 4月 鉱工業生産 前年比 (3月 6.0%、予想 6.4%)
15:00 (独) 1-3月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.6%、予想 0.4%)
15:00 (独) 1-3月期GDP、速報値 前年比 (前期 2.9%、予想 2.4%)
17:30 (英) 3月 失業率(ILO方式) (2月 4.2%、予想 4.2%)

18:00 (欧) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 -0.8%、予想 0.7%)
18:00 (欧) 1-3月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 1-3月期GDP、改定値 前年比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
18:00 (独) 5月 ZEW景況感調査(期待指数) (4月 -8.2、予想 -8.2)
21:00 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
21:30 (米) 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 4月 小売売上高(除自動車) 前月比 (3月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (4月 15.8、予想 15.0)
23:00 (米) 3月 企業在庫 前月比 (2月 0.6%、予想 0.1%)
23:00 (米) 5月 NAHB住宅市場指数 (4月 69、予想 70)
23:00 (米) クラリダ次期FRB副議長候補、ボウマンFRB理事候補、米上院指名承認公聴会
26:00 (米) ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演

5/16(水)
08:50 (日) 1-3月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.0%)
08:50 (日) 1-3月期GDP、速報値 年率換算 (前期 1.6%、予想 -0.1%)
15:00 (独) 4月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
21:00 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 (3月 131.9万件、予想 131.8万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数 (3月 135.4万件、予想 134.7万件)
22:15 (米) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.5%、予想 0.6%)
22:15 (米) 4月 設備稼働率 (3月 78.0%、予想 78.4%)
21:30 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

5/17(木)
EU首脳会議(ブルガリア ソフィア)
06:30 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
07:45 (NZ) 1-3月期 四半期生産者物価指数 前期比 (前期 1.0%)
08:50 (日) 3月 機械受注 前月比 (3月 2.1%、予想 -2.8%)

10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 0.49万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 5.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 -0.5%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年比 (2月 0.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (4月 23.2、予想 21.0)
23:00 (米) 4月 景気先行指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.4%)
23:45 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現状 7.50%)
26:30 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演

5/18(金)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価指数 前年比 (3月 1.1%、予想 0.7%)
08:30 (日) 4月 全国消費者物価コア指数 前年比 (3月 0.9%、予想 0.8%)
15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.3%)
17:00 (欧) 3月 経常収支 (2月 351億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 貿易収支 (2月 189億ユーロ)
22:15 (米) カプラン米ダラス連銀総裁、講演
22:15 (米) ブレイナードFRB理事、講演

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