<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、最終的に「行って来い」。週のザラ場ベースで一時110円を超えるなど、ドル高・円安が進行したものの続かず。週末には、週初のオープンレベルに近い109.05-10円まで押し戻されていた。
前週末に韓国大統領府が「北朝鮮は核実験場を5月中に閉鎖する」、文韓国大統領から「南北会談で、北は日本と対話の用意あると述べた」との発言が聞かれたことで、リスク回避志向の巻き戻しが期待されたものの、アジア市場は東京そして中国が休場ということもあり、週明けの取引は前週末のNYクローズと大差ない109円レベルで寄り付いた。
そののち、ドルはじりじりと値を上げ、週の半ばには一時110円台を回復する110.04円の戻り高値を記録したが維持できず。週末にかけては逆に108円台まで値を崩し、そこからやや回復した109.05-10円で取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、引き続き「北朝鮮情勢」。先で指摘した2つのほか、「中国外相が北朝鮮外相と会談、朝鮮半島非核化への努力を全力で支持」、朝日新聞「北朝鮮、事前協議で核全廃に応じる構え」−−などと融和観測をさらに後押しするような報道が目に付いた。また、週末にはNYタイムズが「トランプ米大統領、米朝首脳会談を控え在韓米軍の削減検討を指示」と報じ、物議を醸していた感を否めない。
そのほか、3-4日に開催された「米中貿易協議」も折につけ話題に。ただ、ブルームバーグが匿名の中国政府高官による発言として「米国の脅しには屈しない」と報じていたように、結果「平行線のまま、協議は終了」している。加えて、FOMCや週末に発表された米雇用統計を中心とした米経済指標なども、ピンポイントで相場の波乱要因となっていたようだ。
<< 今週の見通し >>
先週末に発表された4月の米雇用統計は、マーケットでもっとも注視されていた非農業部門雇用者数が事前予想(プラス19.2万人)を下回るプラス16.4万人となったが、米経済の底堅さは保たれたとの見方に繋がりNYダウは前日比332ドルもの大幅高でクローズしている。そんな米株高がドル/円などでドルの強い下支えとなったことは間違いなく、今週も引き続き米国を中心とした株価の動きならびに、発表される米経済指標を受けたファンダメンタルズ要因に注意を払いたいところだ。
しかし、先週半ばに一時的に110円台を回復したことである種の達成感も指摘され、ドルの上値がジワリと重くなりつつあることに加え、先週末にかけて実施された「米中貿易協議」が不調に終わるなか、米国によるイラン制裁再開の是非判断(12日期限)など今週は気になる要因も少なくない。状況如何によっては、110円台示現後108円台まで下落したような、ドル高の調整の動きがいましばらく続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、時間的にはホンの一瞬だったが、それでも110円台を回復したこともあり、大きな流れはドル高にバイアス。今週初めの段階で110.20円レベルに位置する移動平均の200日線をしっかり超えれば、さらなる高値トライの芽も出てこよう。
ただ、先週の「日報」で何度かレポートした「シンメトリー(左右対称形)まではいかないものの、年初来安値104.58円を中心とした左右のチャートの形状はかなり似通ってきた。ドルは2月2日高値110.48円に匹敵するレベルで頭を打ち、2円程度の調整に入っても不思議はないのかも知れない」−−という展開にも一応要注意。3月安値から上昇は早1ヵ月以上、価格的には5.5円ほどに達することで、ポジション的にはかなりの偏りが指摘されている。
一方、材料的に見た場合、4月の消費者物価や5月のミシガン大消費者信頼感指数など重要な米経済指標が発表されるほか、米3年と10年、30年債の入札が実施される見込み。また、ボスティック・アトランタ連銀総裁などによる講演も予定されているようだ。それらはいずれも要注意。
加えて、「米国によるイラン制裁再開の是非判断(12日期限)」や7日から再開される「NAFTA再交渉の閣僚会議」、9日予定の「日中韓首脳会談」などのほか、トランプ米大統領が「金委員長との会談、日程と場所は決まった」と発言したことを受けて、米朝首脳会談についての観測がさらに高まっても不思議はないだろう。
そんな今週のドル/円予想レンジは、107.80-110.30円。ドル高・円安については、先週記録したドルの戻り高値110.04円の攻防が注目され、抜ければ移動平均の200日線が位置する110.20円レベル、そして2月2日高値の110.48円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値である108.65円が最初のサポート。割り込むようだと、日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する107.90円レベルを目指す展開も。(了)
オーダー/ポジション状況
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