ドル円 109円維持、半値戻し超えるか(週報5月第一週)

3月23日安値104.63円から4月27日高値109.53円までの上昇幅は4.90円幅となった。昨年11月天井からの下落途中における小反発は12月12日への2.90円幅、

ドル円 109円維持、半値戻し超えるか(週報5月第一週)

【概況】

4月20日までは108円手前を抵抗としていたが23日にこれを突破、24日には109.20円まで大幅上昇した。いったん反動安で25日未明に108.54円まで下げたが26日午前には109.45円へ一段高、27日夜には109.53円まで高値を切り上げたが28日未明には108.99円まで下げる場面もあった。しかし109円割れは買い戻されて30日夜には109.45円へ上昇、109円台前半を概ね維持しての一段高状態、持ち合いとなっている。

【半値戻し手前で足踏みの持ち合い】

3月23日安値104.63円から4月27日高値109.53円までの上昇幅は4.90円幅となった。昨年11月天井からの下落途中における小反発は12月12日への2.90円幅、2月2日への2.19円幅等で3円を超えず、26日移動平均や一目均衡表の26日基準線を超えられない程度に止まってきたが、今回の上昇では26日移動平均、26日基準線超えから上昇が加速し、上昇幅も3円を大きく上回ってきた。
今回の上昇は、概ね5か月から半年周期のサイクルによる中勢レベルの反騰であり、比較対象としては2017年4月17日底から5月11日高値まで1か月弱での6.25円幅、2017年6月14日から7月11日への5.65円幅が挙げられるが、1年サイクルの底打ちと重なった前回のリバウンドは2017年9月8日から11月6日への2か月、7.40円幅となっている。今回もそれらと同レベルの上昇へ発展する可能性があると考えておく必要がある。

2017年11月から今年3月への下落幅(10.09円幅)に対する3分の1戻しはすでに達成しており、当面は半値戻しの109.675円が重要な節目と思われるが、昨年5月反騰や7月反騰等の5円を超える上昇の場合は110円台、111円に迫る可能性も考えておく必要がある。

【弱気転換の攻防】

概ね5か月から6か月周期のサイクルでは昨年9月8日底から6か月半となる3月26日安値で底を付けた。昨年11月天井を基準とすれば今回の高値形成期は4月から5月前半にかけての間と想定される。既に上昇一巡から反落開始となっても不思議ない時間帯に入っているが、5月3日未明のFOMC声明発表(議長会見なし)、5月4日には米雇用統計がある。これら重要イベントから5月第2週以降もさらに上昇を継続する可能性があるが、それらを強気して上昇するもそこで当面の強気材料消化として高値を出し切って5月第2週から下落に転じる可能性も良くあるパターンだ。またFOMC声明から雇用統計へと連続的に弱気されて5月第1週末から下落開始となる可能性もあるので、これら3通りのシナリオを考えておく必要がある。いずれの場合も9日移動平均ないしは9日転換線割れから続落開始となるところを弱気転換注意とするが、26日移動平均ないしは26日基準線割れから半年サイクルレベルの下落再開の目安と考える。

【有事リスク後退、貿易戦争リスク懸念一服、米連銀の利上げ姿勢】

ドル高円安の背景は米長期金利上昇を伴ったドル指数の連騰にある。米中貿易戦争全面化への懸念、シリア・中東情勢も1回の限定空爆実施で一服、北朝鮮情勢も南北首脳会談実現から米朝首脳会談実現へ向けて融和的に進んでいることがドルに対するリスク売り圧力を後退させている。そうした中でECB、英中銀の金融引き締め化への姿勢が後退、米連銀の利上げペース加速姿勢が強まるという対比性がユーロ安、ポンド安、ドル高を助長した。また米トランプ政権による積極財政政策が米長期国債需給緩和感から長期債利回り上昇を引き起こしている。これらが融合してドル高が進んでいるという状況と思われる。

ドル指数は1月後半からの安値圏持合いから上放れし、ユーロドルは1月後半からの高値圏持合いから下放れしている。このドル高ユーロ安状況が継続するうちはドル円も上昇しやすいが、ユーロドル、ドル指数もドル円同様に概ね5か月から6か月周期のサイクルで推移しているので、ドル円がピークアウトするところはドル指数の戻り天井形成、ユーロの底打ちとリズムが重なってくると思われる。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

60分足の一目均衡表では26日以降の高値圏持ち合いにより、遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯を繰り返しているが、先行スパンを割り込んだところは買い戻されている。28日安値108.94円割れから続落とならない内は持ち合い上放れへの可能性ありとし、先行スパンを上回るうちは高値更新からの一段高入り注意とする。先行スパンからの転落状況が改善しない場合は弱気転換注意とし、28日安値割れから続落し始める場合はいったん下落期入りとして25日未明安値試しへ向かう可能性を考える。

60分足の相対力指数は28日に30ポイント台まで下げたが切り返しているので、再び40ポイント割れへ崩れない内は上昇継続性ありとし、70ポイント超えを目指す可能性ありとみる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、25日未明安値から3日目となる28日未明安値で直近のサイクルボトムをつけて上昇期に入ったと思われる。このため28日未明安値割れ回避の内は27日夜高値を基準として5月2日から4日夜にかけての間への上昇を想定する。雇用統計等によっては週明けの7日間でサイクルトップ形成が伸びる可能性もあると思われるが、雇用統計前後での反落はサイクルトップをつけての下落入りとなる可能性がある点に注意する。いったん弱気サイクル入りした場合は28日未明安値を基準として次の安値形成期を3日未明から7日朝にかけての間と想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、27日高値109.53円を抵抗、28日未明安値108.94円を支持線とみておく。
(2)28日未明安値割れ回避の内は一段高の可能性ありとし、27日夜高値超えからは109.675円、110円試しへ向かうとみる。FOMCや雇用統計反応次第では110.84円、111円試しの可能性にも注意する。ただし、雇用統計前後で高値を出し切って反落となる可能性にも十分注意し、高値から0.70円を超える反落発生なら下落再開入りを警戒する。
(3)28日未明安値割れの場合はいったん弱気サイクル入りとして108.50円前後試しを想定する。FOMCから雇用統計へ連続的に弱気反応する場合は108円台前半まで下値目処が切り下がる可能性もあるが、108円台後半を維持してFOMC、雇用統計へ臨む場合はそこから強気転換で一段高へ向かう可能性ありとみておく。(了)<9:05執筆>

【当面の主な予定】

5/1(火)
中国市場休場(労働節)
香港・シンガポール・独・仏・瑞西、トルコ、南ア市場休場(レーバーデー)

未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
13:30 (豪) 豪準備銀行(RBA) 政策金利発表 (現行 1.50%、予想 据え置き)
17:30 (英) 4月 製造業PMI (3月 55.1、予想 54.8)
23:00 (米) 3月 建設支出 前月比 (2月 0.1%、予想 0.5%)
23:00 (米) 4月 ISM製造業景況指数 (3月 59.3、予想 58.5)

5/2(水)
07:45 (NZ) 1-3月期 四半期失業率 (前期 4.5%、予想 4.5%)
10:45 (中) 4月 財新製造業PMI (3月 51.0、予想 50.9)
16:55 (独) 4月 製造業PMI、改定値 (速報 58.1、予想 58.1) 
17:00 (欧) 4月 製造業PMI、改定値 (速報 56.0、予想 56.0) 
18:00 (欧) 3月 失業率 (2月 8.5%、予想 8.5%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、速報値 前期比 (前期 0.6%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 1-3月期 四半期GDP、速報値 前年比 (前期 2.7%、予想 2.5%)
21:15 (米) 4月 ADP民間雇用者数 前月比 (3月 24.1万人、予想 19.5万人)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 1.50-1.75%、予想 据え置き)

5/3(木)
10:30 (豪) 3月 貿易収支 (2月 8.25億豪ドル、予想 9.50億豪ドル)
10:30 (豪) 3月 住宅建設許可件数 前月比 (2月 -6.2%、予想 +1.0%)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI (3月 51.7、予想 53.5)
18:00 (欧) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 3月 生産者物価指数 前年比 (2月 1.6%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数 速報 前年比 (3月 1.3%、予想 1.3%)
21:00 (欧) コンスタンシオECB副総裁、講演
21:30 (米) 1-3月期 四半期非農業部門労働生産性・速報 前期比 (前期 0.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数  (前週 20.9万件、予想 22.0万件) 
21:30 (米) 3月 貿易収支 (2月 -576億ドル、予想 -564億ドル)
23:00 (米) 4月 ISM非製造業景況指数 (3月 58.8、予想 58.1)
23:00 (米) 3月 製造業新規受注 前月比 (2月 1.2%、予想 1.4%)

5/4(金)
10:45 (中) 4月 財新サービス業PMI (3月 52.3、予想 52.3)
16:55 (独) 4月 サービス業PMI、改定値 (速報 57.4、予想 57.4)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI、改定値 (速報 55.0、予想 55.0)
18:00 (欧) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.1%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 3月 小売売上高 前年比 (2月 1.8%、予想 1.9%) 
21:30 (米) 4月 非農業部門雇用者数 前月比 (3月 10.3万人、予想 19.0万人)
21:30 (米) 4月 失業率 (3月 4.1%、予想 4.0%)
21:30 (米) 4月 平均時給 前月比 (3月 0.3%、予想 0.2%)
25:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁、講演

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