<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場もドル高・円安。週足は、今年初の5週連続陽線引けとなっている。また、週のザラ場ベースでは109円半ばを記録し、直近の戻り高値を再び更新する局面も観測されていた。
前週末に、朝鮮中央通信が「北朝鮮が核実験とICBM発射実験中止、核実験場も廃棄」と報じたことを受け、リスク回避志向の巻き戻しから、週明けのドル/円相場はやや円安で寄り付いた。前週末のNYが107.65円レベルで大引けたなか、107.75-80円で取引を開始している。
その後も、週末に実施される南北首脳会談を背景とした北朝鮮情勢をにらみつつ、ドルは買い進まれる展開。大雑把に言えば、「週初安・週末高」の値動きで、週末には週間高値である109.54円を記録、やや小緩んだ109.05円レベルで取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、なんといっても「北朝鮮情勢」。先で指摘した「北朝鮮が核実験とICBM発射実験中止、核実験場も廃棄」に続き、WSJ紙「北朝鮮、米に非核化へ段階的措置を打診」、ヘラルド紙「北朝鮮の金委員長、米国による核実験場の査察を受け入れ」−−など、週明けから北朝鮮の融和姿勢をうかがわせる報道が相次いだ。また、マティス米国防長官が「北朝鮮との対話が実りあるものになると楽観するに足るだけの理由がある」と述べるなど、楽観的な見通しも週間を通してドルの買い材料に。
なお、週末27日に実施された南北首脳会談は、「完全な非核化を目指すことで同意した」などといった文言を含めた共同宣言が発表されたものの、その具体性には乏しかった。
<< 今週の見通し >>
先週は、ECBと日銀、「日欧中銀による金融政策決定」や、解散観測も取り沙汰されはじめた「日本の政局」などの材料もあったが、週間を通しては「北朝鮮情勢」一色と言ってもよく、まずは南北そして米朝の融和期待がドル買いを強く後押ししていた感を否めない。個人的には、やや楽観論に傾斜しすぎているような気がしないでもないが、遅くとも6月初旬までに実施される米朝首脳会談をにらみ、ドル買い安心感の強い状況が続きそうだ。このあとも引き続きドルは底堅い値動きをたどる可能性がある。
一方、テクニカルには110円を完全に視界内に捉えた動きとなっているものの、同レベルは心理的にかなり強い抵抗。また、前述したように週足は先週までで、今年初の5週連続の陽線となるなど、さすがに短期的には買われ過ぎの域に達してきた。流れは変わらないにせよ、一時的な下押し、調整の動きにも一応注意を払いたい。いずれにしても、先週末から9連休となる向きもあるなど、日本はゴールデンウイーク入りしており、商いが薄い状況が予想されるだけに、予想外の変動に備えてリスク管理はしっかりしておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、2月半ば以降、ドルの上値を抑制し続けてきた108円レベルを、先週はじめに上抜くと、そのまま一気に109円半ばまでドルは達してきた。リスクという点では上方向にバイアスがかかる。昨年11月高値114.79円を起点とした下げ幅の半値戻しは109.70円レベルであり、まずは同レベルの攻防を注視。上抜ければ、いよいよ110円台回復が現実のものとして意識されよう。
ちなみに、ドルの基調は基本的に強いが、現在しっかりと上回っている108円レベルを割り込んでくるようだと、風向きの変化を考えざるを得ない。単なる調整ではなく、トレンド転換の可能性も否定出来ないだろう。
一方、材料的に見た場合、週末の4月の雇用統計を中心に、週の初めから重要な米経済指標の発表が相次ぐ。市場の基本的な関心が金利情勢とファンダメンタルズへと回帰しつつあるだけに、米経済指標の数値に一喜一憂する展開をたどる可能性もある。
その以外の要因としては、米中貿易戦争懸念が根強くくすぶるなか週明けに発表される中国の経済指標(4月PMI)、5月1-2日に実施されるFOMCなどへの関心も高い。また、南北首脳会談を受けた米朝首脳会談へ早くも注目が移行している感を否めない。関連報道などには一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.50円。ドル高・円安については、先週記録したドルの戻り高値である109円半ばの攻防が注目され、抜ければ109.70円レベル、そして110円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、攻防の分岐点であり、先週しっかりと上抜けてきた108円レベルを引き続き維持できるかどうかがポイントに。底堅いイメージは変わらないが、108円を大きく割り込むようだと一転してドルの下値余地拡大も。(了)
オーダー/ポジション状況
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