ドル円3月反騰幅が約5円、昨年5、7月反騰並みに(4/26)

概ね5か月から半年周期でのリバウンドとしては、昨年4月17日底から5月11日高値まで1か月弱、6.25円幅の上昇が前例となる。

ドル円3月反騰幅が約5円、昨年5、7月反騰並みに(4/26)

【概況】

3月23日安値104.63円から上昇してきたが、先週末の4月20日までの上昇は安値から3.22円幅で108円に届かない程度であった。しかし地政学的リスク及び米中貿易戦争リスク等が後退する中で米長期金利が上昇を続け、ユーロや新興国通貨が下落に転じる中でドル高感が強まり、週明け23日からはドル円の上昇が加速してきた。108円超えからは抵抗突破感から勢いが増し、24日の上昇では前日比で1円を超える上昇となって24日深夜には109.20円まで続伸。25日未明にはドル高一風による高値警戒感から108.54円まで反落したものの早々にV字反騰入りして25日夜には高値を更新、26日午前には109.50円に迫ってきている。

【11月からの下落に対する半値戻し、3分の2戻しも視野に】

3月26日安値からの上昇については、概ね1年周期の底打ちサイクルにおける半分の周期による5か月から半年サイクルレベルでの中勢反騰と位置付けてきた。そのため、昨年11月天井からの下落に対する3分の1戻し、さらに半値戻しの109.675円等を目指す可能性ありとみてきた。すでに3分の1戻しを超えて半値戻しに迫っている。
概ね5か月から半年周期でのリバウンドとしては、昨年4月17日底から5月11日高値まで1か月弱、6.25円幅の上昇が前例となる。半年および1年周期でのリバウンドとしては昨年9月8日から11月6日までの2か月間で7.40円幅がある。また5円を超える反騰としては昨年6月14日底から7月11日高値への1か月弱で5.65円幅の上昇がある。今回の上昇は4月20日までの上昇レベルではそれらと比較すれば緩やかなものにすぎなかったが、今週に入っての上昇加速により、昨年5月11日への反騰時、7月11日への反騰時等に近い勢いを得た印象がある。

日足では一目均衡表の先行スパンからわずかに上抜けるところまで来ており、移動平均では104日線を超えてきている。このため、当面の上値目途を半値戻しの109.675円とするが、さらに半値戻しを超える場合の上値目途も念頭に入れて置く必要も出てきたと考える。その際はまず、11月天井からの一段目の下落で付けた安値である昨年11月27日安値110.84円、3分の2戻しにあたる111.357円等まで切り上がってくる可能性も検討される。

【GWへ重要イベント続く、楽観的強気の過信に注意】

4月26日夜にはECB理事会、ドラギ総裁会見がある。28日には日銀金融政策決定会合、南北首脳会談、夜には米GDPの発表。5月1日から2日にかけてはFOMC(声明文のみで議長会見なし)、5月4日には米雇用統計と重要イベントが続く。
4月19日からのドル高の背景には米長期金利上昇と欧米の金融政策姿勢の乖離がある。カーニー英中銀総裁が追加利上げ時期の先送り姿勢とも受け止められる発言をしたことがポンド急落の原因となり、ECB当局者が金融政策正常化プロセスの先送りとなる可能性を示したとの報道等がユーロ安の引き金となった。

一方では米長期金利の指標である10年債利回りが米国の積極財政政策による国債増発懸念も背景に3%を超える危険水準を突破するところまで上昇したことが利回り格差拡大としてドル高を助長している。
米長期金利上昇といっても米経済への先行き不安やインフレ懸念による金利上昇というケースでは株安とドル安も併発することがあるが、今の段階では地政学的リスクの後退もあって米長期金利上昇が素直にドル高へ反映されている。この関係性が継続するうちは米10年債利回り上昇、米連銀の追加利上げペース加速の可能性、ドル高円安という基調が続きやすい。また高値更新が続くことによる心理的テクニカル的な新規買い及び売り方の踏み上げ(損切りのための買い戻し)による押上げ効果が上昇を加速させやすくなる。
ただし、上昇が加速している最中こそがいわゆる「万人総強気」状況であり、いったん強気の梯子が外れると高所恐怖症の売り連鎖で急落に転じる可能性も抱えていることは認識しておく必要がある。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

の続伸で両スパン好転を維持してきた。戻り高値切り上げが続くうちは遅行スパン好転が続き、悪化のタイミングも先送りされてゆくが、高値更新が止まると遅行スパン悪化となる点に注意がいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは先行スパン下限試し、先行スパン転落からは弱気転換と考える。

60分足の相対力指数は23日夜から24日深夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られた。さらに高値更新へ進んだが、指数のピークは25日夜、26日午前と切り下がりが続いているので、いつ崩れても不思議ない状況にある。ただし通常レベルよりも強い相場なら70ポイント超えから一段高へ進んで70ポイント台後半あるいはもう一度80ポイントを試す可能性があると考えられるので、弱気転換は45ポイント割れからと考える。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月24日深夜高値でいったんサイクルトップを付けたが、25日未明安値で直近のサイクルボトムを付け、すでに高値更新から新たな強気サイクルに入っていると思われる。今回のサイクルトップ形成期は27日夜から5月1日にかけての間と想定されるが、連騰中のためサイクルトップ形成が短縮される可能性も踏まえて109円割れを弱気転換注意、25日未明安値割れからは弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる28日未明から5月2日朝にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円を支持線、109.50円を抵抗線とみておく。
(2)109円台を維持するうちは109.50円超えからの一段高余地ありとして109.675円、さらに110円試しへ向かう可能性ありとみる。109.675円以上は反落警戒圏とするが、109円台を維持するうちは27日も高値を試しやすいとみる。
(3)109円台割れから続落なら弱気転換注意として25日未明安値試しを想定する。その前後ではいったんかい戻しが入ると想定するが、底割れからは弱気サイクル入りとして27日、あるいは週明けへ108円試しへ向かうとみる。(了)<9:50執筆>

【当面の主な予定】

4/26(木)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 現状維持)
21:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.1万件)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 3.0%、予想 1.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 1.0%、予想 0.4%)

4/27(金)
 南アフリカ市場休場(自由の日)
 非公式ユーロ圏・EU財務相会合(ソフィア、28日まで)
 米独首脳会談(ワシントン)
 韓国・北朝鮮 南北首脳会談

未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 現状維持)
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 2.17億NZドル、予想 2.00億NZドル)
08:30 (日) 3月 失業率 (2月 2.5%、予想 2.5%)
08:30 (日) 3月 有効求人倍率 (2月 1.58、予想 1.59)
08:30 (日) 4月 東京都区部消費者物価コア指数 前年比 (3月 0.8%、予想 0.8%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産・速報値 前月比 (2月 2.0%、予想 0.5%)
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年比 (2月 1.6%、予想 1.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期生産者物価指数 前期比 (前期 0.6%)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期生産者物価指数 前年比 (前期 1.7%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年比 (2月 -2.6%、予想 -4.8%)

15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 5.3%、予想 5.3%)
17:30 (英) 1-3月期 四半期GDP、速報 前期比 (前期 0.4%、予想 0.3%)
17:30 (英) 1-3月期 四半期GDP、速報 前年比 (前期 1.4%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感 確報 (速報 0.4)
21:30 (米) 1-3月期 四半期実質GDP、速報 前期比年率 (前期 2.9%、予想 2.0%)
21:30 (米) 1-3月期 四半期雇用コスト指数  前期比 (前期 0.6%、予想 0.7%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者態度指数・確報 (速報 97.8、予想 98.0)

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