【概況 NYダウ反騰で戻す】
米中貿易戦争懸念から3月23日と26日朝には104円台まで下落していたドル円は米中がこの問題の協議テーブルにつくとの報道で反発し、28日の米GDP大幅上方修正もあって29日未明には107.00円を付けた。しかし4月1日に中国が報復関税導入を宣言したことやISM製造業景況指数が予想より悪かったことで2日夜に急落、3日未明には105.656円まで下げた。NYダウは一時700ドルを超える下落となり、458ドル安の大幅下落となった。
4月3日は日本株も一時300円を超える下落となったが日銀の買い支えもあって96円安まで回復して落ち着き、東京市場時間でのNYダウ先物が上昇。3日夜のNYダウも前日の大幅下落に対する反動もあって389ドル高と戻し、リスク回避感がやや後退した状況でドル円も上昇。
3月27日未明から4月3日未明までの3日間の下げは1.35円幅で、26日安値から29日未明への上昇幅2.38円幅に対して半値を若干超える下落となったが、昨晩の反騰により底上げから上昇基調を継続する可能性も意識される流れとなったが、4日未明にユーチューブ本社で銃撃戦が発生したり、米USTRが中国の知的財産権侵害問題に対する新たな大規模報復関税導入の詳細を示し、中国がこれと同規模の対抗措置をとると表明するなど、市場を再び不安に陥れやすい状況が発生しているため、3日未明からの反騰基調を継続できるかどうか、微妙な状況に入っている。株式市場動向も4日早朝のNYダウ先物では反落気味のスタートとなっているため、ドル円も上昇基調継続期待とともに戻り一巡からの下げ再開が警戒されるところと思われる。
【米中貿易戦争はさらに激化へ】
4月1日に中国財政省は米国製アルミニウムスクラップに25%の追加関税を4月2日から導入すると表明、2日から実施した。さらに米国からの輸入品128品目への関税上乗せを発表した。果物、ワイン、鋼管など120品目に対して15%、豚肉など8品目に対して25%の関税をそれぞれ上乗せした。
米国は中国に対して3月23日から大規模な関税を導入しているが、米通商代表部(USTR)は4月3日朝、通商法301条に基づいて中国の知的財産権侵害に対抗する貿易制裁措置の原案を公表した。それによると一律25%の追加関税の対象となる中国製品は総額500億ドル、1300品目に上り、航空宇宙、情報通信、ロボット等のハイテク製品が標的となっているようだ。この動きに対して中国の新華社電によれば中国商務省は米国の貿易制裁措置に対して同規模の報復を行うと表明しているという。
3月1日に米トランプ大統領がアルミ・鉄鋼への輸入関税拡大を表明、特に中国をターゲットとした大規模な関税強化に動きだしたことで世界連鎖株安が発生、ドル円は急落した。この問題に対してやや過剰反応だったとして先週前半は株もドル円も戻したが、米中による関税問題協議は進まずに中国が対抗措置に出たことで2日夜には再び株安、ドル円下落となった。3日はその反動でいずれも戻したが、そこに米国からの新たな関税拡大姿勢表明、中国の全面対抗姿勢の表明と事態は深刻に進展してきている。
米国は最大の農産物輸出国でもあり、特に中国は米国産大豆の3分の1を輸入している。中国は今のところ大豆への関税強化には踏み切っていないが、これに踏み切れば米国農業界にとっては大打撃となり、米中貿易戦争の緊張レベルも一段と強まる可能性があるので注目したい。
トランプ政権は中間選挙、自身の二期目当選を目指して大統領選挙で勝ったスローガンである米国第一主義、保護主義を強硬な姿勢で推し進めているため、簡単な駆け引きで事態が収束するとは思えない。
米朝首脳会談実現へ向けて具体的な進展がみられる中、中国に対する遠慮は後退し、対中国での貿易戦争勝利がトランプ政権にとっては極めて重要な政治外交テーマとなっている印象もある。中国も強力な習近平体制でこれを迎え撃つ姿勢を示しているので、この問題は簡単には終わらないだろう。
【60分足一目均衡表分析 当面のポイント】
60分足の一目均衡表では2日夜の反落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、3日夜の反騰で両スパンは好転した。このため、遅行スパン好転中は高値試し優先と考える。ただし、4日未明高値を超えられずに下落し始める場合は遅行スパンも悪化しやすくなり、高値更新なら遅行スパン悪化の機会は先送りされるため、4日の日中に戻り高値を更新できるか106円台序盤へ下落するかどうかが大事になってくる。遅行スパン悪化からは下げ再開と仮定して先行スパンからの転落を含めて安値試し優先とし、4日未明高値超えなら29日未明高値への挑戦という流れになってゆくのではないかと考える。
60分足の相対力指数は3日未明に30ポイントを割り込んだが、その後の反騰で3日夜には70ポイントを超えた。ただし4日未明への高値切り上げでは指数のピークがやや下がっており、小規模な弱気逆行が見られる。50ポイント台を維持するうちは上昇継続余地ありとするが、50ポイント割れからは戻り一巡による下げ再開が警戒される。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、28日未明安値を前回のサイクルボトム、29日未明高値を同サイクルトップとして4月3日の日中から4日午前への下落を想定していたが、3日未明安値でボトムを付けて反騰入りした。今回のトップ形成期は3日から5日朝にかけての間と想定されるため、4日夜にかけてはまだ上昇余地が残るものの、すでに前回サイクルトップから3日を経過しているために4日未明高値を超えられずに失速が続く場合はサイクルトップをつけてしまって新たな弱気サイクル入りとなっている可能性が高まると思われる。
以上から、106.25円を上回るうちは上昇余地ありとし、4日未明高値超えの場合は4日夜にかけて29日未明高値試し、さらに高値更新なら107円台前半試しへ向かう可能性があるとみる。
106.25円割れからは下げ再開注意、106円割れからは弱気サイクル入りとして6日未明から10日朝にかけの間への下落を想定する。その場合は3日未明安値を当初の下値支持線とし、割り込む場合は105円前後への下落へ向かうと考える。(了)<9:30執筆>
【当面の主な予定】
4/4(水)
10:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 17.1%、予想 -5.0%)
10:30 (豪) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%、予想 0.3%)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 54.2、予想 54.6)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 8.6%、予想 8.5%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP) 速報値 前年比 (2月 1.2%、予想 1.4%)
21:15 (米) 3月 ADP民間非農業部門就業者数 前月比 (2月 +23.5万人、予想 20.0万人)
22:45 (米) ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 59.5、予想 59.0)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -1.4%、予想 1.7%)
24:00 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
4/5(木)
清明節 中国休場
10:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 10.55億豪ドル、予想 8.25億豪ドル)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI、改定値 (速報 54.2、予想 54.2)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI、改定値 (速報 55.0、予想 55.0)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI、(2月 54.5、予想 54.2)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前年比 (1月 1.5%
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年比 (1月 2.3%
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -566億ドル、予想 -558億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.5万件)
26:00 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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