<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは、105.60円まで下落し年初来安値105.24円をうかがう様相を呈したものの届かず。ドル安傾向ではあったが、底堅さも目に付いた。
ドル/円は106.60円レベルと、先週末のNYクローズよりもドル安・円高で寄り付いた。これは、前週末に報じられた「財務省、『森友決裁文書』の書き換えを認める方針」ならびに、一部新聞による「安倍政権支持率低下」報道が嫌気されていたという。しかし、週初から週の半ばまでは比較的底堅い動きで、下値は106.25円レベルまで。むしろドルは107円台まで一時反発する局面も観測されていた。
ただ、ドル高は長く続かず、そののち再びドル安が進行。週末にかけては週間安値の105.60円まで値を下げ、そこから小反発に転じた106円前後で週末NYの取引を終え、越週している。
一方、週間を通した主な材料は、大きく2つ。ひとつは前述した「森友問題」に関してで、たとえば「麻生財務相がアルゼンチンG20会議を欠席」といった報道がみられるなど週間を通し円の買い要因に。また、「米政権運営不安」もリスク回避の動きに繋がり、やはり円高の支援材料となった。こちらについては、トランプ米大統領が「ティラーソン米国務長官、ならびにゴールドスタイン国務次官を電撃解任」、米紙ワシントンポストが「米大統領はマクマスター大統領補佐官の解任を決めた」−−などといった報道が観測されている。
また、それ以外では、「米輸入制限問題」や「北朝鮮情勢」関連のニュースや発言、「衆院本会議が日銀の黒田総裁、雨宮・若田部副総裁人事案を可決」もマーケットで話題になっていたようだ。
<< 今週の見通し >>
前週に「米朝首脳会談決定」と「良好な米雇用統計発表」という大きな材料があったことに続き、先週も前記したようになかなかのビッグニュースが多かったものの、週間を通したレンジはと言うと105.60-107.30円で、前週と大差がなかった。その結果、先月13日に108円を割り込んで以来、105.25-108.00円のボックスを形成している感がうかがえるだけでなく、短期的にはさらに狭いレンジ取引になっている感を否めないだろう。まずは、最近の106円台を中心とした一進一退の展開から、上下どちらに抜けていくのか、その方向性に注意を払いたい。
なお、週足チャートをみると、過去5週間は陰陽が交互に観測されており、それが続くとすれば今週は「週足陽線」、つまり週間を通してドルが強含みに推移する公算が大きいことになる。果たして結果は如何に!?
テクニカルに見た場合、短期的にはやや方向性を欠いている。過去1ヵ月程度であれば105.25-108.00円、期間をもう少し狭めれば105.25-107.30円という2円レンジに留まっているようだ。
材料や需給要因を考えれば、円高方向にバイアスがかかりそうで、形成レンジを下放れする展開が見込まれている。しかし、年初高値を起点として考えても2ヵ月以上、価格にして8円を超える下落をたどっていることは、さすがに気掛かり。チャートの形状も、ドルの2番あるいは3番底を確認しているように見えなくはない。予想外(?)のレンジ上放れにも一応注意しておきたい。
一方、材料的に見た場合、2月の中古住宅販売件数や同耐久財受注など幾つかの米経済指標の発表が予定されているものの、全体的には小粒な印象。事前予想からよほど乖離しない限り、相場への影響は限定的か。
それよりむしろ、19-20日の日程で実施される「G20財務相・中銀総裁会議」や20-21日に実施される「米FOMC」に要注意。なかでも後者は、「利上げ実施」が現在のマーケットコンセンサスとなっているだけに、実際に利上げが実施されるか否かに注目を払いたい。またそれとともに、声明などにおける「今後の利上げスケジュール」で、「年内利上げ回数の増加」が示唆されたりすれば、ドルの買い戻しを後押しそうだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-107.30円。ドル高・円安については、先週末段階で106.65-70円に位置し、一日に10ポイント程度切り下がってくる移動平均25日線をめぐる攻防にまずは注視。上抜ければ先週高値である107.29円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値の105.60円が目先のサポート。割り込めば105.24円の年初来安値、そして心理サポートの105円前後などが視界内に捉えられそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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