ドル円 米FOMCが変更の攻防点(週報3月第三週)

米連銀FOMCが迫り、今年一回目の利上げ決定は確実視されており、また利上げペース加速の可能性も出てきているか、

ドル円 米FOMCが変更の攻防点(週報3月第三週)

【概況】

3月2日から3月13日へ反発したがこの間の上昇幅は2.05円幅であり、2月21日への2.35円幅や2月2日への2.19円幅と同レベルの短期的な戻りと変わらない程度にとどまった。また強気転換目安となる26日移動平均をザラバでは上抜く場面があったが日足終値ベースでは超えられずに失速した。週末も106円台序盤まで戻したが106円割れで終了し、13日への戻り幅の半値以上を削ったままだった。

【中長期的な円高基調】

週足レベルの中長期波動においては概ね10か月から1年周期の底打ちサイクルがみられる。このサイクルの天井を昨年11月につけて下落中である。昨年9月8日安値がこのサイクルにおける底であり、現在は半年を経過したところにあるが、次の底打ち期は今年7月から9月にかけての間と予想される。
1年サイクルのおよそ半分の周期による5ヵ月から半年のサイクルにより反発期に入る可能性があるが、それはあくまでも中間的な戻しであり、戻り一巡からは1年サイクルの底形成への下落を再開すると考える。

2017年3月以降は108円前後から115円前後での中段持ち合いを形成していたが、今年の下落で昨年9月底を割り込んでこの中段持ち合いから転落した。このため中段持ち合い中の循環的な下落局面よりも昨年11月高値からの下落は長引き、下落規模が大きくなっている。

昨年11月からの下落角度は2016年12月天井から4月底への下落時に近いが、同時に2016年前半の下落時にも近い。
3月FOMCを前後して反騰期に入る可能性もあるが、仮にFOMC後も下落基調を継続する場合は、週足チャートで節目とすべき安値は2016年11月9日のトランプショック時101.19円、英国のEU離脱国民投票ショックの2016年6月24日99.54円まで見当たらない。それらの水準まで下げるという事は2016年前半の下落規模を再現することでもあるが、その様なリスクについても高をくくれないと認識しておくべきなのかもしれない。FOMC前後から戻せばそうした心配もいったんは後退するが、反騰が続かない場合はこの心配も再燃するのではないかと思う。
 

市場心理を左右するテーマとしては、米国の保護主義的関税導入問題、米長期金利上昇リスクと米連銀の利上げ姿勢問題、日銀手詰まりと安倍政権危機による先行き不安問題がある。
特に米国の関税導入問題では、中国に対する多方面の関税強化が中国による対抗姿勢を刺激しており、貿易戦争的な展開をたどる可能性が出てきている。トランプ大統領は選挙中から一貫して保護主義、米国第一主義で進んできたが、鉄鋼、アルミへの関税導入、中国との対立懸念は株式市場を萎縮させつつある。
トランプ大統領誕生からのバブル的な株高は2月初旬の世界連鎖株安から土台がぐらついてきた印象だが、仮に2月初旬の安値を割り込んで一段安し始める場合はリスク回避心理を拡大させ、米連銀の利上げ姿勢にも影響を与える可能性がある。ドル円は株高に対する反応が鈍り、株安に対する反応がやや過敏になってゆくことも考えられる。

【FOMCからの反応パターン】

米連銀FOMCが迫り、今年一回目の利上げ決定は確実視されており、また利上げペース加速の可能性も出てきているか、それだけではドル高円安へ進めない状況にあるために昨年12月の戻り天井からの下落基調から抜け出せず、105円台序盤まで安値を切り下げてきた。
今回の会合では利上げペースを年3回から4回へ引き上げる積極姿勢が示される可能性がある。2月27日のパウエル議長議会証言での積極的な姿勢からその可能性は高まったが、利上げペース加速が株安を発生させたために「利上げペース加速のドル買い」よりも「株安リスクからの円買い」が勝ったと言える。またトランプ政権による関税強化が株安リスクを助長していること、日本国内の政局不安もリスク回避感による円買い戻りを助長する要因となってきている。

3月利上げを市場はほぼ確実視していると報じられているが、声明文や議長会見のニュアンスを読み切っているわけではない。また利上げが決定された上でメンバーの年間利上げ予想回数の中央値が3回で据え置かれる場合、3回が最多でも4回も相当数いる場合、4回が最多の中心値となる場合、市場の反応も異なってくると思われる。
発表当初に急落しても早々に発表前水準を超える切り返しとなるケース、逆にいったん急伸してから反落のケース、下落基調が止まらずに朝となり、日中も続落のケース、上昇反応が継続してゆくケース等により、市場がイベントを消化したのか、新たな流れの形成ないしは次の流れの継続となるきっかけとなったのかを見定める必要があるだろう。

【当面するテクニカルポイント】

【当面するテクニカルポイント】

(1)FOMC前に、やや先行して下落の場合、3月2日安値105.24円割れなら104円台前半への下落を想定。発表前に買い戻される場合は106円台中後半試しまでと想定する。
(2)発表から下落継続の場合、当初の下値支持線を104.00から103.75円とし、下落が週末へ継続なら102.50円前後まで想定しておく。
(3)強気転換は3月13日高値107.29円超えからとし、その場合は52日移動平均(現在109.58円)前後試しまで想定するが、その前後では戻り売りも出やすいと考える。
(4)相対力指数は2月安値形成時に20ポイント台序盤まで下げ、3月2日安値形成時では指数のボトムが切り上がっており、強気逆行の可能性があるが、強気回復目安の50ポイント超えへ進めないうちは逆行が収束せずに逆行を伴う安値更新が継続する可能性がある。FOMC後の上昇で50ポイントを超えてくる場合は逆行現象の収束、完成による強気転換が考えられるが、FOMC反応が収まるまでは連続的な逆行継続に注意したい。(了)<18日22:00執筆>

【当面の主な予定】

3/19(月)
G20財務相・中央銀行総裁会議(アルゼンチン・ブエノスアイレス 19日〜20日)
    (中) 中国全国人民代表大会(全人代)
08:50 (日) 2月 貿易統計 通関ベース (1月 -9434億円、予想、+891億円)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合 主な意見公表(3月8日〜9日開催分)
09:00 (日) 参院予算委員会(公文書管理等集中審議)
19:00 (欧) 1月 貿易収支 (12月 254億ユーロ)
22:40 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

3/20(火)
G20財務相・中央銀行総裁会議(於;アルゼンチン・ブエノスアイレス、19日〜20日)
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
    (中) 中国全国人民代表大会(全人代)閉幕
09:30 (豪) 10-12月期 四半期住宅価格指数 前期比 (前期 -0.2%、予想 0.0%)
09:30 (豪) 10-12月期 四半期住宅価格指数 前年比 (前期 8.3%、予想 3.9%)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA) 金融政策会合議事要旨公表
14:00 (日) 1月 景気先行指数(CI)改定値 (速報値 104.8)
16:00 (独) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.1%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.5%、予想 0.5%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前年比 (1月 3.0%、予想 2.8%)
18:30 (英) 2月 生産者物価コア指数 前年比 (1月 2.2%、予想 2.4%)
19:00 (独) 3月 ZEW景況感指数(期待) (2月 17.8、予想 13.0)
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感 速報 (2月 0.1、予想 0.0)

3/21(水)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
18:30 (英) 2月 失業率 (1月 2.3%)
18:30 (英) 1月 失業率 ILO方式 (12月 4.4%、予想 4.4%)
21:30 (米) 10-12月期 四半期経常収支 (前期 -1006億ドル、予想 -1250憶ドル)
23:00 (米) 2月 中古住宅販売件数 (1月 538万件、予想 540万件)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 1.25-1.50%、予想 1.50-1.75%へ引き上げ)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

3/22(木)
    (欧) EU首脳会議(ブリュッセル、22日〜-23日)
05:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.75%、予想 据え置き)
09:30 (豪) 2月 新規雇用者数 (1月 1.60万人、予想 2.00万人)
09:30 (豪) 2月 失業率 (1月 5.5%、予想 5.5%)
17:30 (独) 3月 製造業PMI、速報 (2月 60.6、予想 59.8)
17:30 (独) 3月 サービス業PMI、速報 (2月 55.3、予想 55.0)
18:00 (欧) 3月 製造業PMI、速報 (2月 58.6、予想 58.1)
18:00 (欧) 3月 サービス業PMI、速報 (2月 56.2、予想56.0)
18:00 (欧) 1月 経常収支 (12月 299億ユーロ)
18:00 (独) 3月 IFO景況指数 (2月 115.4、予想 114.6)
18:00 (欧) 欧州中央銀行(ECB)月報
18:30 (英) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%

21:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.50%、予想 据え置き)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.6万件、予想 22.5万件)
22:00 (米) 1月 住宅価格指数 前月比 (12月 0.3%、予想 0.4%)
23:00 (米) 2月 景気先行指数 前月比 (1月 1.0%、予想 0.5%)

3/23(金)
    (欧) EU首脳会議(ブリュッセル、22日〜23日)
(米) 鉄鋼とアルミの輸入制限を発動
08:30 (日) 2月 全国消費者物価指数 前年比 (1月 1.4%、予想 1.5%)
08:30 (日) 2月 全国消費者物価コア指数 前年比 (1月 0.9%、予想 1.0%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 -3.6%、予想 1.7%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・除輸送用機器 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.5%)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数 (1月 59.3万件、予想 62.0万件)
21:10 (米) ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
23:30 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

3/24(土)
08:00 (米) ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演

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