追加関税は保護主義の一歩目か
先週発表された鉄鋼とアルミの追加関税案は、米国内外で大きな問題となっていますが、保護主義反対派のコーン国家経済会議委員長辞任のニュースから、ホワイトハウスは保護主義に走る懸念がますます高まっていると言えます。今回は鉄鋼に絞って話を進めます。
ホワイトハウスにおける通商担当の主だったメンバーは、トランプ大統領、ロス商務長官、ライトハイザー通商代表の3人となりますが、今回の追加関税は遡るとロス商務長官が各閣僚入り直後に商務省に調査を命じ、その調査結果を今年に入って大統領に提出していました。そして、その内容が先週出てきた追加関税を中心とした措置ということになりますが、最終的に大統領は4月11日を期限として最終決定を下すこととなります。
本日もしくは明日にでも何らかの発表があるようですが、当初全ての国を対象としながらもその後はややトーンが弱まっているため、強硬な貿易戦争にはならないのではないかとの期待もありますが、中間選挙年でもあり予断は許せません。
また今回の追加関税措置は中国を対象としていると考えられてはいるものの、米国にとっての鉄鋼輸入国トップ10(全体の78%、米国商務省鉄鋼レポートから)に中国という国名は出てきません。昨年1年間の輸入国上位は、カナダ(16%)、ブラジル(13%)、韓国(10%)がトップ3(計39%でトップ10の半分)で日本(5%)も7位にランクインしています。ただ、よくいわれるのが中国の鉄鋼が第3国を経由して米国に入っているという迂回輸出の問題です。韓国もそのひとつですし、ベトナムはかなりの迂回輸出をしていると言われています。
先週の追加関税の特定12か国(関税53%)に、中国、韓国、ベトナムは当然のように含まれています。最終結果がどうなるかは、まだまったくわからないものの、特定の国を標的にする前提であれば、全ての国を対象としながらもその後トーンを弱めていることも頷けます。
また、トランプ大統領が公約実現という方向に動くことを考えると、今回の追加関税は保護主義の第一歩で、今後も次々と懸念材料が出て来る可能性は否定できず、株式、為替ともしばらくはリスクオフの売りに対する警戒感は怠れません。
オーダー/ポジション状況
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