ドル円コーンNEC委員長辞任報道で7日朝急落(3/7)

米紙ニューヨーク・タイムズ電子版はコーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任すると報じた。トランプ政権の通商政策における中心人物の一人だが、

ドル円コーンNEC委員長辞任報道で7日朝急落(3/7)

【概況】

米連銀の利上げペース加速懸念、トランプ大統領による鉄鋼・アルミへの輸入関税導入発言等を嫌気して3月2日安値105.24円へ下落、2月16日安値105.546円を割り込んだが、同じくこれらを嫌気して大幅下落していたNYダウが反騰したことから5日には106円台を回復、6日昼には106.46円まで戻した。
3月1日深夜から急落する前の下値支持線が106.50円前後だったため、106.50円超えへ進めるかどうかがチャート上の重要ポイントだったが、106.50円超えへは進めなかった。
北朝鮮と韓国大統領特使団の会談から南北首脳会談実現の可能性が高まったことで夜間では106.43円まで戻したが昼高値を超えずに失速していた。
7日早朝、コーン国家経済会議(NEC)委員長辞任報道が飛び込んで106.00円割れ、さらに105.45円まで急落している。この下落により6日への戻りが一巡、下落再開感が強まった。

【コーン米国家経済会議(NEC)委員長辞任】

米紙ニューヨーク・タイムズ電子版はコーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任すると報じた。トランプ政権の通商政策における中心人物の一人だが、3月1日にトランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムへの輸入関税を導入すると発言、その後もこの方針を変えなかったために大統領と対立したことが辞任の原因とみられている。

トランプ米大統領はこの方針を「撤回しない」と強調し、週内にも正式決定する姿勢を見せている。
ライアン米下院議長、コーン国家経済会議委員長、トランプ大統領に近いパーデュー上院議員(共和党)等がこれらに反対姿勢を表明していたことが、貿易戦争を深刻化させないのではないかという希望を市場に抱かせたことが週末から週明けのNYダウ反騰の背景でもあったが、その一角が崩れたこと、トランプ大統領の関税導入姿勢が相当に強硬であることが示された格好だ。この問題についてはロス商務長官が積極姿勢を当初から示している。
関税導入が報復関税、輸入制限等へ波及すれば世界経済全般が萎縮し、米国経済にとっても打撃となるのではないかと思われるが、トランプ大統領は米国第一主義=保護主義で一貫しており、貿易戦争勝利を追及してゆくのだろう。
この問題はドル安、米国株安、金融市場全般における最大のリスク要因と思われる。

【南北首脳会談、米朝会談の可能性、テーマとしては反応鈍い】

韓国の大統領特使団が訪朝、金正恩朝鮮労働党委員長と会談。両国は南北首脳会談を4月末に開催することで合意。北朝鮮側は非核化問題や関係正常化をめぐり米国と対話する用意があると表明、または対話継続中は核実験や弾道ミサイル発射を凍結する姿勢を示した。
トランプ米大統領は6日、これに対して「非常に前向きだ。世界にとって素晴らしいものになる」「適切な方向に進むよう望む。」と述べたが「どちらの方向に進もうが、準備はできている」とも述べたが、米朝会談に応じるとは明言していない。
ペンス副大統領は「北朝鮮の核計画を終わらせるため、米国と同盟国は最大限の圧力をかけ続ける」と述べた。また米政府高官発言としては米韓合同軍事演習に関して、平昌冬季パラリンピック後に再開するのは当然だと述べたと報じられている。

北朝鮮問題では、何度も対話姿勢とその挫折を繰り返してきた。韓国の文大統領は大統領選から南北対話姿勢を示してきたため、南北首脳会談は実現するかもしれないが、そこからさらに米朝の公式の交渉、米朝首脳会談による非核化実現へのプロセスが進展するかどうかは市場も懐疑的だ。この問題に一番過敏であるべきゴールドはほとんど反応をせず、7日早朝のコーン氏辞任によるドル安から一段高となり、3月1日夜からの反騰を継続している。早朝の円高も同様の反応と言える。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表で6日の上昇局面では遅行スパンが好転していたが、7日早朝の急落で再び悪化した。6日夜には先行スパンを一時的に上抜いたが7日早朝の急落で再び転落した。このため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気回復は両スパンが揃って好転するところからと考える。

60分足の相対力指数は6日午前への上昇で70ポイント台へ乗せたが、6日夜の高値試し時では指数のピークが切り下がって弱気逆行型となり、早朝の下落で30ポイント台へ転落している。このため50ポイント台回復、維持へ進めない内は20ポイント台前半への下落継続を想定する。

概ね3日から5日周期の短期的高値・安値形成サイクルでは、2月26日安値から4日目の3月2日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて戻したが、27日深夜高値から4日を経過した6日昼高値と6日夜高値のミニダブルトップでサイクルトップをつけて下落に転じたと思われる。今回のボトム形成期は7日夜から9日夜にかけての間と想定するが、週末の雇用統計次第では週明けへ延長される可能性も考えておく。強気サイクル入りには106円台回復維持からさらに6日高値を上抜く反騰が必要であり、106円以下での推移中は一段安警戒とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月2日安値105.24円を支持線、105.85円前後を抵抗線とみておく。
(2)105.85円以下での推移中は一段安警戒として3月2日安値試しを想定する。底割れの場合は104円台前半まで下値目処を引き下げる。また105.50円以下で明朝を迎える場合は8日の日中も安値試しが続きやすいとみる。
(3)105.85円超えの場合は106円前後試しとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
※ 3月2日安値割れを回避するか、一時的に若干割り込んでも反騰して6日高値を上抜く場合はダブル底形成による上昇再開という可能性もあるが、そのためには6日の高値を上抜く必要がある。(了)<9:25執筆>

【当面の主な予定】

3/7(水)
14:00 (日) 1月 景気先行指数(CI)・速報値 (12月 107.4、予想 106.1)
19:00 (欧) 10-12月期 四半期GDP、確定値 前期比 (速報値 0.6%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 10-12月期 四半期GDP、確定値 前年比 (速報値 2.7%、予想 2.7%)
20:00 (土) トルコ中銀、政策金利発表 (現行 8.00%)
22:00 (米) ダドリー米NY連銀総裁 講演、ボスティック米アトランタ連銀総裁 講演
22:15 (米) 2月 ADP雇用統計 前月比 (1月 23.4万人、予想 20.0万人)
22:30 (米) 10-12月期 四半期非農業部門労働生産性・改定値  前期比 (速報値 -0.1%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 1月 貿易収支  (12月 -531億ドル、予想 -550億ドル)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.25%、予想 据え置き)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (米) 1月 消費者信用残高 前月比 (12月 184億ドル、予想 183億ドル)

3/8(木)
未 定 (中) 2月 貿易収支(米ドル) (1月 203.4億ドル、予想 -84.5憶ドル)
未 定 (中) 2月 貿易収支(人民元) (1月 1358.0億元、予想 -704.5憶元)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合 1日目
08:50 (日) 1月 国際収支・経常収支 (12月 7972億円、予想 3685憶円)
08:50 (日) 1月 国際収支・貿易収支 (12月 5389億円、予想 6910憶円)
08:50 (日) 10-12月期 四半期GDP、改定値 前期比 (速報 0.1%、予想 0.2%)
08:50 (日) 10-12月期 四半期GDP、改定値 年率換算 (速報 0.5%、予想 1.0%)
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 -13.58億豪ドル、予想 2.00憶豪ドル)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 据え置き)
22:30 (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 22.0万件)

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