円高基調は変わらず、ただ調整継続も(2月第三週)

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時105.55円まで値を下げるなど、2016年11月以来の安値を示現、

円高基調は変わらず、ただ調整継続も(2月第三週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週のザラ場ベースでは一時105.55円まで値を下げるなど、2016年11月以来の安値を示現、過去1年以上にわたり形成してきた大きなボックス圏を割り込んできた感を否めない。

ドル/円は先週末のNYクローズと大差ない108.80円レベルで寄り付いたものの、終わってみれば週初の寄り付きレベルが週間のドル最高値で、以降は緩やかに下値を切り崩す値動き。ドルの強気派からは、週末に日経新聞などで報じられた「黒田日銀総裁続投」報道が円高に歯止めをかける、と期待されていたものの、効果は極めて軽微だった。
結局、ドルのじり安は止まらず、昨年9月安値107.32円を下回ると、105.55円までの一段安に。そののち、17-19日でNYが3連休になることもあり、週末にはやや調整の動きが先行したが上値は重く、106.30円レベルで取引を終えて越週している。

一方、週間を通した主な材料のひとつは、「米株を中心とした世界の株価」だが、それとともに「要人の発言」もマーケットの波乱要因となっていた。
その典型事例は、トランプ米大統領の発言。まずは「中国、日本、韓国などあまりにも多くの国に対して多額の損を出している」としたうえで、報復関税の導入を示唆したことが話題となったことに続き、「対中貿易で制裁検討、米韓FTA破棄にも言及」、また日韓の防衛費について「ホンの一部しか払わないのは不公平」と発言したことも思惑を呼んでいた。対して、日本サイドは麻生財務相から「介入しなければいけないほど、急激な円高でない」との発言が聞かれ、これが「円高容認」と受け取られ、円買い安心感を醸していた面もある。

<< 今週の見通し >>

先週末の欧米市場だけを見ると、ドルはやや小じっかり。ただ、これは1月8日に記録した年初来高値113.38円を起点と考えた場合でも、1ヵ月強のあいだに8円近いドル安・円高が進行したことを受けた調整に過ぎないと考えられている。NYが3連休となる前、というカレンダー要因も指摘されていた。
いずれにしても、引き続き基調としてのドル安・円高に変化はなさそう。そもそも論とすれば、米国による貿易赤字を懸念する動きに加え、日本サイドも先の麻生財務相発言に示されるように、まだそれほど強い円高懸念を抱いていない可能性が指摘されており、当局の介入スタンスなどを試す円高の進行を予想する声は少なくない。「急激な変動で105円を割り込まなければ、ある程度容認されるのでは」−−などといった指摘も一部で取り沙汰されていた。

テクニカルに見た場合、昨年9月安値の107.32円だけでなく、2016年安値の98.65円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押し106.30円レベルなど、重要なサポートを続けて下回り、ザラ場ベースでは105円台へと突入してきた。しばらく推移していなかった未知の領域で、明確なサポートを指摘することは難しい。週足を参考にしたピボットの観点からすると、ドルの下値メドはまずは105円前後、そして103.60-65円、また先で指摘したフィボナッチの76.4%戻しは103.35-40円となる。

一方、材料的に見た場合、幾つか米経済指標が発表されるものの、注目度がそれほど高いものはなく、よほどの数字とならない限り影響は限定的か。それよりむしろ、21日に予定されているFOMCの議事録要旨公開や、週末にかけて相次ぐ米地区連銀総裁の講演などに注意を払いたい。具体的な言及は期待薄だが、為替など金融市場が荒れ模様の相場付きだけに、何らかの言及がなされても不思議はないだろう。
また、それとは別に、ほぼ決定した感のある「黒田日銀総裁続投」について、野党から批判的な声が多いことが少し気に掛かる。よもや、人事が白紙に戻るなどといったことはないだろうが、状況次第では相場を荒らす材料になりかねないかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-108.00円。ドル高・円安については、107円前後が最初の抵抗で、上抜ければ移動平均の4週線が位置する108円半ばなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週記録した年初来安値の105.55円の攻防が注視されており、割り込むと105円割れをうかがう展開か。(了)

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