ドル円9月安値に迫り4月以降のレンジ転落攻防(2/14)

世界連鎖株安がNYダウのブレーキとなり、2月9日安値からは戻し、ここ3日間連騰したが、それでも2月8日に1032ドル安したところを回復できずにいる。

ドル円9月安値に迫り4月以降のレンジ転落攻防(2/14)

【概況】

先週末2月10日安値で108.04円をつけたところでは108円割れをひとまず回避したが、その後の戻りには勢いがつかず、13日午前までは108.50円を支持線とした横ばいにとどまり、午後からの下落で108円割れ、さらに夜間では107.41円まで続落して昨年9月8日安値107.32円へ接近した。
昨年4月以降は108円前後を支持線とし、108円割れした9月8日もV字反発で114円台まで戻し、レンジでの往来相場が続いてきた。その中で11月6日高値が当面のピークをつけ、12月12日から徐々に下落が進み、ここにきてレンジ下限に迫った状況にある。
9月8日安値が108円割れに対する「徳俵」だったとすれば、今回も「徳俵」に足が残って寄り返す可能性はあるものの、9月8日安値割れから続落し始める場合は土俵を割り込んでの円高加速と考えるべきだろう。
浅川雅嗣財務官は13日、財務省内で記者団に対し「投機的な動きがないか注視する」と述べた。107円を割り込む場合には更に口先介入的な発言も出てくる可能性があると思われる。

【14日夜の米消費者物価、米連銀の利上げ姿勢】

世界連鎖株安がNYダウのブレーキとなり、2月9日安値からは戻し、ここ3日間連騰したが、それでも2月8日に1032ドル安したところを回復できずにいる。日経平均も2月6日安値21078円の後は下げ渋っているものの6日の急落時のレンジを超えられずに安値に迫っており、株暴落一服ではあるが反騰入りへの状況変化までは進めずにいる。
株安を意識して米長期金利上昇も一服しているものの、依然として高水準にある。14日夜には1月の米消費者物価統計の発表があるが、そこで強めの数字が出るようだと、世界連鎖株安の引き金となった米連銀の利上げペース加速懸念が再燃する可能性がある。市場予想は全体の前年比が+1.9%(前月+2.1%)、コア指数前年比は+1.7%(同+1.8%)となっているが、特にコア指数が予想を超えてくる場合は利上げ加速問題が意識されると思われる。
現状では米長期金利上昇とドル円は通常の正相関ではなく、株安リスクを踏まえて逆相関的な展開になっている点に注意が要る。

米クリーブランド連銀行のメスター総裁は13日の講演で「2018年、2019年の利上げは2017年と同様のペースが適切」と述べ、昨年12月にFOMCが示した今年3回の利上げペースを継続する考えを示した。また最近の株価急落に関連して「経済は対処できる」として大きな影響はないとの姿勢を示した。同総裁はタカ派とされ、今年の金融政策会合で投票権を持つ。また米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版の報道では同氏は空席の米連銀副議長席の候補者となっている。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

60分足の一目均衡表では、2月8日深夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したがその後も両スパン悪化状態が続いている。13日の急落後は新たな安値更新に至っていないため、107.85円以上で推移すれば遅行スパンは好転してくるが、108円前後には先行スパンも抵抗帯として待ち構えている印象だ。強気転換には先行スパン突破、維持へと上昇する必要があり、できない内は一段安警戒が続くとみる。

60分足の相対力指数は13日の急落で20ポイント割れまで急低下した。20ポイント割れは1月24日の米財務長官によるドル安容認発言から急落した時以来だが、その時は26日午前へいったん戻すも27日へ一段安している。このため突っ込み警戒水準ではあるが、この後に相場が安値を更新し、指数が底値を切り上げる強気逆行型を形成するような形で一段安へ進む可能性が残る。強気回復には50ポイント台回復、維持が必要と思われる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは2月6日安値から3日を経過した10日未明安値で直近のサイクルボトムを付けたが、底割れにより新たな弱気サイクル入りしたと思われる。今回の安値形成期は15日未明から19日朝にかけての間と想定されるので、まだ13日夜安値では底打ちに日柄が浅いと思われ、14日夜にかけてはもう一段安しやすい時間帯が続くと思われる。強気サイクル入りには12日未明高値108.93円を超えるV字反騰が必要と思われる。

1月26日安値108.28円、2月6日安値108.45円、2月9日安値108.04円等、一段安する前の下値支持帯は108円台序盤であった。このため戻しに入った場合の戻り抵抗帯は108.00円から108.45円にかけての間までと想定され、トレンド的な強気回復には108.45円超えから続伸するような展開が必要と思われる。

以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)108.00円から108.45円までを戻り抵抗帯とし、これを突破して続伸できない内は次の107.50円割れから一段安へ進みやすいとみる。
(2)9月8日安値107.32円割れの場合、1月27日から2月2日への戻り幅の倍返しでV=106.09円前後試しまで下値目処を引き下げる。106円以下は突っ込み警戒、反騰注意とみるが、昨年4月以降の長期的な往来レンジからの転落となるため、先行きは105円、103円台への下落へと発展する可能性も懸念される。
(3)強気回復には108.45円超えからの続伸が必要だが、その場合は109円試しとその後の反落警戒とみる。(了)<9:25執筆>

【当面の主な予定】

2/14(水)
16:00 (独) 10-12月期 GDP、速報値 前期比 (前期 0.8%、予想 0.6%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP、速報値 前年比 (前期 2.8%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP、改定値 前期比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP、改定値 前年比 (速報 2.7%、予想 2.7%)
19:20 (欧) メルシュECB理事、講演
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 2.1%、予想 1.9%)
22:30 (米) 1月 小売売上高 前月比 (12月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 小売売上高(除自動車)前月比 (12月 0.4%、予想 0.5%)
24:00 (米) 12月 企業在庫 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
未 定 (米) ムニューシン米財務長官、2019年度予算案証言、上院財務委員会

2/15(木)
08:50 (日) 12月 機械受注 前月比 (11月 5.7%、予想 -2.3%)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 3.47万人、予想 1.50万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 5.5%、予想 5.5%)
13:30 (日) 12月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 2.7%)
17:15 (欧) メルシュECB理事、講演
19:00 (欧) 12月 貿易収支 (11月 263億ユーロ、予想 270億ユーロ)

19:45 (欧) プラートECB理事、討論会で発言
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 2月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (1月 17.7、予想 18.0)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 22.2、予想 22.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.1万件、予想 22.8万件)
23:15 (米) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.9%、予想 0.2%)
23:15 (米) 1月 設備稼働率 (12月 77.9%、予想 78.0%)
24:00 (米) 2月 NAHB住宅市場指数 (1月 72、予想 72)

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