【概況】
1月8日高値113.38円からの下落は先週末1月27日安値108.28円で一服、2月1日未明の米FOMC声明発表から上昇して1日夜には109.75円を付けたが、1月26日昼高値109.77円にはわずかに届かず、その後は109円台前半へ押し返されている。
米連銀は1日未明のFOMC声明文で政策金利を据え置いたが、目標とするインフレ進捗については「今年は上向き、中期的に2%近辺に落ち着く」とし、インフレ見通しを従来からやや強めに修正した。このため、市場は3月の利上げをほぼ確実視するとともに、今後の景気動向によっては利上げの加速となる可能性も多少あるのではないかとの見方が浮上し、米長期債利回りが上昇してドルが持ち直し、ドル円も上昇した。しかし、昨年12月のFOMCで2018年の利上げに対するメンバーの予想回数中央値が3回と示されたことで材料消化とし、その後はドル安が進行した。前年同期も年末の利上げと年3回の利上げ予想が示された後にドルは下落に転じており、パターンは類似している。
米財務長官によるドル安容認的な発言をきっかけに109円割れ、トランプ大統領が同発言姿勢を打ち消したことでいったん戻したのが26日昼の高値。しかしその後に一段安となった。108円台序盤では突っ込み警戒となって下げ渋りからやや戻しに入ったのが今週前半であり、FOMCから続伸したものの26日高値超えへ進むほどの積極性は見られなかったというのが現時点での総括になると思う。
米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は、季節調整済みで23万件となり、前週比1000件減少、市場予想の23万8000件を下回った。前週は当初発表の23万3000件から23万1000件に下方修正された。
米労働省が発表した10〜12月期の非農業部門の労働生産性(速報値)は、季節調整済み年換算で前期比0.1%低下、市場予想の1.0%上昇を下回った。インフレ指標の一つである単位労働コストは前期比2.0%上昇で市場予想の0.8%上昇を上回った。前年同期比は1.3%の上昇だった。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した1月の米製造業景況指数は59.1となり、前月の59.3から低下したが、市場予想の58.8は上回った。
【米長期金利上昇の影響度】
米長期金利はこの日も上昇し、指標である10年債利回りは2.79%となり、2014年4月以来約3年10か月ぶりの高水準となった。米30年債利回りも3.03%となり、2017年5月以来9か月振りの高水準となっている。先週までの米長期債利回り水準はドル安基調に水を差すほどのインパクトが見られず、それよりもユーロ高、資源通貨高等を背景としたドル安感が勝り、日米長期金利差が拡大してもドル円が下落するという状況であった。しかし、米長期金利水準がさらに上がってきたことで、金融市場全般が長期金利上昇の影響を意識し始めているので、ドル円も自信の突込み警戒感とともに米長期金利上昇へやや反応し始めている印象がある。
ただし、欧米長期金利上昇は一方では投資コスト上昇による株安を招くケースがあるため、米長期金利上昇によるドル高円安インパクトよりも米長期金利上昇による株安がリスク回避的な円高を助長するという反応を示す可能性もあるので、今のところは米長期金利上昇がドル円の上昇を本格化させるというところには至っていないと思う。
【60分足 一目均衡表分析】
60分足の一目均衡表では、31日夜の上昇で先行スパンを上抜いた。遅行スパンも好転している。1日夜高値からやや下落しているため、遅行スパンは悪化しやすい位置取りとなっている。109.50円割れの状況が続く場合は実線と交錯、109.20円割れからは悪化が顕著となる。先行スパンは109円台序盤にあるため、109円割れ回避から戻すうちは転落回避となり、10950円超えの状況が続けば好転状態を維持して高値を試しやすくなると思われるが、109円割れからの先行スパン転落は下げ再開感を強めると思われる。
60分足の相対力指数は1日夜高値形成時に1日未明高値形成時のピークをわずかに上回ったが、ほぼフラットな状況になっているので45ポイント割れしてくる場合はフラット型の弱気逆行からの下落感が強まり始めるとみる。また1日夜高値を上回っても指数のピークが切り下がれば弱気逆行から下落に転じやすくなると思われる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日未明安値を前回のサイクルボトム、26日昼高値を同サイクルトップとして下落していたが、30日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて上昇期に入っていた。1日夜高値で26日高値を超えられずに失速しているため、すでにサイクルトップを付けた可能性がある。
109.20円割れ回避か、一時的に割り込んでも109.50円超えへ上昇する場合は高値形成の継続余地ありとするが、109.20円割れから続落の場合は弱気転換注意、109円割れからは弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる2日夜から6日深夜にかけての間への下落を想定する。
以上を踏まえ、当面のポイントを示す。
(1)目先、109.20円を支持線、1日夜高値109.75円を抵抗線とみておく。
(2)109.20円を上回るうちは上昇余地ありとし、109.75円超えの場合は110円前後試しとするが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし米雇用統計から一段高反応となる場合は110.50円前後まで上値目途を引き上げる。
(3)109.20円割れから続落の場合は弱気転換注意、109円割れからは弱気サイクル入りとして1月27日未明安値108.28円試しへ向かう可能性に注意する。特に米雇用統計から下落反応の場合は底割れから9月8日安値試しへ向かう可能性を考える。(了)<10:10>
【当面の主な予定】
2/2(金)
19:00 (欧) 12月生産者物価指数 前年比 (11月 +2.8%、予想 +2.4%)
22:30 (米) 1月非農業部門雇用者数 (12月 +14.8万人、予想 +16.5万人)
22:30 (米) 1月失業率 (12月 4.1%、予想 4.1%)
22:30 (米) 1月平均時給 前月比 (12月 +0.3%、予想 +0.3%)
24:00 (米) 1月ミシガン大消費者信頼感指数確報 (速報 94.4、予想 95.3)
29:30 (米)ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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