ムニューシン発言とトランプ発言
ドル円は、前日のムニューシン発言の余波からNY後場まで多少の戻しを挟みながらも着実に円高の流れを続け一時108.50レベルと昨年9月以来の水準まで下げたところで、トランプ大統領がドル高を肯定する全く逆のコメントが飛び出したことで、109.70レベルと一気に1円以上もの調整が入り高値引けとなりました。
ドル円に限らず、ムニューシン財務長官とトランプ大統領の発言をどう取るかで今後の見方が変わってきますので、現状考えられることを書いておきます。まず1年前あるいは今週までの二人のスタンスは、トランプ大統領はドル安支持、またムニューシン財務長官は歴代の財務長官同様にドル高は国益との判断を示しつつも、トランプ大統領に敬意を払い短期的に急激なドル高は望まないというスタンスだと思われていました。ところが、ここ2日の両者の発言はまるで入れ替わったかのような内容で、市場参加者を悩ませる結果となっています。
ふりかえると昨年の大統領就任直後は、ドル指数において最も影響力が大きいユーロドルが1.03台とが15年ぶりの安値圏にありましたが、その後のユーロは昨日の1.25台まで2000ポイント以上ものユーロ高・ドル安となってきました。ドル円は決して円高とは言えないものの、安定して円安にも円高にも動かない状況であり、米国にとって今の為替は大きな問題とはならないといったスタンスなのだと考えられます。
トランプ大統領はあまりアメリカーファースト、保護主義といった見方をされないためにも、昨日はTPPに復帰の検討まですると発言しました。大統領の発言は思い付きで言うことも多いのですが、おそらくは各国の要人が集まるダボス会議においてリップサービスを行ったという見方が妥当ではないかと思います。
またムニューシン発言はユーロドルの昨年のような動きに対して米国には良かったという前提があり、そこでドル安と米国の貿易を結び付けた発言になった可能性があるのではないか、そういう前提で考えるならば、双方の発言は矛盾しないと見ることも出来るでしょう。ただその場合でもドル安が継続的に進む必要は無いものの反転してドル高に向かうような動きまでは望んでいるとは思えません。
ここまでのユーロを中心とした水準の調整に対して追認したという押さえで良いと考えられます。そうなると、あまり動きのない円相場まで反転ドル高と考えることは危険で、大局的には相場安定、もしくは今年に関しては緩やかなドル安こそが米国が望んでいるところではないか、両者の発言を並べてそんな印象を持ちました。
オーダー/ポジション状況
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